非常に繊細な部分があるゆえ迂闊な事を書けない事を承知で敢えて書くのだが人間の赤ちゃんと言うのは非常に弱い生き物で周囲の庇護なしに生きていく事は到底叶わない事は言うまでもない。一方でこれは私が20代の頃に職場の先輩から聞いた話だが40代になると「健康オタク」になると言う事。これがどういうことかというと年齢を重ねて身体の衰えを感じるようになると、なになにが健康に良い(運動だったり食品やサプリなど)と聞くとついつい気になってしまう事を指したものだ。

赤ちゃんにとって最も理想的な栄養は言うまでもなく母乳だ。

これは医学面からも確かなエビデンスがあるのだが、予め冒頭に繊細な部分があるからと書いたのは母乳育児をしたくとも身体的な都合など母乳を赤ちゃんに与える事が難しい方もおられるワケで、厚労省の指針などに於いても母乳を推奨はするがそうした母乳が出ない(或いは母乳を与えられない)方への配慮との板挟みの部分を包括する。



乳児突然死症候群(SIDS)に関して、これは現代医学でもまだ完全な解明が出来ていないと聞くが、それまでに何の問題もなかった赤ちゃんが突然亡くなってしまうという非常に恐ろしい病気だ。秋元梢というファッションモデルは昭和の大横綱と呼ばれる千代の富士関の次女で2歳下に愛さんという妹が誕生するのだが生後4か月の時にこの乳児突然死症候群で亡くなられている。この時の千代の富士関の精神的ショックは計り知れないものであり、当時の九重親方(現在はNHKなどの解説でおなじみの元横綱・北の富士)も「もう相撲はとれないのではないか」と言う程の状況だったと述懐している。



この乳児突然死症候群は先にも書いたように現代医学でも完全な解明には至っておらず、そのため病院で赤ちゃんが亡くなる事態となった時にそれが事故なのか病気(乳児突然死症候群)だったのかが争いとなることもある。実際に東京都の日野市の病院で赤ちゃんが亡くなり、これが病院側の過失なのかそれとも現代医学ではどうする事も出来ない乳児突然死症候群なのかを巡って裁判も行われている。



実はこの裁判に関わったのが私の元夫である小山田くんの代理人弁護士だった 自称子どもの人権派、実態は他人の子どもはどうでもいいとするウソツキ弁護士こと木村真実。正確には木村真実が所属していた法律事務所(自由法曹団系)が受任し木村真実はその末席であったが、こうした問題を知らないはずはない。乳児突然死症候群で赤ちゃんを失う側としてはどうあがいても再び生き返る事のない我が子をダシにしてまで病院から金を奪おうとは考えないだろうし、その訴訟に拠る精神的な負担や弁護士費用の負担にそうそう耐えられるものではない。ただこの時の当事者は夫婦が揃って公立校の教諭で金銭面からも余裕があったと言う事のようだし、その夫婦どちらも40歳前後との事で長年の不妊治療の末にようやく授かった赤ちゃんでもあったし、年齢的に今後の出産の見通しはかなり絶望と言えた事から訴訟と言う選択に至ったと言うような事を聞いている。



この乳児突然死症候群、医学的に完全な解明が出来ていないとはいえ確実に分かっているのはその予防に母乳が有効と言う事。乳児突然死症候群を引き起こすリスクには外的要因と内的要因があるが、先のケースでは内的要因として高年齢での出産という点もあるし、他にも指摘される要因には妊婦の飲酒や喫煙などもある。



そして厚労省も乳児突然死症候群の予防も含めて母乳育児を推奨している。なにも粉ミルクが全て悪いと言う事ではない。メーカーも長年の研究で赤ちゃんにとって最良の栄養となるように工夫が重ねられているが、栄養面からは完全なものであったとしてもたんぱく質の組成まで遺伝的要素を含めて同じものを作ることは不可能だし、なによりも免疫という要素ま取り込む事は叶わない。



赤ちゃんの生物的な「弱さ」というのは他の動物との比較でも明らかに人間の弱点の一つであり、それを人間と言う叡智が補完しているに過ぎない。



私の第二子も誕生時には新生児黄疸の症状があり一緒に退院する事が叶わずその後に転院して治療を受ける必要が生じている。さいわい適切な医療のおかげでその後に問題は発生していない(実際のところはハッキリしないと言ってもいい。なにせ10年前に小山田隆志くんに誘拐されてから、子どもたちの事はほとんど伝えられる事がなく、これまでになにも伝えられていないので問題がないと信じるしかないと言うのが実情)のだが、その入院中に於いても母乳を与えるために入院先の病院へ通ったし、搾乳した母乳を預けて病院側もその母乳を与えてくれていた。



ここでやはり問題となるのは母乳が良いと分かっていても母乳が出なかったりあるいは産婦自身が他の病気などで服薬をするなどの事情で医師から母乳を与える事を禁止されたりといった理由でどうしても出来ないという事情だ。そうした母親にとっては粉ミルクの説明書にも「できるだけ母乳で育てましょう」という部分にすら過敏に反応してしまうと言う。



このような方には申し訳ないのだが私自身は非常に母乳の出が良く、この事は何も私自身が努力した結果と言うものでもないが、当時の担当看護師から褒められたことは母親としてとてもうれしかったことを思い出す。粉ミルクが乳児突然死症候群を引き起こすというようなものではないが、厚労省の指針としても母乳育児の有用性が明らかな事を記しており、母乳育児の重要性は今さら説明するまでもない。



