2023年12月21日、大阪高裁は大阪地裁の懲役5年

の判決を支持して、巽信二被告(近畿大学医学部元

教授、69才)の控訴を棄却しました。

巽被告は、近畿大学医学部卒業です。




◼️事件の概要

2021年3月に近畿大学医学部法医学教室で、不正経

理が発覚した。

法医学教室の主任教授が、巽信二被告だった。

関係者の事情聴取から巽教授の水増し請求が明白に

なった。最終的には約1億5千万円を詐取した。

ただし、訴訟では、時効になった分が除かれていま

す。

3月30日付けで、近畿大学は巽信二教授を懲戒解雇

処分とした。翌31日で、巽被告は定年退職になる

予定だった。懲戒解雇で、退職金は支払われなかっ

た。

近畿大学は、詐欺罪で巽被告を告訴しました。

同年6月9日、巽被告は、医療機器販売会社担当者

と共に大阪府警に逮捕されました。

そして、大阪地検に送検され、大阪地検は大阪地裁

に詐欺罪、私文書偽造罪などで起訴しました。

同年2月に巽被告は、長年の司法解剖で警察の捜査

に協力したので、警察庁長官から警察部外者表彰と

警察協力章を受けていましたが、刑事被告人になっ

たので、7月8日に取り消し処分を受けました。

7月16日には、詐取した金額の追加分で再逮捕され

ました。

同年10月27日に大阪地裁で初公判がありました。

巽被告は、大学からの詐取分(4900万円)を認め

ましたが、国費である司法解剖検査料(大阪府警

支出分、3700万円)の詐取は否認しました。

また、巽被告は約5千万円を弁済しました。

これにより、巽被告は懲役3年以下の執行猶予付き

判決を受けようとしたと思われます。

2023年3月13日、大阪地裁で論告求刑と最終弁論

がありました。

検察側は「主任教授の立場を悪用して多額の金を詐

取した」として、懲役7年を求刑しました。

弁護側は無罪を主張しました。

6月14日、大阪地裁は懲役5年の判決を言い渡しま

した。検察側の主張をほぼ認めた判決でした。求刑

より短くなったのは、長年に渡って司法解剖で犯罪

捜査等に協力したことが配慮されたからだと思いま

す。

被告側は実刑判決を不服として、控訴しました。

12月21日、大阪高裁は地裁判決を支持して、被告

の控訴を棄却しました。