3月うさぎのたわごと

3月うさぎのたわごと

雑多に貪欲な脳ミソ両生類。膝と腰と巧く付き合う事が大事なLGBTQ


さて不思議な存在、それは楓のファンタスマゴリアでの記憶
四聖獣の玄武の次代の長の若様が自らの甲羅のバリアを預けるくらいの慎重さ
楓が損なわれるか失したら取り替えの効かない人物だと玄武の若様は識っているからか。
さて誰でしょね?。






「それで夕樹を元に戻すには俺の記憶にあると?。」
娘の天仙娘々と手を握る楓
膝には白い人を抱いている
「夕樹というか、九天応元雷声普化天尊というか、本性でしっかりとバリアを持つお前さんじゃ無きゃ無理だったんだよな。」
夕樹のもう片方の身でもあるヤン・ジンが云う
「そうですわね。でもシャンシャンにすら云う事無かったのは微妙ですが。」
シャンシャンの姉のリェンリェン
「でも本当に記憶があったとしても戻らないんです…。」
楓は娘々の困り果てる
「いっそ全部の記憶無くしてまた出逢えばいいんじゃないか?。」
豆狸
「そりゃ困るよ、特に天仙娘々は本来こっちに産まれて3歳なんだよ?、なんなら産まれて未だ半年も経ってないんだからそれは反対。」
朱里は右手を上げて反対
「そんなん一緒に育てりゃ良いじゃん。無理に戻すには危ないだろうし、そもそも結婚してから全然ゆっくりして無いじゃん。」
餅吉、気の利いた事を云う
「まぁ、それもそうよねぇ。本人?が無事ならヨシとしましょう、じゃあご飯作るから地上に戻りましょう。」
流石は涼子は夕樹の母、みんなの食事が気に掛かる
「今回の顛末の仔細もみんなで共有するからね〜!。」
君真物が背中に君手摩神を乗っけ?て云う
「解った!。」
ほぼ全員が云う

「メイア、夕樹は戻って来ているかい?。」
お久しぶりの小豆研ぎのおばあちゃま
「未だのご様子です…。古のモコシの氏族。ハイエイシェントの血筋の長様にも反応ありません。」
メイア

ウロンガクシのヨンさん夫婦の屋敷のお台所でみんなの帰還の食事の支度

なんせ儀典戦闘に行って来た者達と何故か自分達について来てる人達も居るので普段より大忙し
夕樹も居ないし、疲れた人達も多いから

「先ずは酒でも飲もう。」
城主神さん
「私にも下さいね。」
家守のとっつぁん
「さつまいものマッコゥルリが良い感じに出来てますよ。」
ウロンガクシの旦那さんの
「おほほほほほ、待ってましたぁ〜〜!。」
大喜びのヤン・ジンは両手を擦って喜ぶ
「私は珈琲を貰えますか?。」
リェンリェン
「お任せあれ。」
キカは丁寧に珈琲を淹れる
「私はお茶を淹れるけれど飲みたい人は?。」
若返ったまんまの月下老人
「はいっ!。」
天仙娘々
「アタシははちみつ紅茶が飲みたい。」
シャンシャンは甘い物を欲してる
「シャンシャンに似合いそうな香りの紅茶が丁度時期だからそれを淹れるわよ。」
マオリは夕樹が居なくて元気そうにしてる健気なシャンシャン可哀想で仕方ない
好きな紅茶を淹れてあげる
流石、キカとメイアの息子?だけあって淹れ方も素晴らしいマオリ

「ふぅ〜〜。」
ひと息をついてる人達
「あれ?、東華帝君にばあちゃん。それにもう少し人数居たよね?。」
狼精霊の大輔が周りを気にして歩いてお茶とか背中にお盆を置いて届けてる

普段なら虹梁(こうりょう)の梁(はり)から出てくる筈のトジュ神さんも縁台のピョンサンに寝て無い
座敷わらしも出て来ない

君真物と背中に人間サイズにまで小さくなった龍形態の君手摩神はぼへーっと日向ぼっこしてる

どうしましょう。人間界全部に散らばってしまった夕樹の破片は。君真物
未だ云うには早い。気がつくまで様子を見て居よう。君手摩
それに楓様の記憶はどうされてしまったんでしょう?、ファンタスマゴリアに置かずにおいてあったとは。君真物
それは私達の範疇を超える、今はやめて置こう。君手摩

「トジュ神さん何処?。」
朱里が堰を切る!。
「今は休んで居られるのでは?。」
メイアが用意をしながら云う
「そっかなぁ。」
豆狸
「朱里、おかえり。」
好多は久しぶりに合流出来た妹に云う
もちろんダンベル持って筋トレしながら!。
「好兄、筋トレ良いけど休みも入れなよ!、ウチのお兄達も。」
朱里は夕樹が居ないせいか自分の兄たちが心配で堪らなくなった
ララとドゥドゥリが朱里に抱きつく
「朱里、大丈夫だよみんなで探せば絶対に夕樹さんは戻って来るよ。あの雷のお兄さんと一緒に。」
ララ
「ん?、雷のお兄さん?。雷神まで居ないの?。」
朱里はララに聞く
「あのね、詳しく知らないけど、スンシンおじさん達と皆がむこうに行ってから雷神さんは見掛け無いのん。」
ララとドゥドゥリはうんうんと相槌うちながら云う
刀匠則宗もララの近くで包丁研いで居る

「ほえ?、雷神までぇー?!。」
シャンシャンは当てが外れた
雷神の力で夕樹であり雷帝である、九天応元雷声普化天尊様のお力の片鱗を辿れば困難にはならないだろうとタカをくくっていたのだ
「ぎゃーーー、参ったー!!。」
シャンシャンは屋敷の庭を何故か猛烈爆走する!。

猫又の時なら解るんだけど、どうやら自分が神格のまんまで走ってるも気が付かない

「はいっ、ストーップ!。」
娘々がシャンシャンの軍服の上着の後ろをギュッと持って止めた
「焦りたい、私も。だけど未だだと思う。あの伶倫の本性のサムガクロクが未だ起きないんだ。あいつ私の事なら解るってんだけど、私イコール母さんだし。母さんは元々が飛び出ちゃう人だから…。」
天仙娘々は、はぁとため息ついてる

楓はピョンサンで胡座で無言の儘、白い人を抱いて居る
眼を閉じて必死に夕樹に喚び掛ける

夕樹、夕樹!。九天応元雷声普化天尊様!。夕樹!。楓

赤とんぼ精霊がフワリと楓の肩に顕れる

「遅くなったね、ご主人様。待たせた〜、大司命からのお達しだよ〜。」
赤とんぼ精霊
「あっ、赤とんぼ〜!!。」
猛ダッシュで駆け回ってたシャンシャンは握り潰しそうになりながら赤とんぼ精霊に指を出す
チョンと指に止まる
「そう急かすなや、姉さん。大司命なんか重傷なんだからさ〜。」
赤とんぼ精霊
「大司命が重傷?、戦闘に来ても無いのにぃ?。どゆこと?。」
朱里が眉をあげて眼をガン開きして云う
般若顔の朱里は赤い怒れる鬼の様
「怖い怖い。で、息絶え絶えの大司命の伝言。大司命の修業した分の力?だかなんかを引き換えにして今回の失態を補うってよっ。オイラはこの後は綺麗な水貰うからねっ。」
云うなり井戸の方へ飛ぶ
「でも、大司命様のお力添えあっても夕樹に戻らない。」
楓は白い人の背中を撫でては沈む

