掛川で片側の車輪が回らなくなったと、360℃回転のラジコンスタントカーが持ち込まれた。最近増えて来た2.4GHzの電波と、本体側にリチウム充電式電池を使うタイプである。
現場で確認するとリモコン操作で、モーター音はするが車輪は全く回らない。以前にも持ち主が分解を試みたとの事だがヒンジ部近くのねじを外す事ができず、こじ開け少し広げて見たとの事。隙間が12mm位しかなく、持っているプラスドライバーの最小ビットよりも狭い。

最悪、不要ドライバーの先端をカットして使うつもりでよく観察すると、中央部を分解する事で左右のヒンジを外す事が出来ることが判り、難なく問題箇所が判明した。FA―130タイプのモーターに、9歯の真鍮製ギヤ(m0.5)が圧入され、噛み合う相手は57歯の樹脂ギヤで、m0.6の19歯もセットになった2段ギヤになっている。この大きいギヤの歯面が真鍮ギヤで削られて摩滅し、モーターは空転していた。

歯形の大きさを表すモジュールmの違う組合せで、歯数も特殊で、市販品にこの二段ギヤは見つからない。個別のギヤであっても仕様が特殊で入手できないので、貼合わせて二段ギヤにする方法もとれない。修理不能で返すしかないが、取り敢えず57歯の山の半分は残っているので、非常に固い真鍮ギヤの圧入位置をどうにかズラして、歯幅全体が噛み合う様にして、取り敢えず車輪が回転する様になった。また車体のLED配線も切れたり、被覆が割れて切れかかっていたので、左右の計4本を交換して修理完了。

今後更に摩耗が進み、回転不能となった際は、できる方策としては、旋盤+フライス盤+割出しテーブル+インボリュートギヤカッターで樹脂丸棒から削り出す方法は残っている。