2023年12月1日、旭川地裁は、殺人、殺人未遂等

に問われた川口和人被告(58才)に懲役25年の

判決を言い渡しました。

心神耗弱や正当防衛とする弁護側の主張は、ほぼ

100%退けられました。

執拗かつ残忍な犯行として、求刑どおりの懲役25

年の判決でした。


◼️事件の概要と裁判員裁判

2022年9月20日、下校途中の被害者の小5の長女

と友達は、川口宅前の道路に落ちていた遊戯銃用

のBB弾(プラスチック製の直径5〜6mmの白球)

を拾って川口宅敷地内に投げ入れました。

監視カメラで見た川口被告(当時、56才)は、

二人を道路から玄関先にひきずり込み、リュック

を蹴るなどした。

そして、具体的な被害を受けて無いにもかかわら

ず、長女のリュックから取り出したノートを破り、

名前、住所、電話番号、学校名、担任の名前を書

かせた。

長女から話を聞いたA、Bさん夫婦は、長女と

赤ん坊を連れて、同日18時20分ごろ、トラブル

の事実確認に川口宅を訪問した。

インターフォンの画像を見た川口被告はナイフを

隠し持って応対した。

父親のAさんに具体的な被害を訊かれた川口被告

は激昂して、隠し持っていたナイフで刺し始めた。

悲鳴を聞いた隣人Xが被告を羽交締めにして止め

ようとしたが、被告は振り切った。そして夫を

庇ったBさんの背中を刺した。

別の隣人Yが警察に通報し、川口被告は逮捕され

ました。

9月22日、川口被告は殺人罪と殺人未遂罪で起訴

されました。


この事件は裁判員裁判になるので、公判前整理

手続きが行われました。また、精神鑑定も行わ

れました。


2023年11月14日 初公判

被害者特定事項秘匿制度が適用され、A、B夫

婦の氏名などは裁判で伏せられました。現在、

小6の長女や母親に対する配慮と思います。

川口被告は「全て弁護士さんに任せています」

と述べて、そのあとは黙秘しました。

弁護側は「殺すつもりはなかった」と主張しま

した。


11月15日 第2回公判

長女の証人尋問

「被告に何度もごめんなさい、すみませんと謝

った」「被告がみんな殺してやると言いながら

両親を何度も刺した」と証言しました。


11月16日 第3回公判

重症を負った母親の証人尋問

「執拗に夫や私を刺した」

止めに入った隣人Xの証人尋問

「被告を羽交締めにして止めようとしたが、強

い力で振りほどいて、刺し続けた」


11月17日 第4回公判

精神鑑定をした精神科医の証人尋問

「普段の様子に精神障害は見られない。急性ス

トレス反応が一部見られるが、善悪の判断能力

が著しく失われたわけではない」と証言。


11月20日 第5回公判

被告人質問

弁護側の質問に「恫喝をやめて欲しかった」と

述べました。

検察側や被害者の120項目以上の質問には、全

て黙秘しました。


11月20日 第6回公判

検察側は「凄惨かつ無情で残酷な犯行であり、

被告の責任能力に問題は無かった」として懲役

25年を求刑しました。

弁護側は「危害を加えられると勘違いして過剰

防衛をした」として、殺人などの罪は成立しな

いと主張しました。


12月1日 第7回公判

判決は求刑どおり懲役25年でした。


追記(12月14日)

川口和人被告は、12月11日付けで控訴しました。