ピッシャーン!。

楓の横っ面を引っぱたいたのはなんとちびっこララ!。

「????。ララ?。」
楓
「もう楓さん、しっかりしてよ、夕樹さんがここに居たらどう云うと思うのよ〜!。」
ララは激おこ、小さい手で叩いたせいか手のひらが真っ赤
どうやらしっかりと目が覚めた様
「そうだね、そうだったね。夕樹が居たらほっぺただけじゃ無くて拳で来るね。ありがとう、ララ。」
ララの手を摩る楓
「うんっ!。」
ララ
ランとエリカとユグネルが後ろで笑う
「先ずは、お披露目大宴会から始めるよ〜〜!。」
朱里
「でもばあちゃん居ないぞ?。」
兄たち

シュワン!。

「お待たせっ!。きっちりシバキ倒して置いたからねっ!!。」
ガッツポーズもかっこいい若い重箱オババ
「私は其方のお目付け役。」
東華帝君は扇子で口元を隠す
どうやらとっても面白かったらしい

説明すると
大司命は他もやらかしていた。
正確にはシステムの管理をおざなりにしてしまった。最終確認をしていなかったのだから。
雷神の格を穏封していた雷神の宮殿にあった筈の格がこれまた消えてしまっていた!。
九天応元雷声普化天尊様の格だけでは済まなかった為、重箱オババの尊格で叩かれるは殴られるは締め上げられるわでひっちゃかめっちゃかな大司命の身体?になっちゃったんです。
今は自分の宮殿で痛い痛いと言いなが、らうんうん魘されて侍女達の看護の元、寝てます。
神力で治しゃいいのにね。

「先ずは腹ごしらえして行くよ。イベントはその後だ。支度も出来てるからねっ。」
オババ
「でも、あらかた退治はした筈じゃん?。」
福蔵
「ちっちっち、甘い甘い。大物は儀典戦闘で始末をつけられたけど下っ端の方は未だ居る筈さ。オイラ達や猫長を死なせたワタルがタダで転ぶわきゃ無い。人間がした事は本人に返さなきゃ!。」
猫精霊白ぶちは神格降ろしてるんで人型の人差し指で云う
「その節は申し訳無かった。」
みなの前で頭を地面につけて土下座するのは人格統合出来たワタル
「私も勝手を申し訳御座いませんでした。」
同じに謝罪する狼神英霊子孫のホロ

「許さん。だからご飯食べな。」
シャンシャンは顔を見ずに云う
「そうで御座いますね、シャンシャン様。いえ女神バステト様。」
思わず口をつくホロ

「へっ、シャンシャンってバステトの子孫なん?。」
豆狸はデバガメコンビの内の1人が偉い凄い神様でびっくりした
「あれ?、知らなかった?。」
朱里は本人も女神イシスって事をいってないのをシレッとした
「なんだよ朱里まで知ってんのかよ〜、オイラだけのけもんにしてズルいぞ〜〜!!。」
豆狸は手にしっかりとニンニクを持って剥きながら云う
調理のサポートが何故か板に付いてる
朱里もなんだかんだいいながら井戸から組んだ水で野菜を洗ったりしてる
もちろんマオリの素早さには誰も追い付けないけど

「じゃあ、夕樹は九天応元雷声普化天尊様でもあるし、エジプトの軍神ホルスでもあるんだ。ほー。」
家守のとっつぁん
「凄い人なんだねぇ。私らをお救い下すったお方は。うんしょっと。」
ウロンガクシのヨンさんは一生懸命に強力粉を捏ねて麺を打ちながら聞く
「でもなぁ、夕樹も九天応元雷声普化天尊様もなんの話しもせずに行っちゃったしなぁ。」
豆狸は両手で大根を包丁で刻みながら云う
「あっ、夕樹のトルソーがあったんだった。アレは使えそうかしらマム?。」
マオリはニンニク剥きながら云う
「そうね!、あの形代、良いかも知れない。」
メイアは息子?に云う

マオリはニンニク剥きをほかの人に任せて自分のアトリエのある蔵に向かう

アンタを待ってる人が居るんだよっ、戻っといで!。

ガラッ。

アトリエは綺麗に整頓されて様々な生地や糸、大小のミシンにアシスタント達も数人居た。
アシスタント達はもちろん、メイアの一族

「レディー、お戻りですか?。」
アシスタント1
「あのトルソーは何処?。」
マオリ
アシスタントは夕樹のトルソーをマオリの部屋から持って来る
「コチラでございます。」
アシスタント2
「嗚呼、夕樹!。」
マオリは涙を流しながらそのトルソーに手を伸ばす
親友が未だ無事とはいえないので心配で堪らない。
「こんちゃー、鶏白湯麺屋ですっ!。」
久しぶりの登場のヤン・ミンジェは云う
「ああ、コッチに置いてくれるぅ?。」
アシスタント3
「へっ、アンタ何処に居たのさっ!!。こっちは大変なのにっ!!。」
マオリはヤンさんの胸ぐら掴んで云う
「ええええ?。だって夕樹さんにいわれてんだもん。味をおとすなって、だからアイドルも休業してこっちを手伝ってんのにっ!。」
ヤン
「あっれぇ?。此処になんでヤンさん居るのさ?。」 
豆狸もマオリに付いて来てた
「ああ、久しぶり〜!。元気〜豆くん!。」
ヤンは豆狸に飛び付く
「ほんとだぁ!、ヤンさん久しぶり〜!。」
朱里
「朱里ちゃんも久しぶり〜、イェンライばあちゃんからも頼まれてこっちを手伝ってたんだ。」
自分の着てる出前の制服を指差す
「ンン?。」
豆狸と朱里
よく見るとユキエ・チプ鶏白湯麺と書いてある制服、夕樹ん家って意味です
「あっ!、何時の間に登録してんだっ!。」
マオリはその制服をよく見る
「へっ、何それ、夕樹は鶏白湯屋のチェーン展開をしてたのか?。」
シャンシャンも騒がしいコッチに来てびっくり
「イェンライばあちゃんがウチの社長だよ。白菜キムチもばあちゃん手作りだし、夕樹さんの作ったカクトゥギもウチの方にもある。」
ヤンさん
「カクトゥギーーーー?!。その甕どこさっ!!!。」
シャンシャン勢い良く云う
「くっ、苦しい、たったんまっ。喉がぁ〜!。」
ヤンさん
「夕樹が漬けたんだね?、其方の物は?。」
楓も白い人を車椅子に乗せて連れて来た
「う、うん。」
ヤンさんはその様子にびっくり
白い人には三神ハルモニの織った反物で作った白い絹の服
「この人って?。」
ヤンさんはおかもちをアシスタントに渡して白い人の手に触れる
「夕樹だ。」
楓
「ええええ?。」
ヤンさん慌てて制服の上着脱いでる
落ち着いてきたシャンシャンは上着を持って云う
「反応は全て無し。お父さんの誠も白虎でもダメ。」
シャンシャン
「ならウチに連れてくる?。カクトゥギを持ってくるのも良いけどさ。」
ヤンさんの案内で鶏白湯屋さんに向かう一行

そうして夕飯を食べてる組とカクトゥギ確認組と別れて行動しました
でもしっかり登録してる夕樹のちゃっかりさにも驚き
いうて韓国は登録商標しとかないと不味いんです、特にレシピなんかは。
真似される程美味いのもいいのかな?。

「ばあちゃん、良いかな?。」
皆と一緒におかもち持って帰って来たヤンさん
「遅かったねぇ。」
イェンライばあちゃんは銀杏を剥くの止めて皆の前に立つ
「楓、頑張ったね。」
イェンライばあちゃんは白い人を見て云う
楓は、はじめて声をあげ泣いた
「よしよし、慌てんでいい。これからだから。」
イェンライばあちゃんは楓の肩を撫でる
「イェンライばあちゃん。」
楓は白い人を支えながらその手を渡す
「夕樹。何処へおいきだい。ここにはお前さんの帰りを待つ者たちが待ってるんだよ。」
イェンライばあちゃん
白い人はピクリともしない

