私の高校の同級生で
Sくんという男がいました。
Sくんはその後法政で主将を務め、
6年のプロ野球生活の後、
現在は保険会社に勤めています。
万年球拾いの私とは違って
Sくんは1年のG.W.頃からは
すでに4番を打っていたのですが、
その実力はもとより、私が常に
圧倒されたのはその練習量と姿勢に
対してでありました。
Sくんから受けた衝撃は
たくさんありますが、
そのうちの1つに
雨の日に対する
Sくんの態度があります。
私が通っていた高校は
当時はバリバリの男子校で、
野球部に限らず、各運動部に
推薦の生徒がおりました。
しかしそれでも練習はどの部活の
誰にとってもキツいものであり、
曇りの日等は昼休みに校舎の窓や
ベランダから雨を確認しようと
各部員たちが手を外に差し出す光景は
日常茶飯事で、1滴でも
“ポツリ”と来ようものなら、
廊下やベランダで野球部、
サッカー部、ラグビー部が・・・、
状態でした。笑
しかしそんな中、雨が止むのを
いつも本気で願っていた男がいました。
そう、Sくんです。笑
私もそうですが、
雨=練習が早めに切り上がる=堺東or天王寺へGO!の図式が
常に頭にあったのですが、
Sくんは雨で練習ができなくなることを
心底心配していたのでした..
当時はそんなSくんを見て、
「ホンマ、野球好きやねんな〜」
くらいにしか思っていなかったのですが、
今となってはそれこそがその分野に
向いている
ということなのだと
自信を持って言えます。
向いている分野というのは一般的には、
“適した脳神経細胞があること”だと
解釈されがちだと思うのですが、
長い目で見れば“神経細胞だけ”で
突き進めるのはほんの数年限りです。
私が知っている野球、受験、
または私が知らない他の分野でも
傍から見たら“引く”くらい
それにのめり込む人というのは
いると思うのですね。
その“のめり込めるもの”というのが
その人が向いている分野だろうと
最近思うようになりました。
何時間でもゲームをする子というのは
やはりゲームにむいている子なのです。
何時間でも雑誌や本を読める子というのは
何かそういった情報を活字で得ることに
むいている子です。
24時間365日授業や生徒のこと、
保護者様のことを考えたり、
入試問題を解いたり、
科目の勉強をし続けることに
のめり込める人というのが
塾・予備校講師にむいている人だと思います。
よく言われる“むいている”というのは
何時間でもそのことについて
考えたり勉強したりできる
状態のことだと思います。
8時間以上野球に関することを
したから残業代を申請するイチロー選手。
練習は週休2日じゃないと
嫌だと言い張る羽生結弦選手。
休みの日にメロディーを
思いついて作曲したあとに
休日勤務手当を申請するミスチル桜井さん。
とてもじゃないですけど、
想像できないですよね・・笑
人はみんな自分の定規で測ると
シンドク見えることでも、
測られている側が違う定規で
人生を寸法している場合、
それは必ずしもシンドイとは限らず、
むしろ休めと言われる方が
シンドイ場合もあります。
究永舎でも、
たま〜に自習に
ちょろっと来る生徒よりも、
土日を10時〜22時で
自習する生徒の方が
いつも元気そうなのは
決して気のせいでは
ないと思うんですね。
何もしないために
生まれてきたんだという人は
ほとんどいないでしょう。
であれば“何もしない人”の方が
シンドクなるのは必然です。
スティーブ・ジョブズ、
ビル・ゲイツ、
マーク・ザッカーバーグ、
孫正義、イチロー、本田圭祐など、
各界のレジェンドたちが
学生たちに
「のめり込めるものを見つけよう!」
という情報を発信するのは
そういうことなのではないかと思います。
Sくんがゴルフボールの如く飛ばす
打球を毎日外野で追いかけながら、
「オレ、(野球に)向いてないよな〜。
あんな練習したら100パー死ぬ...」
と毎日思ってましたね。笑
だからこそ“のめり込めるもの”を
早く見つけないと!!!!と
気付かせてくれたSくんには
一生感謝すると思います。