ワシントン海軍軍縮条約(1922年2月6日署名)は、

戦艦の保有トン数を

米:英:日=525千トン:525千トン:315千トン

=5:5:3  に決定した。

ロンドン海軍軍縮条約(1930年4月22日署名)は、

戦艦の新規建造休止期間を延長するとともに保有隻

数を米国が15隻、英国が15隻、日本が9隻とした。

これにより、イギリス海軍は343mm砲搭載のアイ

アンデューク級3隻を廃棄した。ネームシップのア

イアンデュークは、米のワイオミング、日の比叡と

同様に練習戦艦となった。

ネーバルホリデー期間に保有した戦艦は、以下の

15隻である。


*クイーンエリザベス級  Queen Erizabeth Class

第二次改装後の要目

基準排水量 32,700トン

全長 195.1m      幅 31.7m

蒸気タービン4基  80,000馬力 速力 23.5ノット

381mm連装砲4基8門

副砲、高角砲、機銃は各艦で異なる。

・クイーンエリザベス Queen Erizabeth

1915年1月19日竣工、1941年1月第二次改装完了。

1941年12月19日、エジプトのアレクサンドリア港

で、イタリアの人間魚雷マイアーレの攻撃を受けて

大破した。

1948年5月、解体のために売却された。


・ウォースパイト Warspite

1915年3月19日竣工、1937年6月第二次改装完了

1946年7月、解体のために売却された。


・バーラム Barham

1915年10月19日竣工、1933年10月第一次改装完了。

1941年11月25日、リビア沖でドイツ潜水艦U-331

の雷撃を受けて沈没。


・マレーヤ Malaya

1916年2月19日竣工、1937年1月第二次改装完了。

1948年2月、解体のために売却された。


・ヴァリアント Valiant

1916年2月19日竣工、1939年11月第二次改装完了。

1940年7月3日、アルジェリアに逃れたフランス艦隊

を攻撃した。

1941年12月19日、エジプトのアレクサンドリア港

で、クイーンエリザベスと同様にイタリアの人間魚雷

マイアーレの攻撃を受けて大破した。

1948年3月、解体のために売却された。


*ロイアルサブリン級 Royal Sovereign Class

頭文字が R で始まるので、R級戦艦とも呼ばれる。

常備排水量 28,000トン

全長 190.3m      幅 27.0m

蒸気タービン2基  40,000馬力  速力 23ノット

381mm連装砲4基8門

152mm単装砲14基

102mm単装高角砲4基


・ロイアルサブリン Royal Sovereign

1916年5月竣工

1944年5月30日、ソ連に貸与

1949年2月9日、英国に返還され、解体のために

売却された。


・ロイアルオーク  Royal Oak

1916年5月竣工

1939年10月14日、イギリス本国艦隊根拠地スカパ

フローにおいて、ドイツ潜水艦U-47の雷撃を受けて

沈没。


・リヴェンジ  Revenge

1916年3月に竣工

1948年7月、解体のために売却された。


・レゾリューション  Resolution

1916年12月に竣工。

1940年7月3日、アルジェリアに逃れたフランス艦隊

をヴァリアント、フッドとともに攻撃した。仏戦艦ブ

ルターニュ、プロバンス、ダンケルクの3隻が大破、

ストラスブールはマルセイユに近いツーロンに脱出し

た。

1948年5月、解体のために売却された。


・ラミリーズ  Ramillies

1917年9月に竣工。

1942年5月30日、マダガスカル島ディエゴスアレス

港に停泊中、伊20号潜水艦から発進した特殊潜航艇

の雷撃を受けて大破した。

1948年2月、解体のために売却された。


*ネルソン級 Nelson Class

ワシントン海軍軍縮条約で、米国がコロラド級3隻、

日本が長門級2隻の406mm砲を搭載した戦艦を保有

するので、英国はネルソン級2隻の建造が認められ

た。

基準排水量 33,313トン

全長 216.4m      幅 32.3m

蒸気タービン2基  45,000馬力  速力  23ノット

406mm三連装砲3基9門 前部に集中配置

152mm連装砲6基12門

120mm単装高角砲6基


・ネルソン  Nelson

1927年6月に竣工

1948年、解体のために売却された。


・ロドネー  Rodney

1927年8月に竣工

1941年5月27日のビスマルク追撃戦で406mm

主砲弾を浴びせた。

