曳山祭りを目前に、やっとアップできた② | 学知にあらず~towel-monkey

曳山祭りを目前に、やっとアップできた②

 

<朝5時半、曳山の蔵が前に魂が震えた>

 

今は、新湊の奈呉町に事務所があります。正直な気持ちは、奈呉町に来たばっかりだし、今年、曳山を観る側で満足しようと、祭りの直前まで、そう思っていました。

 

ところが数日前になって、自治会長さんのほうから「法被を貸すから曳山につながれ!」と言ってくれたことで、遠慮していた気持ちが吹っ飛んでしまいました。

 

さらに曳山委員長からも「つながってみられ」とお誘いを受け、すぐに法被を持ってきてくれたのです。奈呉町の法被を見て、すっかりテンションが上がってしまい、一気にお祭りムードに飲み込まれていきました。

 

委員長直々に曳子衣装の指導をしてくださり、前日の9月30日、嫁と一緒に指定の専門店で一式を揃えました。その瞬間から、曳山への愛着がより一層増してきて、今まで「それなりに好き」程度の自分を反省しました。

 

その夜、事務所のすぐ近くにある山蔵に行って、曳山の入魂式を見ました。自分の気持ちの変化で、こんなにも曳山が輝いて見えるのか…。明日、この曳山へつながるんだと思ったら、この瞬間に導いてくれた、すべての存在に感謝の気持ちが湧いてきました。地球という星で良かった、この時代に生まれて良かった、日本人で良かった、富山県に来てよかった、新湊に越してきて良かった、高木さん(事務所建物の元の所有者さん)と出会えて良かった、そして奈呉町で良かった、と気の遠くなるような確率でここに立っている自分を俯瞰して見ました。

 

ここに生まれ育った地元の方と、自ら選んでここにいる自分とでは、きっと感じ方が違うんだろうなと思います。まさに、奇跡です。

 

10月1日、朝、天気は予報通りの雨でした。朝、5時半、事務所に行って揃えた一式に着替えました。そういえば、自分は昔から祭りが好きだったと、今更ながらそのことを確認。股引、鯉口、腹幕、地下足袋を身につけるとお祭り男の完成です。ひとまず、山蔵の様子を見に行きました。外はまだ雨、予定の時間になっても曳山は出る様子がありません。

 

曳き出す時間について、どうやら曳山協議会からの連絡待ちとのこと。山蔵に居た自治会長さんは、自信満々に「あー、この天気なら大丈夫、もうすぐ晴れるから」と言っていました。6時半、徐々に、徐々に、若い曳子たちが集まってきました。八幡様のお守木札が全員に配られ、首にかける…、いよいよ曳き出しの時間、山蔵のなかにお囃子が響く、なんとも言えない体験、魂を揺すぶってくれる音色でした。

 

何の段取りもわからず、とりあえず、自治会長さんの教えを守り、曳山の後のほうに並んでみました。誘導係の「スイター!」という掛け声をともに、曳山が動き出した瞬間、見ていた側から曳く側に立場が逆転していることを実感したのです。

 

この地と所縁のあるすべての神よ、ありがとう。