曳山祭りを目前に、やっとアップできた④
<放生津八幡宮にむけて、全町13基の曳山が動き出す>
放生津八幡様に到着、巡行の並び順とは逆に入ってきて、最後に入ってきた古新町が巡行の先頭になる。先頭は毎年決まっている。八幡様の前には例年よりも多い、大勢の人だかり。もしかすると観覧側にいたかもしれない自分を想像してみると、今、曳山につながっている自分とのパラレルワールドは、ほんと少しのキッカケの差でしかないと思った。
間違いなく、今年の自分はこちら側にいる。八幡様を通り過ぎ、そのまま浜街道を進む道はゆるい上り坂になっている。普通に歩いていてもなんて事ないほどの傾斜が、曳山の場合はこたえる。
ここからは巡行本番、少しの休憩のあと、古新町を一番山に、13基の曳山が動きだした。奈呉町は4番目。軽い下り坂を進み、今度は「ケツ浜、ケツ浜」と音頭取りの若者が叫ぶ。ちょっと雰囲気に慣れてきたので、まわりの人たちを見る余裕が出来てきた。一部の人を除き、町では見かけない若者ばかりだった。多分、奈呉町出身で今は他の地域に住んでいる人たちに違いない。
浜通りには露店がびっしりと並んでいるため、いつもよりは狭い道幅のところを進んでいった。「ケツ浜、ケツ田んぼ、ぐーっとケツ浜」などという掛け声が、まっすぐ進んでないことを物語る。たまに、自分は何を曳いているのか確認したくなって、一瞬だけ、少し離れてみて曳山を眺める。そして、またつながる。巡行経路にある宮は、必ず止まって頭を下げる。宮の前では、ハチマキを取ることを何度か忘れて、注意される。すべてが新鮮で神聖な体験だった。
浜通りから途中の交差点を左に曲がり、uchikawa六角堂まで行く。5年前の今日は、ここを曲がってやってくる曳山を、観覧する側として観ていた。uchikawa六角堂の三叉路が近づいてくると、胸がドキドキした。今度は自分が曳山を曳いている側で、この時を迎える。興奮しながら、不思議な気分になった。店の前に立っている店長の北原くんが見えた。
いよいよ、見せ場の1つの三叉路を曲がる瞬間、本当に曲がれるのか心配になるほど狭く感じる。誘導の笛が激しく鳴り響き、曳子たちが力いっぱい、曳山を回転させた。ゴッゴッゴッゴッゴ、っと車輪が道路にすれて大きな曳山が動く。上手くいった!よく「曳山が回転しやすいように家の角を落とす、地元では角切って言う」なんて説明するけど、この説明に間違いない。三叉路に面しているどれかの家の角が切られてなかったら、曳山が曲がれない。この感動的な三叉路で、思い出に浸ろうと思ったけど、まったくその余裕はなかった。
荒屋町をぐるっと回って、途中の休憩中、六角堂まで水を飲みに行った。今年揃えた玄関幕が祭りの日に映えてカッコよかった。さっき、この三叉路を曲がったのかー、と今更ながら感動がこみ上げてきた。
おー、マイガッ、僕をここに連れてきたすべてのコトよ、ありがとう。