ある文章で「言葉が出来上がる」という表現に出合った。国語学者の大野晋さんの言。悩みを乗り越えた時、同じ悩みを抱える人に伝える“自分の言葉”が生まれるとの意味だ


 都内のある女性部の友の体験。2人の子どもが立て続けに不登校になった。笑顔の消えたわが子を前に「何度決意しても嘆くような題目しかあげられない」。それでも夫妻は子どもたちを信じ、弱い心を振り払うように祈った。解決策を求めて行動した。地域の同志も陰に陽に支えた


 7年がたった。振り返ると、不思議にも教員や同級生に恵まれ、「子どもたちが自分の力で歩み始めた」。とともに、母として悩んだ分だけ境涯が大きくなり、自身の力となっている。この気付きを得た時、「悩みは、私が幸福博士になるための試練だったのだ」と心から感謝できた


 彼女のこの言葉が出来上がるまで、どれだけの苦労があっただろう。「いちばん苦しんだ人が、いちばん幸福になる。いちばん悩みをもった人が、いちばん偉大な人生となっていく。これが仏法です。だからすばらしいのです」と池田先生


 順風にも逆風にも左右されず、全てを人生勝利の糧としていきたい。信仰は、「不動の自分」をつくり上げる根本の力である。 


【9/12 聖教新聞·名字の言】