フランスの戦艦 その2


ダンケルク級戦艦は、ドイツのポケット戦艦や巡洋

戦艦シャルンホルスト級に対抗するために建造され

ました。


ダンケルク級戦艦

基準排水量 26,500トン

全長 214.5m

全幅 31.1m

蒸気タービン4基4軸

出力 112,500馬力

速力 29.5ノット

主砲 33cm四連装砲2基8門 前部に2基を配置

副砲 13cm四連装砲3基、同連装砲2基

1番艦 ダンケルク

1937年5月に竣工。

フランス降伏前にアルジェリアに逃亡。

1940年7月3日、ナチスドイツによる接収を恐れる

イギリス海軍の攻撃を受けて、アルジェリアのメル

セルケビールで着底。

修理後、マルセイユ近くのトゥーロン軍港に移動。

1942年11月27日、ドイツによる接収を避けるため

にトゥーロンで自沈。


2番艦 ストラスブール

1938年12月に竣工。

ダンケルクと同様の経緯で、トゥーロンで自沈。

1943年7月に浮揚され、修理中の1944年8月18日

に米軍機の爆撃により、被弾沈没。


戦艦ダンケルク

世界の艦船 NO.377 「近代戦艦史」p.134

1987年3月号増刊 海人社

ドイツとイタリアが38cm砲搭載戦艦を建造する

との情報に基づいて、建造されたフランスの38

cm砲搭載戦艦がリシュリュー級です。


ドイツのビスマルク級戦艦

41,700トン 38cm連装砲4基8門

ティルピッツ 2番艦


イタリアのヴィットリオ・ヴェネト級戦艦

41,000トン 38.1cm三連装砲3基9門

リットリオ 2番艦 1940年竣工

インペロ 3番艦 1939年進水後建造中止

ローマ 4番艦 1942年竣工



リシュリュー級戦艦

基準排水量 35,000トン

全長 247.9m

全幅 33m

蒸気タービン4基4軸

出力 150,000馬力

速力 30ノット

主砲 38cm四連装砲2基8門 前部2基を配置

副砲 15.2cm3連装砲3基 後部に3基配置

高角砲 10cm連装高角砲6基12門


1番艦 リシュリュー

1940年竣工。

1940年6月、フランスの降伏でダカールに脱出。

1940年7月、英空母ハーミーズ搭載機の雷撃を

受けて損傷。

1940年9月、ダカール沖で英艦隊と交戦して

損傷。

1943年1月、ダカールからニューヨーク海軍工廠

に移動。自由フランス海軍に属する。

1943年10月、工事終了し、スカパフローに向かう

1943年11月以降、イギリス本国艦隊、東洋艦隊に

加わって行動。大戦の終結を迎えた。

1965年に除籍


2番艦 ジャン・バール

1940年6月のフランス降伏前にモロッコに脱出。

航行可能だったが、戦艦としての艤装工事は完了

してなかった。

1942年11月8日、カサブランカ沖海戦で、米空母

レンジャー搭載機の爆撃と戦艦マサチューセッツ

の砲撃を受けて、着底し、放置されたまま、終戦

を迎えた。

1945年8月に浮揚され、翌年から工事が再開し、

1955年5月に竣工した。

1970年に除籍された。



◼️フランス革命以降のフランス海軍


1789年のフランス革命以降にフランス海軍は、パッ

としません。

1805年10月21日のトラファルガー海戦で、フランス

とスペインの連合艦隊(戦列艦33隻)は、イギリス

艦隊(戦列艦27隻)に完敗し、ナポレオン1世のイ

ギリス侵攻計画は挫折しました。

イギリス艦隊の沈没艦0に対して、連合艦隊は22隻

を撃沈破されました。

この完敗から、フランスの海軍戦略は「艦隊保全主

義」になり、海戦を極力避けるようになりました。


海戦を避ければ、艦艇の損失や将兵の犠牲は減りま

す。

しかし、実戦経験からの戦訓が不足します。その結

果、艦艇の設計や建造計画は、甘いものになりまし

た。また、将兵の戦技力も低下しました。


海洋国の米英日は艦隊決戦主義で、大陸国のフラン

ス、イタリア、ドイツ、ソ連は艦隊保全主義でした。