ヨットには動力がない。しかし、追い風を受ければ前に進むし、向かい風でも前進できる。帆が受ける風によって、揚力が発生するからだ

 帆船が風向きに逆らっても進む話は、きょうで生誕153年を迎えた初代会長・牧口常三郎先生の大著『人生地理学』にも出てくる。「風と人生」という中で紹介されており、船乗りは、暮らしに被害をもたらす暴風をも“己の伴侶”としていると

 牧口先生の故郷である新潟・柏崎で育った男子部員は、6年前に結婚した。昨年、第1子を授かったが、その子には重い病が。苦悩に沈んだ時、脳裏に浮かんだのは広布に戦ってきた祖母や父の姿だった。“そうだ。折伏で人生を開こう”。仏法対話に走る中、子どもの10回に及ぶ手術は全て成功。医師も「考えられないほど強い子だ」と驚く。闘病は続くが、信心で立ち向かう決意は固い

 御書には「大風が吹けば、求羅は倍増する」「法華経の行者は求羅のようなものである」(新1545・全1136、趣意)と。求羅は仏典に出てくる想像上の生き物。風を得るほどに成長し、大きくなるという

 大事なのは、どんな状況であれ、信心で勝つと決め、信心から出発すること。その時、我らは、いかなる風も伴侶としていける。 

【6/6 聖教新聞·名字の言】