「まあ状態は診た。しばらくはこっちで手伝っておくれ。この子は私じゃないと護れそうもない。」
イェンライばあちゃんは店先の陽当たりの良い日差し避けのされたリクライニングに白い人を座らせる
その周りに自分の夫や妹で護りながら店の作業をしている

「くさくさしても仕方ない、働かざる者食うべからずだ。みんなやろう。」
豆狸は楓を励ましながら云う
「あ〜、カクトゥギは確認したよ。コレが夕樹さんの手作りキムチ。」
ヤンさんはイケメンを周りにぶんまきながら云う
「ごめん、ヤンくん、サングラス掛けといて。」
朱里はイケメン度合いにはやられないがお店にファンが押し寄せるので云う
「そんなに警戒しなくても大丈夫なのに。ね、シャオロン?。」
ヤンさん
「そうだね、私もここだしね。」
次代の青龍のシャオロンもアイドル休業中でお手伝いしてる
大根のおとした葉っぱを軒先に干して居る。
「だって会長が不在で身代わり立たせたけどコッチも困ってるんだ。」
シャオロン
「なにいっ?、黄龍、いやフェイロンまで居らんのかいっ!。ファンタスマゴリアもどーなってんのさっ!。」
シャンシャン

ほんと、どうなってんでしょねぇ。

「あー、あー、聞こえる?。」
しばらくぶりの登場は朱里の兄、狼神族の1人になってる狼精霊の大輔
「なぁに大兄。忙しいんだけど?。」
朱里はイヤホンを耳から外してスピーカーにする
「こっちもてんてこ舞いなんだよ。時間軸いじってるから予定通りの事実は曲げられないし〜。あっそうだった、ばあちゃんから伝言だ。キムチを探せってさ?。戦闘の前にもいっておいた筈なんだって。じゃー俺は俺の予定をやるー。」
大輔、ブツっと音声切れる
「キムチを探せって?。」
全員ポカーン

「ここからだよ。」
赤とんぼ精霊が顕れて楓の耳元に止まる
「赤とんぼくん。何処かな?。」
楓は赤とんぼに促されて甕を見る
「アレだよ。」
赤とんぼ精霊
甕をゆっくり開ける
良い香りで、よく浸かって居るカクトゥギの甕。
「ここ?。」
楓
「そこ。ね、旦那様。それ食べてみなよ。」
赤とんぼ精霊にいわれてカクトゥギを食べる楓

リクライニングチェアの白い人がピクリと初めて自分から動いた。
でもほんの少しだけ。
「ゆ、夕樹?。」
シャンシャンは白い人の傍に寄る
「未だだね、条件が揃ってないんだね。」
イェンライばあちゃん
「ん〜、沢山チェーン展開してる店舗のカクトゥギを全部探せってか?。」
豆狸
「そーみたいだねぇ。妖精界より面倒な!。」
朱里
「ごめんね、みんな。」
天仙娘々は謝る
「こっちにゃ後始末をつけるべくコイツ連れて来といた。」
小豆研ぎのおばあちゃまがあのワタルを連れて顕れる
「おばあちゃま、そいつ連れて来ちゃダメだよ。成長の妨げになっちゃ困るんだから!。ちゃんと人間のルールや倫理を教えてからじゃなきゃ!。」
シャンシャン
「シャンシャン、その三清道祖様のお達しさ、人間を良く見ろって事らしい。妙高と一緒にね!。」
おばあちゃまは妙高和尚を指して云う
「いやぁ、お久しぶりですなぁ皆様。」
妙高和尚は自分の頭をペタペタと叩きながら云う
「儂が仰せつかって居りましてなぁ、月下老人様にもお頼みされましたもんで。」
妙高和尚
「ん?。妙高和尚はワタルの育成で、私達は夕樹を探すの?。」
朱里
「そうです朱里様。」
妙高和尚
「ほへ〜。ま、どうにかするさ。鶏白湯麺の仕込みもするんだろ、道々で?。」
シャンシャン
「あっそうだった、ワタル!。しっかり働け?。」
妙高和尚 
「えええええ??。僕、研究しか出来ないよ?。そりゃ鶏白湯麺屋の仕込みは手伝った事はあるけど…。」
ワタル
「しっかり味を落とさないで働け?。」
シャンシャン

どうやらワタルを育成するのと夕樹を探すのは一緒にされるらしいです。
キムチ探しの旅始まりました。
あ〜、美味しいキムチとジャンが食べたいっす。



はあ〜、忙しい忙しい!。
ファンタスマゴリアの式部の者達が総勢で事に当たっているが足りない様子。
式部とは人事、典礼などを司る部署で、今回の戦闘は報復では無くて儀式として執り行う事になっているので通常の戦闘とは違います。
なんなら上つ神の了解すら要らないレベルの儀式と一緒でございます。

「え〜らいこっちゃ、え〜らいこっちゃ!。」
アワアワとファンタスマゴリアの大廊下でオロオロしている大司命。
「大司命様、何して居られるの?。まごまごして無いで手伝って下さいっ!。」
ファンタスマゴリアの式部宮女達に一喝された大司命。
強くて偉い神様何だけど今回喚ばれ無かったのはみなの尊格を守護する為。
夕樹は全力を使うだろうから…。

困ったなぁ〜、困ったなぁ〜!。大司命。

「大司命様〜、どうしました?。」
ファンタスマゴリアの精霊の1人。
「内緒だよ、今此処には九天応元雷声普化天尊の尊格が無いんだ。どうにか人間界で彼の尊格の一筋でも欠片でも良い持ち帰って来れないか?。」
大司命
「う〜ん、巧く行かなくても僕のせいじゃないですからね〜!。やってみるよ〜!。」
精霊はそういうと現世に降りた。






カッカッカッ!。
コッ!。
バッターン!。

「此方(こなた)の愚か者を此処に!。」
最凶の戦神ホルスで降りた雷帝
ワタルの住処に荒々しく顕れ推参した神々はホルスの云う通りにする。
「だっ、誰だっ?。あっ、あんたはっ!。」
ワタルは鶏白湯屋のお兄さんだったホルスにびっくりした。
ワタルは連行されて膝まづかせられる。
両手を2人の副師団軍神に抑えられ、なんの術も使えない様に真空の檻に入れた。

「なあ、お兄さん。私は何もしないから助けてはくれないか?。私にはやる事があるんだ!。」
見苦しいワタルは真空に苦しみながら云う

ホロを窶れさせ見殺しにして置きながら未だそんな事を…。
せめてホロの死を悲しむのなら…。

「我に繋がる氏族。ホロを見殺しにした、お前にはなんの慈悲が要る?。」
ホルスは佩いていた剱の菊一文字で瞬速を出してワタルの首を斬る。

カチリ!。
ゴロッ。

首だけのワタル。
でもなにかしようと足掻く。
「終わりだ。」
ワタルの身体と頭に稲妻が落ちる。

ドドッ!、ドンッ!。

ワタルは何も成さぬまま、焦げて何も残らなかった…。

電動人形達は30人の餅吉が走らせたプログラムで既に支配下にあるのでその指示通りに動いている。
「他の人形達も全てコチラの指示に従え!。軍神達の補助を!。」
餅吉の指示で他にも居た人形達は能力を最低出力に抑えられ、ワタルの住処の封印の中にある、あらゆる呪い、術式、実験資料、研究資料、黒魔法の部屋を全部開きその内容を明示して軍神達に暴く。