1948年、解体のために売却された。


*レナウン級巡洋戦艦  Renown Class

R級戦艦の追加分として計画されたが、高速の巡洋

戦艦に変更された。

常備排水量 27,650トン

全長 242.0m         幅 27.4m

蒸気タービン 112,000馬力  速力 30ノット

381mm連装砲3基6門

102mm三連装砲5基、連装砲1基

76mm単装高角砲2基


大改装後のレナウン

基準排水量 32,000トン

全長 242.0m         幅 31.3m

蒸気タービン 130,000馬力  速力 29ノット

381mm連装砲3基6門

114mm連装両用砲10基20門

40mm八連装ポンポン砲3基24門


・レナウン  Renown

1916年9月20日に竣工。

1939年8月に大改装完了。

1948年8月、解体のために売却。


・レパルス  Repulse

1916年8月15日に竣工。

1941年12月10日のマレー沖海戦で、日本海軍陸上

攻撃機の雷撃と爆撃を受けて沈没。


*フッド  Hood   巡洋戦艦

常備排水量 42,670トン

全長 262.1m        幅 31.7m

蒸気タービン4基  144,000馬力     速力 31ノット

381mm連装砲4基8門

140mm単装砲12基12門

102mm単装高角砲4基4門

1920年3月5日に竣工

ドイツ戦艦ビスマルクが就役するまで、世界最大の

戦艦として君臨した。

1940年7月3日、アルジェリアに逃れたフランス艦

隊を攻撃した。

1941年5月24日、プリンスオブウェールズととも

にドイツ戦艦ビスマルクと重巡洋艦プリンツオイ

ゲンと交戦した。ビスマルクの381mm主砲弾が

火薬庫に命中し、フッドは轟沈した。


ワシントン条約、ロンドン条約は、1936年12月

31日で失効し、無条約時代になり、米国、日本、

英国は、新型戦艦の建造を始めた。

米国は406mm三連装砲3基9門のノースカロライ

ナ級、日本は457mm三連装砲3基9門の大和級を

起工した。これに対して、英国は356mm砲10門

のキングジョージ5世級5隻を建造した。

キングジョージ5世級  King George 5 Class

基準排水量 36,727トン

全長 227.1m       幅 31.4m

蒸気タービン4基  110,000馬力 速力 28ノット

356mm四連装砲2基、連装1基、計10門

133mm連装両用砲8基16門

40mm八連装ポンポン砲4基32門


・キング ジョージ5世  King George 5

1940年12月に竣工。

就役後、長く、本国艦隊の旗艦を務めた。

1941年5月27日、ビスマルク追撃戦で、ロドネー

とともにビスマルクを大破した。トドメは巡洋艦

と駆逐艦の魚雷だった。

1957年、解体のために売却された。


・プリンス オブ ウェールズ  Prince of Wales

1941年3月に竣工

1941年5月24日の初陣でフッドとともにビスマ

ルク、プリンツオイゲンと交戦し、中破した。

修理後、東洋艦隊に配属され、シンガポールに

回航された。

1941年12月10日のマレー沖海戦で、レパルス

とともに日本海軍陸上攻撃機の雷撃と爆撃を受

けて沈没した。


・デューク オブ ヨーク  Duke of York

1941年11月に竣工。

1943年12月26日のノースケープ沖海戦で、

ドイツ巡洋戦艦シャルンホルストを撃沈した。

1957年、解体のために売却された。


・アンソン  Anson

1942年6月に竣工。

1945年にイギリス太平洋艦隊に配属された。

同艦隊旗艦のハウと行動を共にした。

1957年、解体のために売却された。


・ハウ  Howe

1942年8月に竣工。

1945年にイギリス太平洋艦隊の旗艦になり、

空母の護衛、日本本土の艦砲射撃をした。

1957年、解体のために売却された。


*ヴァンガード  Vanguard

1946年4月に竣工したイギリス最後の戦艦。

1960年、解体のために売却された。

基準排水量 44,500トン

全長 248.2m       幅 32.9m

蒸気タービン4基  130,000馬力 速力 30ノット

381mm連装砲4基8門

133mm連装両用砲8基16門

40mm六連装機銃10基60門

40mm連装機銃1基2門

40mm単装機銃11基11門

47mm単装(礼砲)4基



右から406mm三連装砲搭載のネルソン、ロドネー、

条約明けに建造のキングジョージ5世、プリンスオブ

ウェールズ