アイヌ非先住民族説は破綻している | toyohikobandoのブログ

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著名人、国会議員のアイヌに対する単なるヘイトクライムが気になっています。

 

明治天皇の玄孫を売りとする武田恒泰とか、元北海道議会議員の小野寺まさるなどが学術的根拠もなく、「アイヌ民族は先住民族ではない」とする主張は単なるヘイトクライムである。アイヌの民族衣装を着て公の場にいると「コスプレ」、と揶揄するのもヘイトクライムである。

アイヌ民族を貶める発言をする連中のことを反日右翼と言う。

 

小野寺まさるは自民党の元北海道道議会議員で、今では自民党も相手にしない、SNS上でアイヌ民族に対するヘイトクライムを執拗に繰り返している男。しかし、その根拠は自分が作り上げた妄想のようなもの。所詮単なるヘイトクライムなのでその根拠なるものは無い。

 

竹田恒泰は、もっともらしい歴史解説から「アイヌは先住民族では無い」と主張するが、その根拠なる歴史資料、考古学や古文書学等の提示は一切行わない。

 

茂木誠はユーチュバーというのか、予備校講師等の他色々な肩書を持つ人物で、ある程度の最新の学術的根拠に基づきアイヌ民族の解説をしつつも、なぜか鎌倉期に「アイヌ民族は北方から北海道に侵入してきた異民族」であると、自分が解説した科学的根拠とは矛盾する結論を突然導き出す。

 

杉田水脈はレベルが低すぎるので捨て置く。

 

筆者は西日本出身の和人を先祖に持ち、人類学や歴史学の専門家でもないが、アイヌ人に対するヘイトクライムを聞くと、これまでに世話になったアイヌの人々に申し訳が立たないので、自分の出来る範囲で資料を調べ、アイヌ民族に対するヘイトクライムに対して反論することとする。

 

先住民族の定義

国連による定義では、「政治的に劣勢な地位にある集団で、その国の支配的な地位にある集団のものとは異なった、同じエスニック・アイデンティティを共有し、現在統治している国家が支配を及ぼす以前から、その地域において、エスニックな実体をなしていたもの」となっている。

誰を、何時の時代で先住民とするのかだが、普通に考えるに、和人が来る前から住んでいるなら先住民族に当たると単純に考えるはずだ。

アイヌ民族を先住民族としない彼らはオリジナル日本人・縄文人を先住民族とし、具体的に小野寺が言うには、アイヌは鎌倉時代に北方から北海道に侵入し縄文人を殺しまくり北海道を占領した征服者、先住民族ではないとの主張。

これを珍説という。

 

遺伝学からの視点

まず先に結論から行こう。

縄文人気は暫く前から起きているが、2021年7月に北海道・北東北の縄文遺跡群は世界文化遺産に登録され、縄文人のDNA解析も知られるようになっている。その中でも注目すべきはY染色体である。

公表する*各調査機関により数値の違いに若干の差があるが、公表されている最新のゲノム解析の結果を見ると、おおよそ、現在の日本人(弥生人)は縄文人のDNA10%を受け継ぎ、アイヌ人は70%、琉球人が30%となっている。

男系天皇による継承を主張している方々はその根拠にY染色体を持ち出す。

東大においては、アイヌ民族は縄文人Y染色体80%以上という高い数値を発表している。

ならば、限りなくアイヌ民族は縄文人で現日本人のオリジナル、明らかに北海道は勿論、日本の先住民族ということ。

ヘイトクライムを繰り返す諸氏は、この事実を否定するために相当な科学的反証が必要と思う。

*国立科学博物館、国立遺伝学研究所、東京大学 大学院理学系研究科、国立研究開発法人、日本医療研究開発機構、その他・・・

 

考古学からの視点

これまでの考古学上の発掘調査で次のように解明されている。

主に7-10世紀道央あたりまでをエリアとしていた擦文人(続縄文人の後継)が、10-11世紀に徐々に日本海側を北上、11-12世紀にオホーツク海側に抜け、12-13世紀に太平洋側に南下してきているのは、竪穴住居跡や擦文土器で明らかになっている。考古学上の見地から、一つの住居跡が縄文から擦文を経てアイヌ民族へと継続性が認められる。

彼らが鎌倉時代に北方から侵入してきた民族との珍説は考古学上成立しない。

3-4世紀ごろに南下してきていた北方民族のオホーツク人がオホーツク海側におり、擦文人の進出で彼らはサハリン(樺太)、択捉以北の千島へと後退(出戻って)いる。取り残された釧路方面のオホーツク人はアイヌとの合流を果たし、この地方でトビニタイ文化が発生する。

アイヌ人のDNAのなかに北方系のDNAが受け継がれるのは、トビニタイ文化の時と思われる。それ以降、擦文人をアイヌ人と呼ぶようになる。

そして、北海道アイヌのテリトリーはサハリン南部、択捉までと広がり、後に江戸時代に入り江戸幕府は、北海道アイヌの居住範囲であるエリアを日本領土としている。

最近の考古学上の研究では、11世紀ごろのサハリン南部でも擦文土器の発見などがあり、その発見場所がサハリンアイヌの住居エリアと重なることが判明している。

 

古文書・歴史資料からの視点

そもそも、平安時代から東北・北海道の夷(擦文人)と倭(和)人は交易をおこなっており、それは文書として記録されている。其の後の鎌倉時代には蝦夷管領という役所(重罪人の流罪管理や擦文人或いはアイヌとの交易を担当)があるわけで、その時期に北方からアイヌが北海道に流れ込み擦文人を駆逐し北海道を占領したとなれば、それこそ鎌倉幕府の一大事で、和人側の記録にそれが記録されないわけがない。が、そんな記録は無い!