餅吉は人形達が集めたその資料やパソコンからなにからワタルのした事の全てを手に入れる。

部屋を見渡すホルス。

コッコッコッ!。

ホロが使っていたトレーニングマシンとホロが見ていたプロジェクターを見る。
一瞥した後、ホルスは雷で消し去った。

此処にはもう居ないのだ…。

ホルス達とは別の場所。天狐とメグは元九尾狐族のほんの少しだけ残った者達を集める。
「健やかなる九尾狐族よ、英邁なる天狐よ!。我はその力に同期しよう!。向かい入れよ、天地(あまつち)の健やかで清らかな英気と生気を!。」
1000年妖狐のメグは自分が天地から吸い取った1000年分の生気、精力、妖気の全能力を10本のしっぽに乗せ、天狐と新しく生まれた健康な九尾狐族に渡す。

ビリビリビリ!。
シューン、シュ、ポンッ!。

普通の小狐になったメグ
「天狐、あとはよろしくね。」
幼いメグはそういうと自分の居た霊峰に魂を戻し、姿を丸くして天狐の肩に乗る。

けけ〜ん!。

メグは自分の力を全て明け渡して天狐の肩でちょこんとする。

「メグ…ありがとう。」
天狐は天賜界最高の神力持つ天狐へ戻る事が出来た。
メグの頭を撫でて神力でバリアーを張る。
ノグファホとノホジョンも九尾狐族に戻った。
プルリョウとサムドゥグミも天狐の一族へと代わる。
兄妹は真の姿に変幻が完成したのだ!。
新たな天狐の氏族に!。
「我、天狐族及び九尾狐族の真の力を今こそ顕せ!!。」
怪しい美しさの天狐とその氏族達。

直ぐさま地下神殿へ飛ぶ。

この地を裏で操る堕天した元九尾狐族達の眼前に降り立ち、剱を自身の眼前に突き刺す!。
その霊力の巨大さに大地がビリビリと音を立て地下神殿は総崩れとなる。
仁王立ちの天狐の勇ましさ!。

「おのれぇ、我らを裏切ったなぁ!。天狐様よ、そしてノホジョン、ノグファホよ!。」
堕天した元九尾狐族達は少ない妖力で抗う。
冷たい目線でそれらを見る天狐
「裏切ったは其方達じゃ。」
天狐

堕天した元九尾狐族達に天狐族達の本物の神力を落とす。
「お前達に容赦はしない。」
美しい天狐は云う。

韓国の妖狐だったサムドゥグミと韓国の妖狐プルリョウだった兄妹も天狐族になりその神力を遺憾無く発揮する。
「グダグダにしか動けないお前達はコレでも充実だ!。」
プルリョウはしっぽで辺り一面に育った地、精霊界の清い泉の水をこれでもかというくらいに流す
妹のサムドゥグミもそれを補う

け、けけ〜〜ん!。

建物や神殿にばら撒かれた清い水はゾンビを飲み込みながら溶かす

「此れがお前達のした証だ。」
天狐は自らに堕とされた時のバックラッシュを投げつけた!。

ぎゃーーーんっ!。

一鳴きだけ遺して堕天した九尾狐族達は焼失した。
天狐の本来の能力では勝ち目すら無かったのだ。

妾を侮り謀ったは、お前達だ!。

天狐はそういうと堕天した九尾狐族の居たその場所を消し去った。
綺麗さっぱりと跡形もなく無くなった。
暗がりに生きるもの達が居なくなったせいか、煌めく神地となり蝶や鳥が囀る地になった。
コレで韓の国の地下大地を護る下地が出来上がった。

天帝様、ホルス様。御恩をお返しします。

ノホジョンとノグファホは喜んだ。
「天狐様の地がお戻り成されたり!。」
「其方達のお陰だ、此処を住処とするといい。」
新たな神地は天狐族と健やかな九尾狐族とが仲良く暮らせる地になりました。

韓の国の地中深くは清められた。

場所は変わる。

白虎の率いる軍勢の居る場所。
桐生ワタルの研究所と開発室、実験室のある施設を神眼を使って辺りを見渡す。
生気が全く無い。
「此奴はいけねぇ。」
嫌な陰気が纏う空気に白虎は神力の風圧で悪い気を祓う。
多分、闖入者には直ぐに効く様なまじないなり結界なりを張っていたのでしょうね。
四聖獣の白虎達じゃあなきゃひとたまりもありません。

白虎は神力で、まだ研究所で実験されている神経麻痺ゼリーの敷き詰められ水槽のベッドに眠らされている人間達を救う。

誠はペク・クァンヒョンに変わり、生きて居る実験者達の健康診断や状態確認に大わらわ。
「麻痺は暫く残るだろうが君たちを救う為の努力を惜しまないと約束しよう。」
ペク・クァンヒョンは少しだけ話せる者たちへ笑顔で話し、約束した。
話せはするが活きる気力を抜かれた人達だった。

三神ハルモニの神力満ちる緋色の衣で被害者達を包み保護と療養の出来る施設へ移動させた。

人間界の戦争時の元最前線の医師達や老いた医師達が一生懸命にみなを救う事に尽力する。

「老いたとて人命を救いたい気持ちは変わりません。」
「例え片足、片腕であっても私を使って下さい!。」
片手や片足になっても救助し続けた者達の医師たる尊厳。

美しい者達だ。

白虎は救いし者達の守護神となる。
誠であるペク・クァンヒョンを護り、クァンヒョンは過去生より尚一層精力的に動く。

練馬の小豆研ぎのおばあちゃま宅から看護や救護の助っ人が当初の人数より到着した。
救護と救助、看護と介助の準備は出来上がって居た。
ワタルが自分勝手な研究に心血注いだ場所をみるみる使いこなし、救う場とする。
悲しいかな、ワタルの研究は人を生かすのにとても役に立った。
とても...。

ワタルの研究資料や実験資料は餅吉と福蔵がパソコンの膨大なデータログに残してあるので、その指示に従って治療や癒しを促進する処置を施す。
どれだけの日数が掛かるのかは不明だ。
でも誰も根を上げることなく進んで行くだろう。

また別な場所を見てみよう。

「おーい、吸血鬼や〜い。此処にいるのは解ってんだー、出て来いやっ!。」
ヤン・ジンの気の抜けたコーラの様な言葉にびっくりして、血液の元として捕え人質だった人間をゾロゾロと先に出す穢い吸血鬼族

「本当に穢いなぁ、やり方ってもんがあんだよ。」
ヤン・ジンは自分の手を剱で少し斬る

ぼとぼとぼと。

ヤン・ジンの神気溢れる血の匂いは芳ばし過ぎたのか血に吸い寄せられて力の弱い吸血鬼達が近付く。

だがその神気の香りこそが命取り。
自分の神気に吸血鬼の致死毒を混ぜていた!。
過去に吸血鬼とはずっとやり取りをして来た者のヤン・ジンにはお手の物。
香しい神気はみるみるうちに吸血鬼をシオシオのパーにする。
塩柱だけになる吸血鬼だった者。

きょえええええーーー!。

ヤン・ジンの神気に恐れをなして蝙蝠や毒虫に変化して逃れようとする吸血鬼族。
ドタバタとみっともない有様で、ひとつとして統制されていない。
ドリグラールの部下達の様に、吸血鬼で作った軍隊の様な組織化された吸血鬼族が生まれて来なかったせいなのかもしれない。
要は個々でしか無かった。
散れぢれの吸血鬼達。

「いよ〜っ、ほうっ!。」
精霊界英霊のアセナの一族である狼神族の1人、花乃が狼神の名乗りをあげて飛び出す!。
康楽と舞香も飛び出す!。
3態の巨大な白銀の狼神。
ヤン・ジンと連携して次々に吸血鬼族を食いちぎり神力で燃やし尽くす。
「おいおい、俺の分も取っといてくれや〜!。」
のんびりとした口調に行動が合わないヤン・ジンは剱で有無をいわせずにスイスイ斬り裂き消滅させる。

