2024年1月18日に甲府地裁で甲府市夫婦殺人放火事

件の遠藤裕喜被告に死刑が言い渡されました。


犯行時、遠藤被告は特定少年(18才、19才)でした

が、12月11日の論告求刑で、検察側は死刑を求刑し

ました。

判決は求刑どおり死刑でした。


2月1日に弁護人が判決を不服として控訴しました。

しかし、その後、遠藤被告が控訴を取り下げたので、

甲府地裁の死刑判決が確定しました。


◼️裁判(裁判員裁判)の経緯など


12月11日 第17回公判

検察側の論告求刑

「完全責任能力がある。残虐な犯行で、反省はなく、

改善更生の余地はない」として死刑を求刑しました。

特定少年に死刑が求刑されるのは全国で初めてです。


弁護側の最終弁論

心神耗弱を理由として減刑を求めました。


裁判の最後に裁判長に発言を促された遠藤裕喜被告

は「控訴はしません。それだけです」と述べました。


謝罪や反省が見られないので、求刑どおり死刑の判決

が言い渡されると思います。



「事件の概要」と「逮捕から初公判まで」は既投稿

を参照して下さい。


◼️裁判員裁判(甲府地裁)

起訴から初公判まで、1年半かかったのは、公判前

整理手続によると思われる。


20231025日 初公判

裁判長に起訴内容について問われた遠藤裕喜被告

は何も答えませんでした。(黙秘)

検察側は「被害者夫婦の長女に交際を断られて激

しい怒りを募らせて犯行に及んだ」と指摘した。

弁護側は殺人と放火について認めましたが、次女

の殺人未遂は否認しました。

弁護側は「事件当時、被告は心神耗弱状態にあっ

た」と主張しましたが、

検察側は「事前に凶器にナタ等を購入していたこ

とから計画性があり、責任能力はあった」と反論

しました。


10月26日 第2回公判

司法解剖の結果、殺害された夫婦に各10カ所以上

の刺し傷があった。

証人尋問で捜査を指揮した警察官が「長女が被告

から告白されて困っている」という情報などから

被告が犯人として浮上した経緯を説明した。


10月27日 第3回公判

検察側が被告の立ち合いで警察官が再現した犯行

状況を説明した。


10月31日 第4回公判

警察側が犯行に使用された凶器のナタを裁判官と

裁判員に示して説明した。


11月1日 第5回公判

住宅に放火した状況の説明。

ライターオイルとガスボンベを使用など。


11月2日 第6回公判

長女と次女の供述調書や警察への通報内容


11月8日 第7回公判

法医学者の証言で、次女も死亡する危険性があっ

だことが明らかにされた。


11月9日 第8回公判

検察側が犯行当日の被告の詳細な行動を示して、

計画的な犯行であることを示す。


11月10日 第9回公判

検察側は、被告が警察に出頭した時に所持してい

た被害者の長女への手紙、被告の母親への手紙な

ど6通を朗読し、犯行について、完全責任能力が

あると主張しました。

弁護側は被告の育った環境について説明した。


11月13日 第10回公判

被告人質問がありましたが、初公判と同様に被告

は黙秘しました。


11月14日 第11回公判

被告人質問で初公判から黙秘していた被告は「あなた

が話さない理由を教えてもらえますか」という弁護士

の質問に対して「社会に戻るつもりはないからです」

と述べました。


11月16日 第12回公判

検察側が被告の逮捕、送検された頃の供述調書が朗読

されました。

被告は「その頃のような謝罪の気持は無い」と述べて

一部の供述を否定しました。


心神喪失なら無罪になりますが、弁護側は心神

耗弱と主張しているので、有罪になることは確

実です。

そうなると、量刑が争点になりそうです。


11月20日の第13回公判 証人尋問

11月21日の第14回公判 証人尋問

証人尋問で、精神鑑定をした精神科医は完全責任能力

があったと証言しました。


11月28日の第15回公判 被告人質問

前の被告人質問(11月13日、14日)では、220余り

の質問に黙秘しましたが、この日、被告はこれらの質

問に答えました。

しかし、被害者や遺族に対して、最後まで謝罪の言葉

を述べませんでした。


12月4日の第16回公判 遺族の意見陳述

裁判所の配慮で、被告にストーカーされた長女が別室

から意見を陳述しました。

①両親や妹は何も悪くないのに、どうしてこんなこと

になったのか、ずっと考えています。裁判で被告が話

した理由は少しも納得できないし、何も理解できませ

ん。

②被告から謝罪がないことについては「自分は悪くな

いと考え、やったことから目を背けて逃げているとし

か思えません」と述べました。

③被害にあった妹が精神的な後遺症で苦しんでいると

して「どんな処罰を望むかは、被告が怖いので、ここ

では言いません。裁判官や裁判員の皆さん、どうか妹

の心と体を守って下さい」と訴えました。


それにしても、片想いのストーカー男に両親を

殺され、自宅を放火でなくした姉妹が気の毒か

つ可哀想です。