1980年5月18日
午前8時32分
ワシントン州
123年の沈黙の後、セントヘレンズ山は爆発した。その威力は、後に数百発の原子爆弾の爆発に匹敵するとされた。しかし、これは垂直噴火ではなく、水平噴火だった。
山の北側が崩壊した。
山頂は跡形もなく消え去った。
広大な大地が一瞬にして平らになった。
火山灰、岩石、ガスからなる超高温の噴石が、時速1,100キロメートル近い速度で吹き荒れた。気温は700℃を超えた。約600平方キロメートルに及ぶ森林が跡形もなく消滅し、木々はマッチ棒のように折れた。
火山灰の柱は空高く24キロメートルまで立ち昇り、昼間の光を覆い隠し、複数の州に渡って流れた。
57名の命が失われた。その中には、火山学者デイビッド・A・ジョンストンも含まれており、彼の最後の無線交信は地質学史の一部となった。
この噴火が特異だったのは、規模の大きさだけではない。
それは科学者たちの火山に対する理解を根本から変えた。
世界中の災害対策計画を書き換えた。
これは単なる爆発ではなかった。
それは、地球は決して穏やかに噴火するわけではないということを、改めて私たちに思い知らせたのだ。