「ジン様だけ活躍では許せませんねぇ、私達にも、もう少し下さいな。」
舞香はズブズブと吸血鬼の脳みそに前足を入れ記憶を探る。

本土より渡り周りに小島のある場所が視える。
血液をストックする為の施設が視えた。
「本拠地は其処かっ!。先に行くっ!。」
舞香は先行する。
続く康楽と花乃もとても早かった。
なんならジンより早かった。
「困っちゃうなぁ〜。デートはもっと楽しくないと。」
ヤン・ジンは頭をかきながら剱でキリキリと斬っては捨て、直ぐに燃えるて消える吸血鬼。

「大哥、あとは我らに。アチラヘ行かれますので御座いましょう?。」
真雪が云う
「じゃ〜任せたぁ〜!。」
ヤン・ジンは元守護職の者達や元巫覡と元巫女達を救いに向かう。

「エリカ、手を!。」
ランがエリカ、ユグネル、ララと手を繋ぎインドの秘術術式を行う。

真雪は姫芽子と手を繋ぎ尊格の妙見菩薩と尊格のイシコドリヒメで新たに出現する。
その力で自分達の結界を張る。

「吸血鬼族は根絶やしに。」
ラン
「お待ちをっ!、尊き御方様方!。」
4人の人間達が現れる。
「何か?。」
冷たい口調のラン
「儂らをお助け下さった方々だけはどうかお情けを!。」
老人とその家族は手をすり合わせてラン達に祈る。
「ほう、そんな者が居るのか?。今まさに利用されているだけでは無いのか?。」
なおも冷たいラン
「儂らからの少ない血液で守護下さる吸血鬼族族のお方も居られるのです、利用するではなく、互いに手を取り合う方々です!。どうかっ、どうかご明察を!。」
老人はランの足元に縋る。

実は吸血鬼族の中にも異質な者が居た。
「私はこの闘いから降りる。お前達は自分達の愚かさの不始末をどうにかするといい。私は自らの命を神々へお預けする。元々人々との共存の為に傘下に入ったが、お前達の様な理不尽で心の無い者達とは私は理解出来ぬ。」
吸血鬼族の中にも人?の良い者は居て、人知れず人間を救い育て生活を助けたりしていた者が居た。
ほんの少数だが、彼等は人間に少しの血液を分けて貰い、それ以外では外敵から守護したり、人間達の農作業の手助けの為にだけ、その吸血鬼の能力を邁進していた者が居た。
強き信念を貫く吸血鬼も居たのだ。
ランや真雪の様な非吸血鬼族だった。

隠神刑部や堕天した元九尾狐族、その配下の者達とは相容れない者達。
もちろんバレない様に隠形を使って人間達を守護していた。


ランがついと目を向ける。

元吸血鬼の目を使う。
地中の棺の中で眠る複数の吸血鬼が居た。
その吸血鬼達は杭を自分の心臓に向けて眠っている。
「御方様方は、お許しを獲られ無ければそのまま足を踏み出せば良いとの仰せに御座います。ですがどうか、御方様方をお助け下さい!。何卒お慈悲を!。」
老人は懇願する

ランは普通に墓地へ歩いて行き、杭を自分に向けた棺の中の吸血鬼達を見つけた。
そのまま1人目の墓の杭を踏もうとしたラン。

それをとめたのは豆狸。
「ラン、ダメだよ。やり過ぎ注意!。」
豆狸はインビジブルを使い地中に潜る。
棺に眠る複数の吸血鬼に問い掛ける。
「おーい、おい。あんた達は良い吸血鬼?、それとも悪い吸血鬼?。」
単純明快な豆狸。

我らも元は血を吸う者だった。
だが、自分達だけでは生きていけない生物だと理解し、理解し合える人間と助け合う者としてこの棺に眠る。
赦されぬならそのまま足を踏み付けて消して下さい、真祖様方…。

「真祖?。私が、私達が?。」
ランとその一行はびっくりした。
「だってそうで御座いましょう?、もう何百年も生きて?居られると伺っております…。」
老人はオドオドしているが護るべき者を護る意思でガタガタしながらそこに踏みとどまっている。
「我らはそんなに歳を経て来たのか。」
ラン
「そうですよね、ラン様。ご老人、私達は真祖では御座いませんが力はあります。どうせなら吸血鬼としてではなくその者達の守護者にお成りあそばせ。」
エリカとユグネルとララの3人は歌う。

普通の子守唄。
昔昔のルーマニアの子守唄。
子守唄は超自然を超えた能力で吸血鬼達の癒えない渇きを癒した。

吸血鬼達は棺の中で小さくなる、大人から子供へ。子供から赤子へ。そして種なる卵胎生になった。
ランは手の平に焔を出す。
朱雀の狩野百合子の力を代行する。
吸血鬼族の血だけを燃やす。

過去にヤン・ジンが楊戩だった道士の頃にエリカとユグネル、ララの中に流れる狼人間の遺伝子を消してくれた技だ。
その子孫のヤン・ミンジェがその技を教えてくれていた。

「さあご老体、この種子をどうする?。」
豆狸
「我が子として育てて良いですかな?。」
老人は怖々云う
「我が子にゃ、ちと荷が勝ちすぎる、せめて孫にしときなよ。時間がとってもかかるからさっ。」
豆狸はそういうと種子に守護をつけた。

流石、朱里とよく一緒にいるだけあります。
豆狸もちゃんと能力が真に開花しました。インビジブルとかだけ出なく育む為の力、それは人を護り育む能力。

自然界の輝石や半貴石が大好きで石に惚れて惚れ抜いてる豆狸が知らずと授かったもの。
大地の英気が身体にずっと蓄積されて居たので神力もそれなりに満ちて居ました。

「赤子よ、子供よ。より良く生きて人々と助け合い、時に諍い合い、理解し合い人間らしく生きなさい。」
父性の塊の豆狸
「きゃー、豆狸チョーかっこいい〜!。」
マリリンが豆狸に飛び付く

吸血鬼族だった者は赤子になり老人とその家族の一員になりました。
ごく普通の人間に。

そうして吸血鬼族の生き残りが未だ世界に居る事になった。
でも本当に少数しかおらず、今回の企みにも全く関与して居ない者達なので夜の住人達はもう少し生きて居られそうです。
人間を害する者じゃ無かったらのお話しです。

別部隊へ目を向けましょう。

「こんな場所に人間を置いて居たのか?。」
到着した狼神族達は唖然とした。
神職の者、神事を司る音楽を奏でる者、地上の守護を賜る者達が小さくなって胎児の様な姿で巨大な工場の中に所狭しと保管されて居た。
人口子宮の中で眠る人達。
全員、力の出せぬ様に人口子宮の中には麻痺する薬で羊水を充満させてあった。
1人の手を取る花乃。
「脈もほんの少しだけだ、生きて居るのが奇跡なくらいだな。」
ヤン・ジンも到着して辺りに手を当てる
「ここ不味い結界ですよ、私達も此れ以上の動きが出来ません。数人は助けられますが何千人となると…。」
狼神族達は悔しそうに云う
「そんなの俺に助力すりゃ良い。」
ヤン・ジンは菊一文字に手を当てる
「菊一文字、この悪い縁を切り裂き、善い縁だけを残せ!!。」
ヤン・ジン

