日米英の防空艦を比較します。

その1は、日本の駆逐艦秋月級の紹介でした。

その2では、アメリカの軽巡洋艦アトランタ級を紹介

しました。

その3では、イギリスの軽巡洋艦ダイドー級とベロー

ナ級を紹介します。

その4で、日米英の防空艦を比較、考察します。


航空機の威力が増すと、艦艇建造の計画や設計に防空

の重要性が増してきます。

戦闘用の艦艇は、主力艦と補助艦になります。

主力艦は、戦艦(巡洋戦艦を含む)と空母です。

補助艦として、ワシントン、ロンドン海軍軍縮条約の

制限を受けたのは、重巡洋艦、軽巡洋艦、駆逐艦、潜

水艦です。

日米英海軍ともに戦艦、空母、巡洋艦の艦長は大佐

で、駆逐艦長や潜水艦長は中佐または少佐でした。

また、駆逐艦と潜水艦は、消耗品扱いでした。


空母は敵艦隊に遭遇しない限り、敵艦と砲戦をしま

せん。イギリスの正規空母グロリアスは、ドイツの

巡洋戦艦シャルンホルストとグナイゼナウに遭遇し

て、随伴駆逐艦2隻とともに撃沈されました。

空母の攻撃手段は搭載機です。防御の相手は交戦国

の空母や基地の航空機です。防御手段は味方戦闘機

と対空砲になります。

空母は攻撃力が強力でも飛行甲板に被弾すると発着

艦が不能になる弱点がありました。イギリスは旧式

の軽巡洋艦の主砲を高角砲に換装し、防空巡洋艦に

しました。この経験を踏まえて、新しい防空巡洋艦

として建造したのがダイドー級とベローナ級です。


ダイドー級は、11隻が就役しました。

基準排水量 5,600トン

全長  156.05m      水線幅  15.39m

蒸気タービン4基  62,000馬力  速力  32.25ノット

武装A型

133mm連装両用砲5基10門

40mm四連装ポンポン砲2基

533mm三連装魚雷発射管2基

武装B型

133mm連装両用砲4基8門

102mm単装高角砲1基

40mm四連装ポンポン砲2基

533mm三連装魚雷発射管2基

武装C型

114mm連装砲4基8門

102mm単装高角砲1基

40mm四連装ポンポン砲2基

533mm三連装魚雷発射管2基


ダイドー級は4隻が戦没しています。

133mm両用砲は、キングジョジー5世級戦艦にも

装備されましたが、最大仰角70度で、発射速度も遅

くて、対空砲としての評価は良くなかった。

それまでの高角砲の口径は102mmでした。口径が

大きくなると、1発の威力は増しますが、発射速度

が遅いと意味がありません。114mm両用砲が開発

されました。


1番艦 ダイドー Dido   武装B型

1940年9月30日に竣工。


2番艦 ユーライアラス   Euryalus 武装A型

1942年2月14日に竣工。


3番艦 ナイアド Naiad   武装A型

1940年7月24日に竣工。

1942年3月11日に戦没。


4番艦 フィービ Phoebd   武装B型

1940年9月30日に竣工。


5番艦 シリアス   Sirius 武装A型

1942年5月6日に竣工。


6番艦 ボナヴェンチャー  Bonaventure  武装B型

1940年5月24日に竣工。

1941年3月31日に戦没。


7番艦 ハーマイアニ Hermione   武装A型

1941年3月25日に竣工。

1942年6月16日に戦没。


8番艦 カリブディス Charybdis   武装C型

1941年12月3日に竣工。

1943年10月23日に戦没。


9番艦 クレオパトラ Cleopatra   武装A型

1941年12月5日に竣工。


10番艦 シラ Scylla   武装C型

1942年6月12日に竣工。


11番艦 アーゴノート Argonaut   武装A級

1942年8月8日に竣工。


3番艦ナイアドのプラモデルを駿河屋通販で入手

しました。Flyhawk という中国のメーカーの製品

です。昨日の価格は、7,800円でした。


11番艦のアーゴノート、前部3基、後部2基の133mm

連装両用砲を右舷に向けている。

出典 世界の艦船 増刊第46集 No.517  1996年

発刊 イギリス巡洋艦史 p.139


ベローナ級は、ダイドー級の改良型です。
基準排水量 5,950トン
全長 156.39m      水線幅 15.05m
蒸気タービン4基  62,000馬力 速力  32ノット
133mm連装両用砲4基8門
40mm四連装ポンポン砲3基12門
20mm連装機銃6基12門

533mm三連装魚雷発射管2基 


ダイドー級では、133mm連装両用砲5基の武装A型

がありましたが、ベローナ級では武装B型を踏襲し

ました。

ベローナ級は1隻が戦没している。


1番艦 ベローナ Bellona

1943年10月29日に竣工。


2番艦 ブラックプリンス   Black Prince

1943年11月20日に竣工。


3番艦 ダイアデム   Diadem

1944年1月6日に竣工。


4番艦 ロイアリスト   Royalist

1943年9月10日に竣工。


5番艦 スパータン   Spartan

1943年8月10日に竣工。

1944年1月29日に戦没。


第二次世界大戦後、艦隊または艦艇の防空は、艦対空

ミサイルの時代になっていきます。

ダイドー級とベローナ級は、基準排水量が6千トン未

満で、ミサイル巡洋艦として過小と評価され、比較的

早く(1956年ころから)退役、除籍されました。