「ビジネスケアラー」をご存じだろうか。働きながら親などの介護をする人を指し、超高齢社会の日本で増加傾向にある

 

 経済産業省によると、2020年時点での家族介護者は約678万人。その数は30年まで増え続け、うち約4割がビジネスケアラーで、約318万人に上ると予測されている。仕事と介護の両立に挑むが、“同僚に迷惑がかかる”“介護に専念したい”と、離職する人も少なくない。社会との関係が薄れて孤立し、家族と共倒れしてしまう恐れもある


 福岡のある男子部員は昨年、若年性認知症の母との二人暮らしを開始。働きながらの介護は壮絶で、何度も離職が頭をよぎったが、地域の同志の励ましに救われた。介護従事者を紹介してもらい、助言を受けることもできた。彼は言う。「自分は一人じゃないんだ、と教えてもらいました。今後は僕が誰かの力になりたい」


 御書には、苦しい状況にある人も「助ける者が強ければ倒れない」(新1940・全1468、通解)と。善き友の支えがあれば、人は強くなれる。試練に負けない自分になれる 


 めまぐるしい変化の時代だからこそ、人と人、心と心を結ぶ連帯を広げたい。地道な草の根の活動が、社会を支え、命を守る礎となる。


【6/25 聖教新聞·名字の言】