爪の変化はがんリスク増加の兆候かもしれない
NIHの研究によると、爪に白い線や赤い線などの異常が現れる場合、がんのリスクを高める遺伝子変異が起こっている可能性があることが示唆される。
2024年6月22日
The Epoch Times
これまで無視してきた爪の微妙な隆起、変色、肥厚は、単なる美容上の問題にとどまらない可能性があります。
新しい研究によると、これらの変化は、若いうちに複数の癌を発症するリスクを高めるまれな遺伝性疾患の警告サインである可能性があることが示されています。
がんへの遺伝的素因
JAMA Dermatology に掲載された最近の研究によると、爪の長さに沿って白または赤の帯で識別される良性の爪の異常である爪乳頭腫の存在は、BAP1 腫瘍素因症候群と呼ばれるまれな遺伝性疾患を示す可能性があることがわかった。
この症候群は、腫瘍抑制因子として機能することが研究により示唆されている BAP1 遺伝子の変化によって引き起こされます。この突然変異を持つ人は、皮膚、目、腎臓、およびアスベストへの曝露と関連のある中皮腫のがんを発症するリスクが高くなります。これらのがんは、一般的な発症年齢よりも早く発症し、急速に成長し、転移しやすい傾向があります。
この遺伝子変異を持つ人すべてががんになるわけではなく、中には皮膚腫瘍以外の症状のみを発症する人もいます。
この研究では、BAP1腫瘍素因症候群を持つ35家族47人の被験者を調査しました。被験者の年齢は13歳から72歳までと幅広いです。
これらの参加者のうち、87.2% に何らかの爪の異常が見られました。 白い筋や線（白爪）、爪の下の出血（ささくれ状出血）、爪の割れや層状化（爪甲剥離症）、爪の肥厚（遠位爪肥厚症）などがその例です。
より具体的には、83% の結果が爪上皮腫と一致しました。30 歳以上の人だけを調べた場合、88% がこの爪上皮腫を持っていました。
5人の参加者の爪床の生検により、爪乳頭腫の存在が確認されました。通常、この症状は1本の爪のみに影響を及ぼしますが、BAP1腫瘍素因症候群と診断された人のうち、約88％は複数の爪に影響を及ぼす爪乳頭腫がありました。
「この結果は一般人口ではほとんど見られないものであり、複数の爪に爪乳頭腫を示唆する爪の変化が見られる場合は、BAP1腫瘍素因症候群の診断を考慮すべきであると考えています」と、米国立衛生研究所（NIH）の国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所の皮膚科コンサルテーションサービス部門長エドワード・コーウェン博士はプレスリリースで述べています。
爪の検査は早期発見に有望
研究者らは、爪のスクリーニング検査は、特に、メラノーマやその他の BAP1 との関連が疑われる悪性腫瘍の既往歴がある患者にとって有益である可能性があるとしている。
ニューヨークのグレンコーブ病院の皮膚科医長であるラマン・マダン博士は、The Epoch Times の取材に対し、爪乳頭腫はまれな疾患であると語った。多くの症例は報告すらされていないが、それは「良性だから」だと付け加えた。
マダン医師によると、典型的な治療法は腫瘍の切除手術です。また、一部の医師は爪の付け根部分（爪の付け根にある爪の付け根部分）も切除します。これは、しこりが再発しないことを確認するためです。現在、これが唯一の有効な治療法ですが、20％の症例で再発がみられ、手術は合併症を引き起こす可能性があります。研究者は、リスクがより少ない可能性のあるレーザー治療などの代替方法を検討しています。
この病気はまれな疾患であり、研究対象者も少数であるため、「大きな結論を導くのは難しい」とマダン博士は述べたが、結果は「説得力がある」と指摘した。
無視できない爪の変化
爪の状態は、さまざまな健康状態を反映します。
黄色や緑がかった爪は真菌感染症や乾癬の兆候である可能性があり、白い斑点は腎臓、肝臓、副鼻腔、呼吸器系の問題と関連している可能性があります。青や紫に変色している場合は、血液中の酸素濃度が低い、貧血、化学物質への暴露などが考えられます。
爪の形や質感の変化、例えば、爪が湾曲し指先が膨らむ「クラブビング」は、血液中の酸素量を減少させる心臓病や肺疾患で起こることがあります。小さなへこみ（陥没）は爪の乾癬を示す可能性があり、多くの場合、他の部位にも乾癬による発疹が現れます。
爪の成長が遅い場合は、甲状腺機能低下症、栄養不良、成長を抑制する薬物の影響が考えられます。爪がもろい場合は、亜鉛不足が考えられます。
しかし、爪の変化が診断の決め手となるわけではありません。爪の変化が異常な場合は、根本的な原因を特定するために医療従事者に相談してください。