▲遂に最後の1編成の引退が決まった長電3500系。


これは3年以上前に購入した営団3000系。
KATO製品と比べるとステンレスが白っぽくて話になりません。

それを塗り直すついでに整備した話です。


この形式最大の問題は編成選定。
営団3000系を作る上で重要になるポイントが、製造年次、ドア窓、ベンチレーター、台車、乗務員扉の5つ。他にも避雷器の位置とか窓枠とか色々あるようですが、自分には手に負えないので見なかったことします。


製造年次で注意すべきなのは1次車と7.8次車で、
1次車は2次車以降と比べて前面方向幕位置が高い、窓の寸法が違うといった差異があります。これらはマイクロでは作り分けがなされているようです。
7.8次車は先頭車前面の手摺りが6次車以前と比べてやや長いのが特徴。それ以外はB修施工車と大差ないので、許容範囲といえばそれまで。
ちなみにプロトタイプの3037Fは4次車です。


続いてドア窓。
ドア窓には大窓と小窓の2種類存在していて、ドア窓は7次車までが大窓で、8次車以降は当初から小窓で新造されています。B修のタイミングで7次車以前も小窓への更新がなされていたようです。なお小窓へ統一する前に置き換えが始まったため、引退時まで大窓で残った車両も存在しています。
大窓車についてはマイクロしか製品がありませんので、大窓が含まれている編成を鉄コレベースで作るのは困難でしょう。一応クロスポイントから大窓ドアのエッチングパーツがあるようですが、発売から相当年数が経過しているので入手はまず不可能。

次にベンチレーター。
これも7次車までは八角形、8次車以降は箱型と違いがあり、B修が始まると箱型への更新が行われます。ドアと同じく03系の投入に伴って更新は打ち切られたため廃車まで八角形を保った車両もおり、一部は長電に譲渡されて近年まで見ることができました。
鉄コレは全車箱型ですが、マイクロでは八角形も製品化されています。八角形のベンチレーターはエコノミーキット東急7000系のおまけパーツに含まれているため、ディテールはともかく入手・加工は容易。

厄介なのが台車で、2次車まで採用されていたFS-336、3次車以降で採用されたFS-348、FS-348の欠陥が明らかになったために交換用として採用されたFS-510の3種類を履きこなしており、台車が統一されている8両貫通編成は1本も存在していません。
FS-336はマイクロからしか製品化されておらず(代用品としてGMの小田急FSが使えるらしい)、FS-348に至ってはマイクロが無視したため鉄コレ優位。
製品の3037Fは、3500形がFS-348で残りがFS-510です。

最後は乗務員扉。

これがオリジナルの扉(多分)

これは交換後の窓が高いタイプ。

交換のタイミングがイマイチわかりません。

少なくとも長電譲渡時点で大半の編成で乗務員扉を

交換していたようです。

鉄コレとマイクロはこの点を作り分けておらず、両者とも長電を含め窓が低いタイプになっています。唯一窓が高いのはクロスポイント。


上記の5点を踏まえた上で、搭載している保安装置による直通先の違いを考慮する必要があります。
後続の03系では全編成に東急・東武両社の保安装置が搭載されていますが、3000系では両社の保安装置を搭載していた編成は僅か9編成。残りは東急のみ(7編成)か東武のみ(22編成)で、運用にも制約が出ていました。
東急と東武でSRアンテナが異なっていたため、編成選定の際には無視出来ません。
個人的には東急への直通が可能な編成にしたいので、この時点で
3001F〜3023F、3027F、3035F、3057F、3073F、3077F
の計16編成に絞られます。

鉄コレのプロトタイプとなっている3037Fから製作するには
①1次車が含まれていない
②ドアは小窓
③箱型ベンチレーター
④前面手摺りは短い
⑤FS-336台車を履いていない
⑥乗務員扉の窓は低い
この6つをクリアする必要があります。

