大阪天満女性パブオーナー殺人事件の裁判員裁判の初公判が、9月16日に大阪地裁でありました。
宮本浩志被告は、裁判長の罪状認否で黙秘する一方、
裁判員に対して「死刑判決をお願いします」と不規則発言をしました。
何の落ち度もない女性が、被告の身勝手な理由で殺害された場合、実際の判決がどうなるか、と思って、思い出した事件が、熊本大学女性研究員殺人事件です。
2020年9月6日、35才の女性研究員の楢原知里さんが絞殺され、遺体で発見されました。犯人は、楢原さんが住んでいた大学近くのマンションの清掃員(熊谷和洋、事件当時67才)でした。
熊谷は「清掃員はボランティアでやっており、自分は
資産家で、大学への寄付や若い人の支援をしたい」と
ウソを並べて、楢原さんに近づきました。
しかし、ウソがばれて、被害者に非難され、逆上して
殺害しました。
一時は、自転車で逃げ去る男を見たなどと、目撃者を
装いました。しかし、被害者が研究所の同僚に熊谷のことを話していたことから、容疑者に浮上し、逮捕され、殺人罪と死体遺棄罪で起訴されました。
被害者は一人娘で、被害者参加制度で出廷した母親は
「死刑を望む」と述べました。
熊本地検に検察官は、懲役20年を求刑しました。
2021年10月8日の熊本地裁の判決は、被害者に何の
落ち度もないと認めましたが、懲役18年でした。
熊谷は、判決を不服として控訴しましたが、理由は不明ですが、その後、控訴を取り下げました。
パブオーナーだった稲田真優子さんの殺害事件についても、同じくらいかな、と思いました。
遺族が死刑を望んでも、一人を殺害しただけでは、検察官が死刑を求刑しないので、判決は懲役◯◯年になります。
また、裁判官は過去の判例を参考に量刑を決めます。虚しさを感じました。
K事件は、熊本大学女性研究して殺人事件、O事件は大阪天満女性パブオーナー殺人事件です。
K事件とO事件の比較
K事件 | O事件 | |
殺害方法 | 絞殺 窒息死 | 刺殺 出血死 |
凶器 | ひも 押収 | 刃物 未発見 |
罪状認否 | 被告は認める | 被告は黙秘 |
弁護側も認める | 弁護側は否認 犯行性を争う | |
求刑検察側 | 懲役20年 | ? |
弁護側 | 懲役15年 | 無罪? |
判決 | 懲役18年 | ? |
被告者参加制度 | 母親 | 母親、兄 |
二審 | 控訴取り下げ | ? |
熊本大学