ウクライナ、AI生成の外務省報道官を導入

2024年5月3日

Natural News

ウクライナ外務省は、人工知能(AI)によって生成されたスポークスウーマンを導入した。
MFAは5月1日、同省を代表して公式声明を発表する「デジタル・パーソン」、ヴィクトリア・シーを導入した。ダークスーツに身を包んだこのデジタル広報官は、ソーシャルメディアに投稿されたプレゼンテーションで示されたように、両手でジェスチャーをし、頭を動かしながら話す。ヴィクトリアの名前は、英語の「victory(勝利)」とウクライナ語でAIを意味する「shtuchniy intelekt」に基づいている。

外務省によれば、声明の読み上げにシー語を使用したのは、外務省としては「史上初」だという。しかし同省は、シーが読む声明文は依然として人間が書いたものであることを明らかにした。

外務省のプレス・サービスもこのことを証明し、デジタル・スポークスウーマンの発言はAIによって生成されるのではなく、「本物の人間によって書かれ、検証される 」とフランス通信社に語った。「AIが生成するのは視覚的な部分だけです」と付け加えた。

ウクライナのドミトロ・クレバ外相は、この新しいデジタル・スポークスウーマンを 「世界のどの外交機関もまだ成し遂げていない技術的飛躍 」と表現し、シー氏を称賛した。同氏によれば、デジタル・スポークスウーマンを創設した主な理由は、外交官の「時間とリソースを節約する」ためだという。

シーは、現在進行中のロシア・ウクライナ戦争に関連したバーチャルリアリティコンテンツも制作している『ゲーム・チェンジャーズ』と呼ばれるチームによって制作された。彼女の外見と声は実在の人物、ロザリー・ノンブレというインフルエンサーをモデルにしている。この歌手は以前、ウクライナ版リアリティ番組『バチェラー』の番組『Holostyak』に参加していた。

現在ロシアの支配下にある東部の都市ドネツク生まれのノンブルは、インスタグラムのアカウントで54,000人のフォロワーを持つ。彼女は自身のプラットフォームを使って、混血のウクライナ人やロシア語話者として育った人々に関するステレオタイプについて議論している。外務省によると、ノンブルは無料で参加した。

同省は最終的に、シーとノンブルは「別人」であり、公式声明を出すのはAIのスポークスウーマンだけだと強調した。偽物を避けるため、シー氏が配信するMFAの公式声明には、同省ウェブサイトのテキスト版にリンクするQRコードが添付される。

ウクライナ、9月にトランスジェンダーの軍報道官を停止
シー氏の導入は、ウクライナ軍が昨年9月にサラ・アシュトン・チリロ軍曹をウクライナ軍領土防衛軍(TDF)の報道官として停職処分にしてから数カ月後のことだ。

男性から女性(MTF)へトランスジェンダーであるアシュトン・チリロをめぐる騒動は、彼が9月13日に 「お気に入りのクレムリンの宣伝者は罪を償うことになる 」と警告するビデオをオンラインに投稿したことから始まった。ビデオの警告はロシアの宣伝者にも及び、アメリカ生まれのMTFスポークスマンは、彼らは 「追い詰められ」、「正義が下される 」と述べた。(関連記事 ウクライナは世界中で 「ロシアの宣伝者 」を追い詰めるとトランスの広報担当者が発言)

 

 

このため、J.D.バンス米上院議員(共和党)は、ビデオが公開された2日後に米政府高官に書簡を送った。9月15日の書簡で、彼はアシュトン・チリロがウクライナ軍に雇われているのかどうか、また 「アメリカの資源を使って報酬を得ている 」のかどうかについての情報を求めた。バンスは書簡の中で、TDFの報道官がロシアの宣伝活動家を 「肉体的暴力 」で脅したと主張した。

しかし、アシュトン・チリロがビデオを投稿した1週間後、TDFは声明を発表し、調査結果が出るまでスポークスマンを停職処分にしたと発表した。声明によると、アシュトン・チリロの「ここ数日の発言は、TDFの司令部やAFUの司令部によって承認されたものではない」という。