その帰りによく図書館に寄った。
夜遅く、人もまばらで快適だった。
とくに目当ての本があったわけではない。
タイトルと装丁をたよりに何冊か手に取った。
その中に螺子式少年という小説があった。
”レプリカキット”と読む。
青白く輝くソリッドなSF作品だった。
あいまいなアイデンティティ。
それを認識できるのは自分自身以外にない。
他人の望む自分と自分の望む自分には大きな隔たりがある。
それを受け入れ自分は自分らしく生きていくより他ない。
ルビの振り方や仮名遣いなど独特の世界観があった。
非常に透明感のある文章だが、
その奥に淀む暗い澱のようなものを感じた。
内容が、というより行間に狂気が潜んでいる。
こっそり忍ばせた、というレベルではない。
そもそも狂っているのだ。
褒め言葉にならないかもしれないが、
決してディスっているわけではない。
この作家の作品をもっと読んでみたいと思った。
とてつもない中毒性を感じた。