太平洋戦争の特設巡洋艦戦隊


その1では、第一戦隊から第九戦隊を紹介しました。

その2では、正規の軽巡洋艦が属した戦隊、水雷戦

隊、潜水戦隊などを紹介しました。


日本海軍は、正規の巡洋艦に加えて、太平洋戦争開

戦時に民間の貨客船や貨物船を徴用した14隻の特設

巡洋艦を使用しました。

特設巡洋艦で編成された戦隊は、以下の二つです。


第22戦隊 特設巡洋艦赤城丸、浅香丸、粟田丸

日本本土東方の太平洋に配置された特設監視艇グル

ープの旗艦任務に従事しました。


第24戦隊 特設巡洋艦報国丸、愛国丸

ドイツ海軍を真似して、通商破壊用に編成されまし

た。しかし、太平洋は大西洋よりも広大であり、戦

果が少なく、また、報国丸が撃沈されたことで、戦

隊は解体されました。


特設巡洋艦14隻の概要を以下に示します。


報国丸

大阪商船の報国丸級貨客船3隻の1番船。

10,438総トン。全長160.8m、幅20.2mでした。

特設巡洋艦で最大で、14cm単装砲8基、53.3cm連

装魚雷発射管2基、水上偵察機1機と武装も強力で

した。1941年9月20日から特設巡洋艦。開戦後、愛

国丸と第24戦隊を編成した。1942年11月11日、イン

ド洋ココス諸島近海で、油槽船オンディナと掃海艇

ベンガルと交戦。弱敵とみた油断から被弾し、誘爆

起こして沈没しました。


愛国丸

報国丸級の2番船。10,437総トン。

1941年9月5日〜1943年10月1日は特設巡洋艦、その

後は特設運送船。1944年2月17日、トラック諸島に

おいて米空母艦載機の空襲を受けて沈没。


まだ組み立てていませんが、1隻あります。

報国丸のプラモデルもありますが、在庫切れで、中古

品が7,000円程度になっています。


護国丸

報国丸級の3番船。10,438総トン。

1942年8月4日に竣工し、1943年10月1日まで特設

巡洋艦。その後は特設運送船。1944年11月10日、

東シナ海で米潜水艦バーブの雷撃を受けて沈没。


浅香丸

日本郵船のA型貨物船5隻の3番船。7,398総トン。

1941年9月5日〜1943年10月1日は特設巡洋艦。その

後、特設運送船に類別変更。1944年10月12日、馬公

で米空母艦載機の攻撃を受けて沈没。


粟田丸

日本郵船のA型貨物船5隻の4番船。7,397総トン。

1941年9月5日〜1943年10月1日は特設巡洋艦。その

後、特設運送船に類別変更。1944年10月22日、米潜

水艦グレイバックの雷撃を受けて沈没。


赤城丸

日本郵船のA型貨物船5隻の1番船。7,389総トン。

1941年12月10日から特設巡洋艦。1944年2月17日、

トラック諸島近海で米空母艦載機の攻撃を受けて沈

没した。


能代丸

日本郵船のN型貨物船6隻の4番船。7,397総トン。

1941年9月20日〜1942年10月24日は特設巡洋艦。

その後、特設運送艦に類別変更。1944年8月19日に

米潜水艦ラッシャーの雷撃を受けて損傷するがマニ

ラに入港。修理が終わって待機中の9月21日に米空母

機のマニラ空襲で被弾沈没。


清澄丸

国際汽船の清澄丸級貨物船2隻の1番船。8,613総

トン。1941年12月1日〜1943年10月1日は特設巡洋

艦。その後、特設運送艦に類別変更。1944年2月17

日、米空母艦載機のトラック諸島空襲で被弾沈没。


金剛丸

国際汽船の清澄丸級貨物船2隻の2番船。8,624総

トン。1941年8月6日から特設巡洋艦。ウェーク攻略

戦に参加。1942年3月10日、米空母ヨークタウンの

艦載機のラエ空襲で、被弾沈没。


金龍丸

国際汽船の金龍丸級貨物船2隻の1番船。9,309総

トン。1941年9月5日から特設巡洋艦。金剛丸と

ウェーク攻略戦に参加。1942年8月25日、ガダル

カナル島北東で、米機の空襲を受け被弾沈没。


盤谷丸

大阪商船の盤谷丸級貨客船2隻の1番船。5,350総

トン。1941年9月20日から特設巡洋艦兼特設敷設艦。

トラック諸島からギルバート諸島へ航海中の1943年

5月20日、米潜水艦ポラックの雷撃を受けて沈没。


西貢丸

大阪商船の盤谷丸級貨客船2隻の2番船 5,350総

トン。1941年9月20日から特設巡洋艦兼特設敷設艦。

1944年9月18日、マニラ西方で米潜水艦フラッシャ

ーの雷撃を受けて沈没。


金城山丸

三井物産船舶部の金城山丸級貨物船2隻の1番船。

3,263総トンで最も小型でした。1941年2月3日から

特設巡洋艦。1942年5月4日、トラック諸島北西で

米潜水艦グリーンリングの雷撃を受けて沈没。


浮島丸

大阪商船の波上丸級貨客船2隻の2番船。4,730総

トン。1941年9月3日〜1943年3月15日は特設巡洋

艦、その後、特設砲艦に類別変更。さらに1945年

2月20日に特設運送艦に類別変更。終戦直後の8月

24日に舞鶴港入港時に米軍機が投下した未処理の

機雷に触れて沈没。