さて、今年第一号の試乗レポートは、ついに発表された本格PHEV「アウトランダーPHEV」の市販バージョンに試乗することが出来た。
これまで、筆者はエコプロダクツなどでプロトタイプに乗るチャンスなどあったのだが、そのリファインはなされているか?も含めてこの場でレポートしたいと思う。

$東洋一のカーマニア”改”
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これがアウトランダーPHEV
基本的なスタイルは新型アウトランダーと同じだが、唯一の識別はマウントフジ・グリルの線が細くなっている点とサイドについている「PLUG-IN HYBRID」のエンブレムぐらいで、iMiEVのようにマフラーが無いということは無いので注意が必要である。


<三菱流ハイブリッドは電気自動車+エンジン>
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プラグインハイブリッドの基礎原理を簡単に説明した写真たち
バッテリーは60kmが走行可能な12Kwを装備し、モーターで走行しながら電力が足りなくなった時点でエンジンが起動し、充電器(ジェネレーター)で発電、バッテリーを充電する。
もちろんエンジンで充電する以外にも、家庭用充電や日本各地に装備している急速充電器(Cha-de-mo仕様)で充電することも出来る


三菱のプラグインハイブリッドは、これまでのエンジンをメインとしたパラレル(トヨタ)式ハイブリッドとは一線を画し、前輪(82馬力/14キロのトルク)と後輪(82馬力/19キロのトルク)にモーターを配置し、エンジンは前輪を駆動するほか、発電機を回すために使われる。

これが複合燃費67キロ(JC-08モード)を実現する目玉でもあり、路上に伝えるときにエンジンの回転域を上下する再に発生するエネルギーロスより、エンジンを一定回転で回し、発電機を用いて充電するほうが、エネルギーの回収効率が高いのである。これまでのプリウスやアクアなどに用いられているパラレル方式などはエネルギーロスが多いため、カタログ値とかけ離れた(ひどいときはカタログ値の半分)燃費しか記録が出来ない事もあったのだが、アウトランダーの採用したシリーズ式の場合、大雑把な測定ではあるが、大人三人が乗って300キロを市街地、高速、ワインディングロードで走行した場合、7.1リッターのガソリン消費(42.2キロ/リッター)で済んでいる。途中ガソリンエンジンを任意で使用するなどの操作を行うなど通常の使用とは若干違うが、簡単にこれだけの燃費を稼ぐことが出来る点は、特筆に価する。


<モーターならではの加速感とEVならではの低重心>
さて、原理の説明はここまでにして、実際に試乗してみよう。
基本的にアウトランダーPHEVはエンジンとモーターの仕様は全て同じで、内装などの差別でグレードが分けてあり、今回試乗したのが最量販モデルになるGになるが、外観上での最廉価モデルと差は、プライバシーガラスと死角確認用の「雨上がりの毒キノコ」のようなミラーぐらいである。(ナビパッケージ・プレミアムパッケージには死角用にカメラが装備されている)

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内装のインパネとシート
インパネはピアノブラックと言うつやアリの樹脂パネルが質感を演出している。
シートはファブリックと合成皮革のシートが標準だが、最上級モデルは本皮シートも選べる。


パワーボタンを押すと起動音を発生するだけで、準備OKジョイスティックのようなレバーを「D」に入れてサイドブレーキを解除するとするすると発進する。これまでの車には無い振動やノイズが皆無でするすると発進する感覚は、感動すら覚える。

過去、この感覚を何かで感じたことがある。
それは何かと記憶をさかのぼると・・・トヨタのセンチュリーなのである。

しかもバッテリーを車体の下部に配置しているので、重心が下がっていることも手伝い、足の踏ん張りが良く、角を曲がるときの挙動も落ち着き払った重厚なもので、クラス一つ上の高級感を併せ持っている点は特筆モノである。

しかも、動力性能もモーター二個を前・後輪に配置して、あわせて164馬力、トルク35キロと必要にして充分の性能に、高速走行時にはエンジンのアシストを行うことも出来るので過不足というものはほとんど無い。

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左:シフトはジョイスティック式でR(後退)N(ニュートラル)D(前進)にB(回生ブレーキ)を選べるようになっている。
右:メーターにはエコインジケーターを装備しており、右に行くとパワー重視、左に行くとパワーセーブと充電と言うわかりやすい配置になっている。


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アウトランダーに装備しているスーパーHID
通常のHIDよりも広範囲の照射が可能で、死角が減る点は高評価である。


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アウトランダーに採用されている新RISE
ハイテン鋼材を採用しており、従来比150キロの軽量化に成功している。
PHEVの重量を1800Kgに抑えることが出来たのもこのRISEがあったからこそである。


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アウトランダーPHEVはスマートフォンに対応しており、充電スケジュールや、遠隔操作でのエアコンコントロール、防犯機能等がコントロールできる。

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EVであることもあり、社内には100Vのソケットを装備している。
オプションのパワーボックスを利用すると1500Wまでの電源を利用することも可能で、エンジンを併用するとガソリン満タンで10日分の電力をまかなうことが可能


<これが次世代ハイブリッドの形>
というわけで、短い距離であったが、以前乗ったプロトタイプと比較しても大幅にリファインしていたことを確認した。特に、エンジンの遮音性とモーターの力強さは、現状のベストと言ってよいだろう。

エンジンを発電に特化した電気自動車というPHEVの可能性は非常に高く、このプラットフォームとコンポーネントを上手に流用すれば、三菱の特色にもなるだろう。

その為にも、是非ともやってほしいのがこのコンポーネントを利用したミドルクラスの4ドアサルーンである、BMW5シリーズ、メルセデスEクラスのサルーンをPHEVにしたら、人気が出ると思う。
そのときは是非とも「ディアマンテ」の名前で作って欲しい。