2人の兄を亡くした青年は、歌手になりたくて鹿児島の実家を飛び出し、上京した。「星のフラメンコ」などのヒット曲を連発し、「御三家」として活躍した、歌手で俳優の故・西郷輝彦さんだ

 家出した息子の無事を祈り続けてくれた母への感謝を、かつて西郷さんは本紙で語っている。「母は大地です」と。山本伸一作詞の「母」が好きで「機会があれば歌いたい」とも

 西郷さんが、自宅近くにある学会の会館の前を通った時のこと。近隣の迷惑にならないようにと声を掛け、周囲に心を配る創価班を目にしたという。その姿に「こういう青年がいれば、日本の未来は明るいですね」と西郷さん。「車の中で待っている僕にもおじぎをしてくれて」

 見ている人は見ているものだ。日頃の言葉遣いや振る舞いを通して、相手に伝わっていくものは必ずある。特別な出来事や言葉よりも、かえって深い共感や納得につながっていく。御書に「教主釈尊の出世の本懐は人の振る舞いにて候いけるぞ」(新1597・全1174)とある通り

 3月の異称は「弥生」。陽気に誘われるように、草木がいよいよ芽吹き始めることから「いやおい」とも呼ばれる。誠実な振る舞いで、地域に信頼と友情の花を咲かせよう。 

【3/1 聖教新聞・名字の言】