また、文字を持たないアイヌ人の歴史としても、その彼らの伝承の中に具体的に言い伝えがあってもおかしくないはずだが、それに類する話も皆無である。

アイヌ非先住民族説主張者の理由の一つに、元の東進に伴い北方から北海道に押し出されたのがアイヌであるとの説だが、事実は逆。以下、「元史」の記録である。

元は1284-1286年にサハリンの対岸まで進出してくる。それに対し、北海道アイヌ(サハリンアイヌ)は間宮海峡を渡り大陸側で元軍と対峙している。紛争の起こりは交易の主導権争いのようだ。これにニブフ(旧称ギリヤーク人)が絡んでくるのだが、そもそもアイヌとニブフはあまり仲が良くない。事の発端はニブフが元を呼び込み連合軍を組んでアイヌと対立するが、そのうち1296年一部のニブフがアイヌに味方し以後休戦期も含む長期戦にもつれこむ。元は1万もの軍兵を派遣していることから、アイヌ側としては総力戦で対応したのではと想像する。一旦は北海道まで撤退することもあるが、1308年にアイヌ側が元に朝貢することで停戦となっている。元史にはアイヌも含む北方各民族のことが書かれており、元の東進によりアイヌが北海道に侵入していったというような記録は無い。

この歴史的事件は昔から正史として理解されている。北方民族が元の圧力で北海道に流れ込み、擦文人(縄文人)を殺しまくり、北海道を乗っ取ったのがアイヌである、というならその資料を提示してもらいたいものだ。

その後、元が後退して明が登場。明の「経世大典序禄」にもアイヌは記録されており、明との活発な交易をおこなっていたと。

 

言語学からの視点

珍説を唱える人の説の一つに、日本語とアイヌ語の相違、言葉の違い文法の違いがあり、だからアイヌ人は縄文人ではないとある。これもまた馬鹿げた主張で、そもそも縄文語を聞いた人は現代人には誰もいなく、それが今の日本語の文法や語彙がどれほど類似するのか別物なのかはタイムマシンでもない限り誰も知りようがない。

そもそも、アイヌ語は日本語と同じで孤立した言語といわれる。つまり、北方民族との関連性は無い。

そして語順は日本語と同じで主語 - 目的語 - 動詞のSOV型となる。

現代の日本語文法構造は朝鮮語に近いとされる。

縄文文化がある時、半島から渡ってきた人たちにより突然弥生文化にとってかわられていく。人が変わるから当然言葉も変わる。その弥生人が今の日本人である。

弥生人による大和朝廷は、征服が遅れた東日本の縄文人を蝦夷と呼び、時代とともに東北の隅の方まで追い込んでいく。

最終的に、江戸時代の時点でも青森県で北海道アイヌと同じアイヌ人の居住が確認されていたが、各地のアイヌ語由来の地名を各地に残して本州から蝦夷であるアイヌ人は駆逐されていく。

しかし、アイヌ学者の片山龍峯や民俗学者(哲学者)の梅原猛などは日本語の語彙の中にアイヌ語を見出し、アイヌ語を日本語の基礎と考えている。孤立語のアイヌ語に他の言葉が積み重なっただけと考えれば、孤立語としての日本語が出来た理由もなるほど、となる。

最近、縄文アイヌ研究会主催の沢田健一氏の話でアイヌ語は縄文語である趣旨の話を聞いた。彼の本を是非読んでみることとする。

 

似非科学の衣を纏ったアイヌ非先住民族説の出処

自分で最近の資料を当たれる人ならば、アイヌ非先住民族説はウソとすぐ気が付くはず。筆者の場合は、これまでの蔵書の再読、インターネット検索、更に複数の図書館通いを繰り返すことで彼らのウソを確信したしだい。

種種の文献を漁っているうちに、彼らの主張の元となった可能性があるのかと思われる書籍を見つけた。それはアカデミズムの衣を纏った旭川医大出身の医師、的場光昭による種種の反アイヌの著作。しかし、これに対して同じく旭川医大の准教授、稲垣克彦の「DNA解析とアイヌ民族否定論:歴史修正主義者による先住民族史への干渉」、という学術論文によって的場の主張は完全論破されていることをお知らせしておく。

 

 

反日右翼とは

筆者、これを確認していないが、元々シベリアにいたアイヌを日本人がいじめるならプーチンが彼らを助けに来る、と言ったとかいう話。

彼らのアイヌ非先住民族説はプーチンに北海道侵略の正当性を与えることであり、つまりそれは反日行動ではないか。

だからアイヌ非先住民族説を主張する連中は反日右翼ということ。