東アジアで初開催となるパラ陸上の世界選手権が、神戸で行われている。コロナ禍による2度の延期を経て、各国・地域の代表1073人が繰り広げる熱闘に期待したい

 ドイツ出身の医師ルートヴィヒ・グットマン博士は、戦争で障がいが残り、生きる希望を失った兵士の治療にスポーツを取り入れた。博士の信念は、患者に逆境と“戦う姿勢”を持たせること。親身に寄り添い、時に厳しく接し、社会復帰をサポートしたことから、後に“パラリンピックの父”と呼ばれるようになった(千葉茂樹訳『パラリンピックは世界をかえる』福音館書店)

 ゴムの製造会社で働く神戸の壮年部員は6年前、仕事中の不慮の事故で左手の全ての指を失った。腹部の肉で指を形成する壮絶な手術を耐え抜き、仕事に復帰。だが苦難は続き、昨年末にがんが見つかった

 宿命の深さに心が折れそうになった。それでも“私には絶対勝利の信心がある!”と懸命に祈り、病に立ち向かった。手術は無事に成功。退院した現在は、支えてくれた家族や同志への感謝を胸に、広布拡大に燃えている

 わが生命を燃焼させ、“戦う”人の姿は、周囲に勇気と感動を与える。試練に負けず、使命に生きる人生ほど崇高なものはない。 

【5/20 聖教新聞·名字の言】