建築士会女性部会の企画で、9月8・9日と、東北へ視察ボランティアに行ってきました。参加された内記さんの報告書をご紹介いたします。


東北へ視察とボランティアに行ってきました

射水支部 内記悦子

「富山県建築士会女性部会・・・富山県から・・・こんな遠くから来られるのかと、今朝も改めてチラシを見直して参加したいと思ったのですよ。」 被災地を訪問して、仮設住宅で暮らす方と一緒にお花を活ける企画の時に言われた言葉です。「一年半近く経って、震災直後はたくさんの人が来られたけれど、だんだんと少なくなり、最近はほとんど来られなくなって・・・でもこんなに遠くの人が今でも自分たちのことを忘れないでいてくれる、と思っただけで嬉しかったのですよ。」その言葉に胸がうずきました。すぐ来たかったのだけど、どんどん時間が経って、今になってしまったけれど、忘れたことなどなかった。来てよかった。

 9月8日、富山西インターを6時半に出て石巻に着いたのは午後2時。6人のメンバーでジャンボタクシーでの移動です。秋の実りを迎えている田を見ながら被災地に近づくにつれてカチカチの土の田に変わります。石巻では宮城県建築士会の佐藤さんに案内していただいて回ります。海の近くの破壊された小学校、その近くにあったという住宅地の跡。今は草が生い茂り一面野原のようです。漁師町だった所、街の中、そして最後に案内してもらった所はポツンと1軒だけ残った家。中に入ると、とても凝った造りで家族の家に対する夢があちこちから伺えます。エネルギーを注ぎこんで建てた家が一瞬の内に破壊された時の気持ちはどんなだろう・・・。2階に上ってみると天井近くに水の跡が、ここまで水が・・・。その一帯はもう住んではいけない所に指定され、将来は公園になる計画とのこと。


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 翌日は午前中、仮設住宅の集会所を訪問し被災者の方と一緒にお花を活けます。事前にチラシが配られていて、13の方に参加していただきスタートしました。どんな風に受け入れてもらえるのか、内心ドキドキだったのですが、お花を介しているせいかあっという間に打ち解けて、冗談を言い合ったりして和気あいあいの雰囲気です。お花の後、用意した富山のお茶とお菓子でティータイム。建築士らしく仮設住宅の問題点なども聞きます。最初に移った時はプライバシーが保てるだけで嬉しかったけれど、生活が始まると真っ先に収納の問題が出たこと。下足入れも台所の棚もなく、自分たちで工夫しながら何とかしているけど、壁に傷をつけてはいけないと言われてね~・・・。なぜ?これまでも何回も仮設住宅は建てられているのに、一向に改善されている様子はなく、なぜ?がいっぱい出てきます。

 午後は田んぼのガレキ拾いです。長袖、長靴、帽子に手袋の完全装備で臨みます。私たちはNTTコミュニケーションズの男性8人と、一人参加の女性で構成されるチームになりました。他にも大型バスで来ている20名近い若者のグループもあり、皆黙々とガレキを拾っていきます。作業は単純なのだけれど、炎天下での作業のため結構大変です。汗だくになったところで終了しました。

 震災後、初めての東北で始めてのボランティアを経験し、体はきつかったけれど、心がいっぱい満たされた感じです。帰り道、車窓から見る緑の山々や田畑、そして遠くに見える家々の灯りがどんなに豊で美しく見えたことか。9月9日22:30 富山西インター着。充実した実り多い二日間でした。


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