昔、私がある会社に勤務していた時、

重要なお客さんが視察に訪れると発表がありました。

                                         

今後の社運が決まるような

重要なお客さんだそうです。

 

当日、職場の上司が皆にこう言いました。

「とても重要なお客さんが今日視察に来る」

「会社の命運を握る重要なお客さんだ」

「くれぐれも失礼のないように」

「この課で何かあったら、俺の責任だ」

「そうしたら簡単に俺のクビなんか飛ぶ」

 

そして、上司は最後にこう言いました。

「特に遠藤、お前が一番心配だ」

私は、こう言いました。
「大丈夫です」

 

上司

「これは頼もしいなぁ」

 

「お客さんが来たら、トイレに逃げますから」

 

 

暫くした後、

課の外から、ガヤガヤと声が聞こえてきました。

 

思ったよりも大勢の人達が課に入ってきました。

 

お偉さん達は、大所帯の来訪で、

その周囲に、当社の役員達が総出で、

ホスト役を務めていました。

 

私は、「今だ。逃げよう」

と思って、席を立ち、

歩き出した瞬間。

 

ホスト役の役員の1人が私に近づき、

こう言いました。
「それではこの課の事を説明してください」

 

さらに続けて私に質問してきました。


私は、捕まってしまって、

「参ったなぁ」と思いながらも、

なんとか、しどろもどろではありますが、

答えていきました。

 

なんで、俺がこんな目に。

 

どうやら、逃げようと立ち上がったのが、

私が、この課のホスト役として立ち上がったと

勘違いされたようです。

 

これだったら、ジタバタせずに、

席に座ったまま、自分の仕事を続けていれば良かった。

 

なんで、俺がこんな目に。

 

神様は、覚悟しない人間が嫌いなようです。

 

 

 

ある時、三峯神社に行く事を決めました。

 

私は、車が無いので、

三峯神社に行くには、電車を幾つも乗り換えたり、

さらにバスに乗ったりで、大変です。

行くと決めた朝、

大雨が降っていました。

 

天気予報を観ると、1日大雨だそうです。

 

しかし、覚悟に揺るぎはありません。

 

なんとか三峰神社に辿り着きました。

 

参拝客は、私しかいません。

 

参拝を終えると雨がやみ、

晴れ間が見えてきました。

 

そして、空には、

神との誓約の証である虹が・・・。

 

 

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