ヤン・ジンに柄を握られた儘、菊一文字は自らの力で宙に浮いた。


キュン!、キンッ!。
キュイン!!。

空中を舞い踊る菊一文字とヤン・ジン。
指でも触れたら真っ二つになるほど。
美しい剣舞を魅せるヤン・ジンと菊一文字。
狼神族達も声を挙げて力を増幅させる

ウオオオオオオッ!!。
うおーーーーーん!!。

広大な工場の中は神力と浄めの剣舞により空気の澄んだ状態になる
人口子宮を支えていた支柱群が燃え上がる

パチャッ!。
バシャッ!。

人口子宮は崩れて中に居た者達を排出した。
怪我をせぬ様に全員に保護するヤン・ジン
は様子を観察した
「此の儘では無理だな。白虎、この者達を!。」
ヤン・ジンが喚ぶ

キュイン!。

「待たせたなっ!。んっ?、なんだっ?、ここはっ?。」
白虎が驚くと共に鼻をつく匂いに腕で塞ぐ仕草をする
べちゃべちゃになっている数千人を神力で庇護してする
「クァンヒョン!、こっちにも手を回してくれっ!。レベル2だっ!!。」
白虎

シュン!。

「何を仕出かしてくれてんだ馬鹿者共っ!!。」
クァンヒョンは急護班を指揮して救命する。
医師達も到着して救命工場と化した。
「皆を御守り下さいませ、アセナ様よ、大口真神様よ!。」
狼神族達も身体を温める役割を果たしながら願う。
白虎は自分の毛を抜いて分身を数百人出した!。

コレで少しはマシか…。

ヤン・ジンはまた移動する。
血の工場とも云う人間達から血を吸い取る場所へ。

ギャリッ!!!。

ヤン・ジンの神力を弾く結界!。
「ダメだなぁ、俺とのデートは甘く優しくなくっちゃなぁ!。な、菊一文字!。」
菊一文字は解ったとばかりに超震度する

スラッ!!。

容易く結界を斬り裂いた菊一文字
「お前さんはほんとに凄い相棒だよ!。」
菊一文字を褒めるヤン・ジン

これまた工場内はハンガーに吊るされた人、人、人だらけ!。
人の入った真空パックが縦にも横にも並ぶ
「貴方。貴方だけではここは厳しいですよね?。」
リェンリェンも合流した
「悪かった。何かあってはと…。でもここも嫌な気だらけさ。」
ヤン・ジンはハンガー群を指す
「我、リェンリェン成るものにしてハトホルが命ずる!。命を活かし、閉ざされし命の道を流れ行く悠久の力を!!。」
リェンリェンは古代エジプトの女神ハトホルに変幻して降りる。
古(いにしえ)の魔法でハンガーに吊るされて居た真空パックから人間達を取り出し救う
「如何にクァンヒョンでも手が足りん。ヴィシュヴァルカルマン神!、使うぞ!!。」
ヤン・ジンは楊戩に戻る
天賜界神の軍神へと。
「ヤン・ジン、待たせた!。」
イ・スンシンも顕れる
「スンシン、我・楊戩が命ず!、その姿を守護する者へ!!。」
楊戩はイ・スンシンを変幻させた。
イ・スンシンだったのは狂乱の戦神セト。
普段はその姿では直ぐに暴れるので封じてあった。
天賜界神の許可無くは変幻出来ないロックを掛けてあった!。
「うおおおおお!!、力が戻る!!。楊戩、善いか?。」
セトが今にも噛みつきそうな感じで云う
「暴れ過ぎんな、やりすぎるとハトホルにまた封じて貰うぞ?。何千年でも。」
楊戩
「おおおお!!。」
セトは工場のまじないやワタルがした所業を全て砂に変える

怒号で建物だったものは全部砂と化し、その上にはハトホルが守護印を楊戩と一緒に掛けて居た
「うぺっ、ぺっ!。だからやりすぎんなってんの!。」
楊戩、砂まみれ
ハトホルはそれを水で洗い流す
「もう、セト。姉である私に砂まみれとは?。」
ハトホル怒りながら囚われて居た人間達の血を吸い取られた冷蔵倉庫から取り出してそれぞれに戻す
「ああ、済まなかった姉者。では、また眠る。願わくば我の力無くあれ。」
セトはイ・スンシンに戻りながら云う
「ほんと、お前さんの出番は作っちゃならねぇんだぁ〜。」
楊戩はハトホルの手を握って云う

所は変わり、隠神刑部の居る結界。
隠神刑部の血をひく者達とその配下の研究者達。
「急げ、我らの血筋を絶やしてはならぬ!。」
隠神刑部は部下達に云うと隠形の術で姿を隠して施設を出る。

なぜみつかったんだ?。
隠神刑部は一族を全て置いて来た。
自分だけ残ればどうにかなると思ったっていう無茶苦茶な理由に寄って。

「隠神刑部。」
ホルスが東華帝君と少司命と隠神刑部の結界の内に顕れた。

隠神刑部の能力は封じた。

ジタバタとする隠神刑部。

「少司命、其方の考えは?。」
東華帝君
「私の子等が消えたとしてもそれはソレ。隠神刑部のした事とは関係御座いません。」
少司命

ふと考える東華帝君。
東華帝君はホルスと記憶を同期した。
「隠神刑部の陽の人物が少司命の夫だったと?。」
流石のホルスも驚いた様子。
「ならばどうする?。」
東華帝君
「今の隠神刑部は消し去って仕舞うが?。」
ホルスは意見をかわらずに云う
「それでよろしゅう御座います。」
少司命
「たったっ、助けてくれぇー!。これこの通りだぁー!!。」
隠神刑部は土下座して必死に謝る

スルリ。

菊一文字が唸る

ブワンブワン!。

「お前はどうしたら気がすむ?。」
ホルスは菊一文字に聞く

ホルスの手から離れる菊一文字。

隠神刑部の目の前で菊一文字が止まる
眼前の刃にガタガタする隠神刑部。

ストン!。

隠神刑部の目の前から空中に移動し、背中に頭上から落ちた菊一文字。

スルリ!。

菊一文字に血が滴り落ちる。
落ちた場所に血の色の花が咲く。

ものいわぬ隠神刑部の遺体。
「朱雀。」
ホルスは朱雀を呼んだ。
「どうする。」
朱雀
「隠神刑部の陰の気を焼き尽くしてくれ。」
朱雀はホルスの云う通りにした。

コレで重箱オババの血筋に入った善い隠神刑部の力のみ残った。
元々重箱オババの子孫である朱里達は善き古狸族として生きて来て居るので無問題。

血から生まれた花はみるみるうちに蕾になり実になった。
「?。」
一同
「この実は?。」
朱雀が実に触れた瞬間!。

目の前に君真物が顕われる。
空には君手摩神が顕れた。
「我らの満ちし力により、陰陽の理を直ちに示せ!。」
君手摩神は太陽の陽の気を登らせる。
みなの前にゆっくりと陽が昇る。
「本当の太陽の陽の光で御座います。」
君真物は恭しくお辞儀をして太陽を向かい入れた。

実は落ちて地に芽吹く。
芽吹いた芽は陽の光を受けてスクスクと育つ。
有り得ないスピードで。

シュポン!。

赤子が実から生まれた?!。

「この子は?。」
ホルス
「普通の人間だ。元、隠神刑部のな。」
東華帝君

菊一文字は悪の隠神刑部だけを斬り裂いた。
善き隠神刑部の格がファンタスマゴリアから降り、実を結ぶ。
でもそれだけで祓えるものではない怨念は太陽の陽の一番清い光に照らされて業を斬って貰えた。
菊一文字の真の力で、もっと強い業を斬って貰えたのは幸いだった。

