こどもの頃、夢中になった本は?


小学生向けの「日本の歴史」全8巻です。


現在、小学生向け「日本の歴史」を販売している出

版社は多いのですが、漫画ばかりです。


漫画が分かり易いことは確かです。


読んだ子供は、分かったつもりになります。


しかし、読んだら、お仕舞いで発展がありません。


物語になった本の方が発展性があっていいと思い

ます。


例えば、源義家・義光兄弟の話です。

あらすじは、以下のとおりです。


清和天皇の子孫であり源頼義には、三人の男子が

いました。

長男は石清水八幡宮(京都府八幡市)で元服した

ので八幡太郎義家、次男は賀茂神社(京都市)で

元服したので賀茂二郎義綱、三男は三井寺新羅明

神(滋賀県大津市)で元服したので、新羅三郎義

光と呼ばれました。

三人が元服した神社の所在地は、自分で調べまし

た。


前九年の役(1051〜1062年)で、陸奥国司兼

将軍の頼義を助けたのは、長男の義家でした。

1057年の黄海(きのうみ)の戦いで、官軍が

大敗し、頼義・義家父子と家来6人は包囲され

ました。義家が射る矢は百発百中で、血路を開

いて脱出できました。


陸奥の国府は多賀城ですが、国府の兵と頼義が

連れてきた兵を合わせても、安倍貞任の兵力よ

り少なく、戦いは長引くばかりでした。

頼義は出羽の清原氏に援軍を頼みました。これ

により、兵力差は逆転しました。


官軍は攻勢に出ました。

安倍方は、衣川柵まで後退し、防ごうとしまし

たが敗れます。

衣川は北上川の支流の一つで、平泉の北にある

ことを調べました。

貞任は馬で逃げ、義家は追い、矢で射落とすつ

もりでした。そして「衣の館は ほころびにけ

り」と呼びかけると、貞任は「年を経し 糸の

乱れの 苦しさに」と上の句を詠みました。

義家は、意外に教養があると思って、射落とす

のを止めました。

しかし、安倍氏は最後の拠点・厨川柵(盛岡市)

で滅びました。この時、副将の藤原経清は鈍刀

で斬首されました。経清の妻(貞任の妹)と子

の清衡は、大将の清原武則の希望で助命されま

した。安倍氏の旧領は、清原氏に与えられまし

た。


源義家から前九年の役の話を聞いた大江匡房は

「抜群の勇士なれど、兵法を知らぬを惜しむ」

という主旨のことを述べました。

ほかの人たちは、二人の口論を恐れました。

義家は怒るどころか、2才下の匡房を兵法の師と

仰ぎました。


後三年の役(1083〜1087年)では、義家が陸奥

国司兼将軍でした。金沢柵を攻める前に「雁行の

乱れから伏兵を知った」のは、匡房のおかげでし

た。

鎌倉幕府を開いた源頼朝は、義家の玄孫です。

源義家➖義親➖為義➖義朝➖頼朝となります。

義親の弟・義国の子孫に足利尊氏、新田義貞、徳

川家康などがいます。

幕府の組織づくりに尽力した大江広元は、匡房の

曽孫です。

大江匡房➖維順➖維光➖広元となります。

広元の子孫には、戦国時代の毛利元就がいます。


1087年、兄(義家)の苦戦を聞いた義光は、官

職を捨て、兄の救援に向かいました。

義光は、楽器「笙」で、豊原時元に師事した高弟

で、名器「交丸」と秘曲を伝授されていました。

時元の子・時秋は、尊敬している義光に同行して

足柄峠まで来ました。

その夜、義光は、時秋の生命、交丸、秘曲が失わ

れることを恐れ、交丸を返し、秘曲を伝授し、時

秋に京へ帰ることを命じました。

義光の子孫には佐竹氏、武田氏(戦国時代に武田

信玄)、小笠原氏、南部氏がいます。


義光の来援を得て、源義家・義光兄弟と藤原清衡

の連合軍は金沢柵を包囲し、兵糧攻めしました。

同年11月14日、金沢柵は陥落しました。

清原家衡(清衡の異父弟)と武衡(家衡の叔父)は

脱出しようとして捕縛され、斬首されました。

しかし、朝廷は、私戦と見做して、義家兄弟に恩賞

を与えませんでした。

義家は帰京しましたが、軍功あった部下に私財から

恩賞を与えました。

結果的に藤原清衡が陸奥国と出羽国を支配すること

になり、平泉を建設します。

清衡➖基衡➖秀衡➖泰衡となりますが、泰衡の時

に源頼朝の奥州征伐で滅亡します。


本に出てくる事件が起きた年を年表で探したり、地

名を地図帳で調べました。分からないことが無くな

るまで、繰り返し読みました。

前九年の役は12年かかっており、後三年の役は5年

かかっているのに事件名と年数が合わないことが、

謎として残りました。この謎が分かったのは、大学

生になってからです。

しかし、全8巻を読んで、日本史や地理が得意にな

ったことは、確かです。


また、系図に興味を持ちました。

特に清和源氏です。

清和天皇➖貞純親王➖源経基(臣籍降下)➖満仲

➖頼信➖頼義➖義家➖義親➖為義➖義朝➖頼朝

➖頼家➖実朝(頼家の弟)


日本史は、出来事や人物を断片的に暗記するのでは

なく、関連付けながら覚えることをお勧めします。


私の場合、小学校同級生のお兄さん(3学年上)と

あれこれ話せたのは、小1で8巻全部読み、分から

ないことは、近所にあった児童会館図書室などで調

べたからです。