皆様、こんにちは。
料理家&クリエイターの豊田亜紀子です。
今日は、クレープシュゼットのレシピをご紹介致します。
元をたどりますと、クレープシュゼットとは、砂糖をかけたクレープにグランマニエを注ぎ、それに火をつけてフランベし、その後、風味付けにオレンジ果汁とオレンジゼスト(皮のすりおろし)を加えたお料理のこと。
フランベしたグランマニエのアルコールが蒸発すると同時に砂糖が濃厚なカラメル状になるのです。
このクレープシュゼットというお料理を世に広めたのは、オーギュスト・エスコフィエ。
彼が『シュゼットパンケーキ』としてレシピを著述したことで世に広まったのでした。
そのレシピが形を変えて、フレンチレストランや一般家庭に普及していったのです。
しかし、クレープシュゼットは、オーギュスト・エスコフィエが創作したお料理なのではありません。
ですから、彼はクレープシュゼットをいう名を使わずに『シュゼットパンケーキ』と名したのです。
きっとオーギュスト・エスコフィエもこのクレープシュゼットにまつわるとても素敵な逸話を知っていたからなのでしょう。
起源については諸説があるそうですが、そのうちの一説においては、1895年アンリ・シャルパンティエが若かりしエドワード7世とその恋人シュゼットのためにデザートを作ったのだそうです。
まだ幼かったアンリ・シャルパンティエは、加熱したお皿を扱っているうちに偶然リキュールに火がついてしまったことに気が付いて「大変だ!王子に出すお料理がダメになってしまう!」と慌てふためきました。
しかし、火を消してそのデザートを味見してみたところ、今まで一度も味わったことのないようなおいしさに変化していることを発見したのです。
もちろん、そのデザートを食べた若かりしエドワード7世は大喜びしました。
はじめは、このお料理を『クレープ・プリンセス』と名付けようと思っていたアンリ・シャルパンティエ。
そのことを聞いた若き王子は恋人シュゼットの前でこう言ったのです。
『このお料理の名前を『クレープ・プリンセス』から『クレープ・シュゼット』に変えてくれませんか?』と・・・・・。
こうしてクレープ・シュゼットが誕生したのでした。
その後、アンリ・シャルパンティエは王子から宝石をちりばめたリングやパナマ帽、杖などのプレゼントをもらったそうです。
とっても素敵な逸話ですよね。
このクレープシュゼットは、そんな高貴な逸話のあるお料理なのです。
いただくおいしさがさらに増しますね。
今日ご紹介するレシピは私のアレンジレシピです。
皆さんもぜひご賞味下さいね。
クレープシュゼット
<材料2人分>
●クレープ 6枚 (※下準備欄を参照のこと。)
~オレンジソース~
●オレンジ果汁 1個分
●オレンジスライス 2枚
●グラニュー糖 30g
●有塩バター 15g
●グランマニエ 大さじ1
(※本来はグランマニエを使用しますが、似た風味を持つコアントローでも代用可能です。)
<下準備>
①クレープは下記のリンクのレシピ記事通りに作ったものを用意して下さい。
(クリック!)
②オレンジスライスはそれぞれ半分にカットしておきます。
<作り方>
1.下準備①のクレープを4つ折り(半分に折ってから、さらに半分に折る)にしてお皿にセットして、その上に下準備②のオレンジスライスを乗せます。
2.オレンジソースを作ります。
小鍋にオレンジ果汁、グラニュー糖、有塩バター、グランマニエを投入して沸騰させて1~2分煮立たせます。
3.1に2のオレンジソースをかけてクレープにしっかりなじませてからナイフとフォークを使っていただきます。
<ポイント>
(※1)クレープとオレンジソースを平鍋で一緒に数分間、煮込むというレシピもありますが、当レシピのようにオレンジソースをかける方式のレシピの方が簡単で便利だと思います。
(※2)お好みでオレンジソースに『オレンジの皮のすりおろし』を少々加えるとさらに風味が増しておいしくなります。
(※3)オレンジスライスを飾ったのは、私のアレンジレシピです。
本来は、オレンジの果肉を房ごとに切り取って飾るか、一緒に煮込むという調理をします。
昨日のレシピ記事で『クレープの基本レシピ』をご紹介した理由は、この『クレープ・シュゼット』のレシピを皆さんにご紹介したかったからでした。
お菓子には今日ご紹介したような数々の逸話が存在します。
それを知り、感慨深い気持ちで食せたら、さらに楽しみが増しますし、心に沁みますよね。
私は今日ご紹介したようなロマンチックなお菓子にまつわる逸話が大好きです。
淑女のフランス菓子『クレープ・シュゼット』、皆さんもぜひ作ってみて下さい。