ホルスは佇む。

「菊一文字、良くやってくれた。これで我は眠りにつける。菊一文字よ、我を割くのだ。」
仕える主人であるホルスの命令には逆らえない。

菊一文字はスターン!と云う音と共にホルスを精確に斬り裂いた。
血塗れの雷帝は息をしていない。

「ちょっと夕樹!!。どうしてっ?、どうゆう事よっ!。」
朱雀が百合子に戻って雷帝のもの言わぬ身体を起こす。
もう動かない。

シュワン!。

瞬間移動して来た楊戩が雷帝を見る
「やらかしやがった、雷帝はファンタスマゴリアに格を戻してなかったなっ!!。」
楊戩
「えええ?。」
豆狸
「嘘嘘嘘嘘!。」
百合子は雷帝の身体を抱き締めて泣く。
楓がコツコツと歩いて来る。
隣には天仙娘々。
「ホロがバカこいたせいでなんで母さんが死な無いといけないのさ!。」
天仙娘々

楓は雷帝の身体にそっと触れる。
夕樹であるべき所は全く無かった。

「私のせいですね…。」
ファンタスマゴリアの尊格の保護膜の中に居るホロが神力で云う
「あ〜そうだ、お前が私達の知らない考えで好き勝手したせいでこうなった。」
天仙娘々は口をつぐまない
「申し訳御座いません、お嬢様…。」
ホロ
「夕樹ですら無い。夕樹は何処だ娘々?。」
楓
「ちょっと父さん、しっかりして!。」
楓が呆けているのを天仙娘々がガシガシと揺すぶる

キュアァーーーーー!!。

巨大な高音が鳴り響いた。

「誰だよ!。」
楊戩
「この高音は誰?。」
天仙娘々が辺りを見回す

三本角の鹿が空間を割って顕われる。
伶倫がサムガクロク(三角角鹿)へ戻り、未来予知する。

「夕樹は戻れない。」
サムガクロクは断言した。
「未来予知でも戻らぬと返答されたか。」
東華帝君
「?。ちょっとお待ちを、夕樹は戻れない?、で合ってますよね?。」
少司命
「そうよ、そういってたじゃない!。」
天仙娘々
「お嬢様、お待ちを!。」
ホロ
「戻れられないじゃなくて、戻れないですよ?。」
楓
「父さん?、どういう事〜?。」
天仙娘々
「はいはい、ちび姫、ちょっと慌てないの。ここにアタシが普通に居るのよ?。」
シャンシャン
「ん?。」
天仙娘々
「夕樹が本当に消滅していたらアタシは此処に在れない。あったとしても狂ってる筈だよ?。」
シャンシャン
「って事は?。」
天仙娘々は泣き出す
「娘々。」
楓は娘を抱き締める
「雷帝も夕樹も、戻れない事情があるだけなのね?。サムガクロク。」
泣きながら云う娘々
「そうですよ、お嫁さま。」
サムガクロク
「なら許す。ホロ、当たってごめんなさい。」
天仙娘々
「お嬢様…、ありがとう御座います。東華帝君様、私の遺体は其方に未だありますか?。」
ホロ
「戦が終わり次第、荼毘に付すつもりで冷凍保存してある。」
東華帝君
「ホロの事がなんか関係あるの?。」
天仙娘々
「ありますよ、お嬢様。」
ホロ
「解りやすく説明して。」
天仙娘々
「楊戩様、剱は未だ懐に御座いますか?。」
ホロ
「ああ…、アアァ〜!!。」
楊戩はなんかピンと来た
「雷帝、面倒なやり方をしたな。」
東華帝君
「少司命、時間軸を戻すぞ。」
楊戩
「えっ?。凱(かちどき)をあげてませんよ?。」
少司命
「そんなん、スンシンに任せる。俺たちは俺たちの時間軸へ戻る!。」
楊戩は突如ファンタスマゴリアへ向かう。

みんなも向かう。

君真物が舞を踊る。
やれめでたやな、やれ嬉しやな!。
君手摩神と共に登った太陽を浴びて待つ事にした。

君真物、あんたは知ってるんだね。
なら安心して待て次号!。
























ホロは脳を弄られてしまった。
ワタルの意のままに動く者としてだけになった。





ワタルは嬉しそうにホロを両腕に抱く
「あああ〜、やっと思って居た通りになった!。」
本気で喜んでるワタル
だがホロの表情は硬い。

そりゃあ人形と同じですからね、ワタルの思った事以外出来ません。

ワタルは毎日自分の言いなりのホロを笑顔で見つめる。
ホロもぎこちない笑顔で返す。
ふと、ワタルは可笑しいと思った。
ホロは自分に笑い掛けてくれている思った通りに。
でも以前のホロの様には笑ってくれなくなった。

心からの笑顔ってのは無理やりさせるもんじゃ無いからね。

ワタルはその状況に満足出来なかった。
ホロと過ごす時間を徐々に減らす様になった。
食事を見ているのも、眠るのも一緒にするのをやめた。
そうして約2ヶ月が経った。

ホロはルーティン通りをロボット達と過ごす毎日。
寝る時間も決まってるし、食べる物ももう以前と違って最低限度の栄養しか摂らない。
ホロがどんどんと痩せて細って行く。
顔すら合わせないワタルには気が付かなかった。
人形達の報告書やデータは山積みになっていたが気に掛け無い。

誰とも会わずに居るというストレスは人間?の潜在的な生存本能を刺激しないので、生きる気力が湧く事が無いのを知らないワタルに解らない事だった。
人間は例え一人で部屋から出ない生活をしていたとしても誰かと繋がって居るという安心が本当は心のどこかにある。
けれどワタルには人間らしい感覚すら無くしている為、ホロの様子には全く関与しなかった。

「ワタル様、ご報告通りホロ様の健康状態が危機的でございます。栄養点滴をしても栄養が身体に巡りません!。どのようにすればよろしいですか?。成分輸血や成分点滴をしてもダメでございました!。栄養が全て身体から排泄されております!!。」
介護人形は云う。

云われて数ヶ月分のホロの健康状態のデータや山積みの書類を慌てて見る

本当に体重が徐々に落ちている、そして栄養状態も悪くなっている!。

以前と同じ通りにしているのに…。
「ホロ、何か食べたいものはあるか?。」
ワタル
「何時も通りで良い。」
ホロはトレーニングしながら云う
「ええいっ、トレーニングをやめて身体を休めろ!。」
ワタルはトレーニングマシンに当たり散らす
「解った。」
ホロはシャワーを浴びてから寝室に行く

眠ったホロを見つめるワタル。
「ホロ。」
ワタル
「なんだいワタル。」
目を覚ましても同じく表情は硬いホロ。
目が笑って居ないのだ。
ホロの瞳に映る自分に最初は酔いしれた。思う通りにしてくれるホロが本当に嬉しかった。
でもふと気がつくと、笑顔が違った。
心からの笑顔を見せる事は出来なかったホロの空虚な身体。

今はやつれて見る影もないホロ。

何故だ?いつもと同じだ!何が違うんだ!研究ではちゃんと成功した。だが今のホロはどうだ?全く違う!。

「うわぁああああ〜!。」
ワタルは自分の研究資料を切り裂く
「違う!、違う!、違う〜!。」
ワタルは我を忘れて仕事の部屋の中を全部ごちゃごちゃに壊す

「何が違ったんだ?。食事もちゃんとさせていた、トレーニングも以前と一緒だ。それ以外は?。」
ワタルは思いついてホロとドラマを見る
ワタルの肩に持たれるホロ
唇に口付けてみるワタル
ホロは応える
2人抱き合い上下入り乱れる。
お互いの服を脱がし合い、互いに感じる場所へ口付ける
ホロがワタルの芯に触れて摩る
ワタルの芯を舐めるホロ
「あっ。」
ワタル
ワタルの良い様に頭を上下するホロ
次第に激しく動かす。
思った通りにしてくれたホロ。
「うっ。」
ホロの口に熱を出すワタル。
ホロは起き上がり、ワタルを抱き締め様とした。