世界的には通称・ネスレ問題、或いはネスレボイコットと呼ばれる事象がある。ネスレと言えば我が国ではインスタントコーヒーのメーカーとして知られるが、世界的には粉ミルクのトップメーカーでもある。先進諸国の多くは少子化問題に悩んでおり、勢い粉ミルクの需要は減少傾向にある。他方発展途上国は人口増が続いておりメーカーも戦略としてそうした国々への拡販を企図するのは当然でもある。



ネスレはそうした途上国の産院などに従業員を派遣して粉ミルクのセットを贈るなどして粉ミルクでの育児を推奨してきた。(産院で粉ミルクを配布するのは決して途上国に限った事ではなく我が国でも雪印や森永、グリコ、明治、和光堂など多くのメーカーが試供品を産院で配布している)



その結果、途上国では乳児の死亡率が上がったとしてネスレに対する非難が巻き起こり、その製品をボイコットする運動が起きたのだが、これがネスレ問題、或いはネスレボイコットと言われるものである。



もちろんネスレの製品に問題があると言うものではない。途上国では粉ミルクを買う資力のないものも多く、その結果として極端に薄めたミルクを与えるなどで赤ちゃんが栄養失調に陥ったり、粉ミルクを使用する事で産婦の母乳の分泌が悪くなったり、それ以上に先進国とは異なり衛生状態の悪い環境下、不潔な水に拠って乳児に病気が引き起こされた事が主な要因であり、ネスレの拡販自体は商道徳上も問題のない施策と言える。



母乳が出ない、或いは少ないと言う事は母親と言うものを否定するものではもちろんないし、粉ミルクがある事で救われてきた赤ちゃんの命というのももちろんあるだろう。そうした意味からも粉ミルクの必要性は言うまでもないし、母親としても精神的ショックだったりその他の病気で急に母乳が出なくなったり与える事が難しくなる事例だってあるだろう。



この辺の問題は非常にセンシティブでありだからこそ冒頭に言い訳がましいような注釈を書いたワケだが、翻って母乳を赤ちゃんに与える事になんら問題がない状況で、その母乳を赤ちゃんから奪う事に問題はないのだろうか。



私が小山田くんに子どもを奪われたのは第二子が 生後3か月 の乳呑児の時だ。そりゃ子どもを誘拐されたことで小山田くんにケガを負わせ(翌日退院の軽傷)、剰えその事で小山田くんが「厳罰に処して欲しい」と述べ検察官が「夫婦間でこのようなことは正直良くある事」「相手方(小山田くん)を説得して起訴まではしない」と言っていたものが、小山田くんは検察官に対して 絶対に起訴してほしい と最後まで譲らず、結果的に私は執行猶予付きながら有罪判決を受けるまで追い込まれている。執行猶予がついたと言う事は端的には刑務所に行かず社会の中で反省しなさいと言う事で、実際に判決理由でその事が記され、その理由として子どもが幼く当然に母親として果たすべき役割があると言う事が書かれていた。



もちろん母親としての役割は多岐に及ぶが、こと授乳において母乳を与える事は男である小山田くんには絶対に不可能な事だ。



判決後に私は保釈され警察署の仲介もあって 事件後2カ月半 経って警察署内で1~2分程度だったろうか、非常に短い時間、もしかしたら数十秒だったかもしれないほどの短い時間だけ子どもと会う事が出来ている。この時に第二子はまだ生後6か月とは言えこの時期の赤ちゃんの成長は著しい。久々に抱っこした我が子ながら母親が分からないのか泣きだしてしまった。本当に本当に悲しい事であった。3歳の誕生日をようやく迎えたばかりの長子は私の首につかまったまま言葉も出なかった。たったそれだけの時間、そしてあの子どもを拉致監禁した張本人(とは言え一応は小山田くんは父親だ)が「行くぞ」とだけ。子どもにしてみれば父親が言うので仕方なくであったのだろう。ホンのこの程度の面会があっただけだ。



この時だって時間があれば生後6か月の乳児に授乳を行う事は問題なく出来たはずだ。警察署だって授乳をするための場所くらい提供するのは特に支障があるとは思えない。女性の社会進出が進んだ現在では授乳のための場所提供について各方面で配慮が行われる。小山田くんとすれば授乳の機会を奪う事で私に対する報復を企図していたと言っても言い過ぎではないだろう。なにせその時の様子を見ていた警察官まで「酷いね」という有様だ。



世界保健機関(WHO)は通称・WHOコードと呼ばれる指針の中で食品の規格を定める政府組織に「母乳がベスト」といった文言を入れるよう定めており、我が国もその指針を受けて消費者庁によって「母乳は赤ちゃんにとって最良の栄養です」という言葉を必ず表示する事が義務付けられている。この事が母乳の出ない母親に対して圧力になっているのではないかという議論もあるが、逆に言えばそれだけ母乳が赤ちゃんに欠かせないものだと言う事も出来る。



母乳を赤ちゃんから奪い去る、そんな事すら小山田くんは出来てしまうのである。言い換えればそんな思考だから子どもの拉致監禁だって出来てしまう。母乳育児を奪われた赤ちゃんと母親。まだ言葉も覚えていない赤ちゃんは抗議の声を上げる事すら出来ない。私は子どもを誘拐されて以降もなんと2年間は母乳が出続けたが、その母親である証の母乳も、飲む相手がいないまま出続けるので捨てる以外にない。

ここまで母親を貶める行為を 実子誘拐の実行犯である小山田くんは平気でやってしまうのだ。これは何もこの誘拐犯が 岩手の寒村の出身だから というわけではなかろう。