まずFS-336台車が用意出来ないため2次車以前の編成が全て消え、残る編成は3035F、3057F、3073F、3077Fの4本に減りました。
ただ、残る4編成も
②③に該当しない…3073F
⑥に該当しない…3035F、3057F
④に該当しない…3077F
とエラーは不可避との結論に達しました。

ドア交換が必要な3073Fは難易度が高く、3077Fは東武用の棒アンテナが行方不明になってしまったので脱落、残る3035Fと3057FのうちFS-348への台車交換が2両で済む理由で3035Fを選択。

ネットの海からどうにか見つけ出した3035Fの写真です。編成内で最後にB修を受けた3035と3036が1986年施工なので、1988年撮影の写真との矛盾はありません。これ以降1993年の廃車時まで大きな変化は起きていません。


編成の選定にかなりの時間を費やしたので、ここからは時代考証に基づいて整備します。


表記類にはイーグルスモデルのインレタとステッカーを基本とし、カバーしきれていない営団の団章とシルバーシートはCPのステッカーを使います。



行先は菊名と北千住を選択。1988年に日吉駅改良工事の都合で菊名まで直通区間を延長した後の姿をプロトタイプとします。


製品に付属しているのは東武用の棒アンテナ(紛失)なので、代わりにKATOのSRアンテナを取り付けます。



3035.3036の台車をFS-348に戻すため、増結セットをもう1セット購入してFS-348台車を略奪。


営団3000系のパンタグラフは日比谷線の剛体架線に対応するために小型化されシューがパイプ状になっているPT44Aパンタグラフ(型番は多分)
同じく小型のPT44SパンタグラフをGMが製品化しているので、それを使用します。



鉄コレの欠点といえば、光らないこと。地下区間では常に点灯している地下鉄車両にとっては致命的です。

イズムワークスから専用のライトユニットが発売されているので、説明書通りに組み立てて取り付けます。


非常に明るく点灯するようになりました。


なお、集電化加工に伴って車高が上がっています。車高が上がる原因は調査中につき不明。


鉄コレの集電化についてはそのうち別の記事でまとめようかと思います。



放置2年強、時代考証半年、加工1ヶ月と無駄に時間を費やした営団3035F完成です。


光るだけで鉄コレ感が無くなります。


新旧日比谷線並び。もはや左すら古の日比谷線です。



最後に、加工に使用した製品を羅列しておきます。

・KATO 29-952-2 EC用台車集電板 4641
・KATO 11-606 中空軸車輪(ビス止め台車用・黒)(8個入)
・KATO Z03-0334 西武E851 無線アンテナ
・TOMIX 0654 φ5.6・ギアなし・黒・新集電
・TOMIX 0375 密自連形TNカプラー(SP・グレー・6個入)
・トミーテック 鉄道コレクションNゲージ動力ユニットTM-06R <18m級A>
・グリーンマックス 5820 PT44Sパンタグラフ
・イズムワークス ED3000 営団3000系対応ライトユニット
・イーグルスモデル NO.607 日比谷線3000系 正面,側面車号番インレタ
・イーグルスモデル NO.608 日比谷線3000系 行先幕(紺)ステッカー
・クロスポイント S-10221 東京メトロ5000系/営団3000系ステッカー
・ガイアノーツ ガイアカラー鉄道模型用カラーシリーズ 1000 ステンレスシルバー
・ガイアノーツ ガイアカラー 032 アルティメットブラック
・板錘
・銅テープ


【追記】

イーグルスモデルから営団3000系用の連結器回りパーツが発売されましたので、鉄コレ用に購入。


塗装後取り付けたところ、東急ATSと台車が干渉する想定外の事態が発生。

そもそもマイクロ用なのもあるでしょうが、FS-348台車に交換したのが原因なので、仕方なく東急ATSを移設して干渉しないようにします。

非常にカッコ良い姿になりました。

あとは室内灯を入れれば完璧でしょうか。