インディペンデンス級軽空母9隻(CVL-22から30)

は、軽巡洋艦クリーブランドの船体を転用した軽空

母でした。

サイパン級軽空母2隻(CVL-48〜49)は、重巡洋

艦ボルチモアの船体を転用した軽空母でした。

全長は飛行甲板を長くするためと首尾線の対空砲の

有効範囲を広げるために延長されました。

空母は飛行甲板の右舷の艦橋、両舷に対空砲座など

を設けるので、水線部にバルジを付けて水線幅を拡

大しています。

軽空母サイパン級は1944年に起工されたが、就役

は第二次世界大戦終結後になりました。

インディペンデンス級の欠点を改良した理想的な軽

空母と言われ、活躍の機会は朝鮮戦争でした。


軽空母サイパン級と重巡洋艦ボルチモア級の比較


軽空母サイパン級

重巡洋艦ボルチモア級

基準排水量

14,500トン

14,472トン

全長

209.0 m

205.25 m

水線幅

23.4 m

21.59 m

出力

12万馬力

同左

最大速力

31.6 ノット

32.5 ノット

航続距離

15ノットで8,000

15ノットで10,000

20.3cm


三連装39

12.7cm両用砲


連装612

40mm機関砲

四連装520

四連装1248

同上

連装1020


20mm機関砲

連装1632

単装24

搭載機

艦上機50

水上機4機

同型艦

2隻

14


・CVL-48  サイパン

1944年7月10日起工、1946年7月14日就役

・CVL-49 ライト Wright

動力飛行機の発明者ライト兄弟に因んで命名された。

1944年8月21日起工、1947年2月9日就役



太平洋戦争開戦後の空母の日米比較


日本

アメリカ

軽巡

阿賀野級 4隻 註1

アトランタ級

11隻 註5

軽巡

大淀級 1隻 註2

クリーブランド級 27

軽空母

鳳翔、龍驤、瑞鳳、祥鳳、龍鳳、千歳、千代田 註3

インディペンデンス級 9隻

註6

重巡


ボルチモア級

14

軽空母

伊吹 註4

サイパン級  2隻 註7


註1 水雷戦隊旗艦用の軽巡洋艦で、阿賀野、能代、

矢矧、酒匂の4隻

註2 潜水戦隊旗艦用の軽巡洋艦2隻が計画された

が1番艦大淀だけが完成した。2番艦仁淀は建造中

止となった。大淀は連合艦隊旗艦にもなった。

註3 鳳翔と龍驤は小型空母として建造された。

瑞鳳、祥鳳、龍鳳は潜水母艦として建造され、軽空

母に改造された。千歳と千代田は水上機母艦として

建造され、軽空母に改造された。

註4 改鈴谷型の重巡洋艦として起工されたが、ミ

ッドウェー海戦で主力空母4隻を一度に失ったので

軽空母として完成させることになった。決断の遅れ

と戦局の悪化から艤装工事中に建造中止になった。

未成のまま解体処分された。

註5 11隻の内、初期艦4隻と中期艦4隻が世界

大戦中に就役した。後期艦3隻は大戦後の1946

年に就役した。

初期艦と中期艦の基準排水量が6,000トン、後期

艦が6,500トンで、ミサイル搭載艦としては過小

と判断され、早めに退役、除籍された。

註6 軽巡洋艦クリーブランド級の船体を利用し

て建造された。防空巡洋艦、軽巡洋艦クリーブラ

ンド級はミサイル巡洋艦として、船体が過小と判

断され、軽空母インディペンデンス級は艦載機の

ジェット機化に船体が過小と判断され、早めに退

役した。

註7 重巡洋艦ボルチモア級はミサイル巡洋艦、

軽空母サイパン級はジェット機化に対応可能と判

断され、長く在籍した。


1番艦サイパンは、朝鮮戦争に従事した。1959

年5月には航空機運搬艦(AVT-6)になった。

1963年3月には指揮艦、1964年9月には通信中

継艦になった。強襲揚陸艦がサイパンと命名され

たので、1965年4月にアーリントンと改名した。

人類史上初めて、月面着陸したアポロ11号の司令

船が南太平洋に着水、帰還した。

1969年7月24日、CV-12 ホーネットⅡが、司令

船と乗員3人を回収した。

サイパン改めアーリントンは、通信中継艦として、

協力した。

1975年に除籍され、1976年6月にスクラップと

して売却された。

2番艦ライトは、朝鮮戦争休戦後の1955年に予

備艦となり、モスボール状態になった。

1959年5月に航空機運搬艦(AVT-7)ライトに

なった。1963年3月に指揮艦(CC-2)ライトに

なった。1977年12月に除籍され、1980年8月に

スクラップとして売却された。