こんばんは。
森320です。
それでは、後編。
(「自由人宣言」前回分が前編です)
終電間近の静まりかえった車内に携帯電話の着信音が鳴り響いていた。
そうあの男である。
私は少しだけ不快に思いながら、男の様子を覗きこむような気持ちでいた。
『もしもし?』と電話をうけとると男は回りを気にする素振りなどせず、話を続けようとしている。
普段電車に乗る機会が少ないせいか、私にとってそれが普通の出来事とは思えなかった。
そして気が付けばその気持ちが男への興味へと変わっていたのだ。
割と大きな声で話はじめた男はどうやら仕事場の上司と会話をしているようであった。
『もう店でましたですし? 明日も仕事で朝早いですし? もう電車乗りましたし?』
おそらく上司を置いて先に帰宅した男へ上司から電話がきたのだろう。
この時の私はそう思い込んでいた。
『そうですし?』『いや、無理ですし?』
なにか無理な頼みごとでもされてるのであろうか。
私の向かいに座っている大学生風の青年も男の会話に耳を傾けているようであった。
やはりこの男なにか変だ。
この男の会話を聞いていると語尾に『~ですし』と必ずつけている。
私の中の私が動きはじめていた。
(以下、私の心の声)
あれ?こいつ丁寧語?なんかへんだろ?
つーか電車ん中だぜ、にーさん?
なんかもーちょっと周りにきーつかってこーよ?
声ひびいてますよー。
さっきっから、ですしって必ず語尾に付けてるけど?わざとなの?
あれ?そう思ってるの俺だけ?いやーこれわざとだろー。
そして、男は会話を続けた。
『明日ですし? そうですし? なんでですし? わかってますし?』
つーか語尾を可愛く言うな!はてな系にすんな!
あーこのしゃべり方、段々はらたってきたー。
『もうつきますし? 歩きですし? そうでし?』
おいおい?にーさん!そうでしってなんだよ!間違いなの?なんなの?やめてー(笑)
なんか恥ずかしいーこっちが(笑)
でも、これもしかして今若者の間で流行ってるってやつ?俺が知らないだけ?
そんなどうでもいい疑問まで抱いてしまった。
しかし、男はまさかの方向へと進むのであった。
『もしも~し? もし? あーわりー電車だから電波とぎれたくせー』
………えー!?うわー戻ったー。いきなり普通に戻っちゃったよ!
言えよ!そこは電波悪かったですしって言えよ!!ふざけんな!
やるならやりきれ!
あれ?俺、ですしを求めてる。
そしてどうしようもないどーでもよさと、ブレないこと、貫くことの大切さを私に教えてくれた。
男は颯爽と電車を降り、終電間近の寂しいホームへと溶け込んでいったのであった。
完。
いやー電車ってホントにいいですね。
とりあえず僕は電車では電話は受けないようにしようと思います!
でわ!
森320です。
それでは、後編。
(「自由人宣言」前回分が前編です)
終電間近の静まりかえった車内に携帯電話の着信音が鳴り響いていた。
そうあの男である。
私は少しだけ不快に思いながら、男の様子を覗きこむような気持ちでいた。
『もしもし?』と電話をうけとると男は回りを気にする素振りなどせず、話を続けようとしている。
普段電車に乗る機会が少ないせいか、私にとってそれが普通の出来事とは思えなかった。
そして気が付けばその気持ちが男への興味へと変わっていたのだ。
割と大きな声で話はじめた男はどうやら仕事場の上司と会話をしているようであった。
『もう店でましたですし? 明日も仕事で朝早いですし? もう電車乗りましたし?』
おそらく上司を置いて先に帰宅した男へ上司から電話がきたのだろう。
この時の私はそう思い込んでいた。
『そうですし?』『いや、無理ですし?』
なにか無理な頼みごとでもされてるのであろうか。
私の向かいに座っている大学生風の青年も男の会話に耳を傾けているようであった。
やはりこの男なにか変だ。
この男の会話を聞いていると語尾に『~ですし』と必ずつけている。
私の中の私が動きはじめていた。
(以下、私の心の声)
あれ?こいつ丁寧語?なんかへんだろ?
つーか電車ん中だぜ、にーさん?
なんかもーちょっと周りにきーつかってこーよ?
声ひびいてますよー。
さっきっから、ですしって必ず語尾に付けてるけど?わざとなの?
あれ?そう思ってるの俺だけ?いやーこれわざとだろー。
そして、男は会話を続けた。
『明日ですし? そうですし? なんでですし? わかってますし?』
つーか語尾を可愛く言うな!はてな系にすんな!
あーこのしゃべり方、段々はらたってきたー。
『もうつきますし? 歩きですし? そうでし?』
おいおい?にーさん!そうでしってなんだよ!間違いなの?なんなの?やめてー(笑)
なんか恥ずかしいーこっちが(笑)
でも、これもしかして今若者の間で流行ってるってやつ?俺が知らないだけ?
そんなどうでもいい疑問まで抱いてしまった。
しかし、男はまさかの方向へと進むのであった。
『もしも~し? もし? あーわりー電車だから電波とぎれたくせー』
………えー!?うわー戻ったー。いきなり普通に戻っちゃったよ!
言えよ!そこは電波悪かったですしって言えよ!!ふざけんな!
やるならやりきれ!
あれ?俺、ですしを求めてる。
そしてどうしようもないどーでもよさと、ブレないこと、貫くことの大切さを私に教えてくれた。
男は颯爽と電車を降り、終電間近の寂しいホームへと溶け込んでいったのであった。
完。
いやー電車ってホントにいいですね。
とりあえず僕は電車では電話は受けないようにしようと思います!
でわ!