だがもういいと身体を突き放す。

ロボットだ、いやロボット以下だ!。

おいおい、お前さんの好きな様にしてくれるホロが欲しかったんだろうが?。本当に勝手な奴!。

はっ、どうだぁ?。願いは叶ったかぁ〜?。キキキキ、クケケケケケケ!。

ワタルの住処のマンションに声だけが響く。
「だっ、誰だっ!。」
慌てるワタル
ここは人形達とワタルしか知らない筈。
ホロの身体には追尾するものはなにも着いていなかった。

幽体のワタルの祖父が空中に浮かぶ。
あまり形が取れない状態らしくユラユラとしか出来ない様子。

「ちっ、幽霊になってまで私に追いてくるのか?。恨めしいのは私の方だ!。だが何も出来やしないっ。」
ワタルは幽体を散らす様に手を動かす

ユラユラと漂う祖父。

「何が言いたい。」
ワタルは試しに祖父に聞いてみる

「おじい様、何を望んでおられるんですか?。」
幽体は何もいわないでホロの居る部屋へ向かう。

「ホロに何かする気かっ?。」
手に黒魔法を掛けて幽体を攻撃する。

すかっ!。

攻撃は当たらないで壁や家具が壊れただけ。
自分の能力で得たまじないや禁咒を使い攻撃するが全部がすり抜ける
幽体であっても腐っても元九尾狐族

尚も祖父はホロの部屋に近くなる。
ホロの眠って居る寝室。
「ホロを守れっ!。」
人形達に指示を出す。
攻撃態勢を取る守護人形は目標が見えない為、臨戦態勢のままでホロを庇う様に何体も現れた。

「ワタル様、攻撃対象が写りません、何か別な指示をお願いします!。」
守護人形達
「温感サーチ!。」
叫ぶワタル
「温感にも写りません。」
守護人形
「超音波サーチ!。」
ワタル
「ノイズが入ってしまい、攻撃対象に的確に当たりません、失敗するとホロ様に当たってしまいます。範囲が正に、その中ですっ!。」
守護人形
「なにいっ!。」
ワタルは寝室に突進する

バターン!。

扉は勢い良く開きベッドに横たわるホロとそれを守る守護人形達しか見渡せない
「何処へ行った?。」
ワタルはホロの身体の斜め上をみる

うけけけけけけけ、コヤツがお前のお気に入りかワタル?。どれどれ。んっ、この者、生きては居らぬでは無いかっ!。ふんっ、詰まらんっ!。

祖父はそういうと掻き消えた。

「生きては居ない?。」
ワタルはホロの脈を測る
脈が弱い。
「ちいっ、強心剤を!。」
ワタル
「ワタル様。この所の連続の強心剤の使用過多で既にホロ様が耐えられません。この身体は壊れたら私共では直せません!。」
介護電動人形
「直せない。直さない。直したくない。直らないと腐ってしまう.........。」
ブツブツと呟くワタル

「ワタル、ワタル。」
穏やかで優しい低音のホロの声が天井から響く。
天井の方を向くワタルはびっくりした。
幽体のホロがそこに居た。
という事は、この肉体は既に臨死状態だという事。

「ワタル、もういいんだ。」
ホロはワタルに笑顔で云う
「何がいいんだ?。」
恨みがましく云うワタルはギロリと幽体のホロを睨む
「楽しかった、ワタル。この数ヶ月間、ありがとうワタル。」
ホロはそういうとすうっと消えた。

幽体が消えた途端にホロは息絶えた。

ピーーー。

心臓のある位置の上に付けていた医療機器が心肺停止の音を鳴らす。

非情に、無常に…。

ワタルはわなわなと震える。
「ホロが死ぬ?、いやホロを生かす為にやった。僕とずっと一緒に居てくれる存在に僕はしたんだっ!。」
自分の研究資料をもう一度漁る
何度読み返しても、何度調べ直しても研究に間違いはなかった。
間違いはなかったが、人は活きるという事をしなければ人というものは自ずと死に至る者だと解らないワタル。

何ヶ月もたった1人で放ったらかしにされホロは寂しく悲しかった。
だが人形と同じくワタルの思う通りにしか動けないホロには伝える術が無かった。
神力を使うのもしなかった、ワタルを安心させたくて…。
食事も1人で人形に出して貰って食べるだけ。
目の前にワタルの居る和やかな食事の風景では無かった。
ワタルは本当に無分別だった。

モンドール博士の脳を吸い取った朱里が此処に来た。
吸い取ったという事はモンドール博士の云った事や記憶の全てが解るという事。

すいっ!。

朱里は照魔鏡の力で姿を見せずにホロの肉体だった遺体に触れる。

「ホロ.........。ワタルを選んだんだね…。」
朱里はホロのやつれた顔を見て泣く。
「誰だっ?。」
ワタル
「誰でもいいじゃん。ホロが亡くなって泣きもしないの?。」
朱里は投げやりな言葉を吐く。
「???。」
ワタル
「ホロが手に入って喜んだんでしょ?。満足だった?。操り人形のホロは?。そんな事ならロボットをホロそっくりに作りゃあ良かったろうに。そうしていたらホロは死なずに済んだのに…。」
朱里はワタルを恨めしそうに見る
唇の端は血が滲んで居る。
「何を云うっ!!。」
ワタルは周りを見回すが見つからない
「ホロは、魂を孵した。あんたと同じ場所にはもういないし、もう一緒に居る事は出来ない…。」

朱里はホロの着衣を綺麗にした。
ホロの髪を撫でる朱里は瞳を涙に溢れさせた。

ワタルは自分の魔力で朱里を視る
「お前かっ、朱里っ!。」
ワタル
「やっと解った?。あんたが私にしたのと同じ目に合わせたんだね?。しかも自分が愛するホロに!、馬鹿な奴…。」
朱里は本当に馬鹿だと思った。
「お前にいわれたくはないっ!。」
ワタルは朱里を睨め付ける
「ホロはメグの友達。そして私の仲間。それでワタル。お前はホロの何になれたの、ワタル?。」
朱里は照魔鏡と連動して激しい妖精の高音を口からあげる

きゅあああーーーあ!。

「ホロの何とは?。」
ワタルは耳を抑えながら云うが見当がつかない
「ホロはあんたにとって何になれたんだって聞いてんだよ!、このウスラトンカチっ!。もう死んだ身体には何も残ってない!。」
朱里はブルブルと震え出す。
怒りのあまりに両手の拳がギリギリと音を立て、身体は震え上がり、違う姿を顕す
「最後にもう一度聞く!。ワタル!、お前にとってホロは何だった?!。」
神格の朱里が降り怒号を放つ!。

ドッシン。

その姿は古代エジプトの女神イシス!。

「…ホロは初めて本当に欲しい者だった…。」
ワタル
「それで?。その者にすべき有様?、この惨状は?。ワタル、いや祖父に操られたままの人形よ!!。」
朱里である女神イシス
「僕が人形?。」
ワタルはおののく
「人形と変わらないだろう?、気持ちが、人の心からの思いが解らないのは。何千年生きて居ようとな。」
冷たく云うイシス
「.........。」
無言のワタル
「モンドール博士の遺言がある。」
イシス
「モンドール博士のっ?。死んだのか博士はっ?。」
慌てるワタル
「はっ!、笑える。モンドール博士の事はそんなに必死でホロの事はそんなに重要じゃあ無いんだぁ〜、はっ。」
イシスは荘厳な見た目とは違い、鼻で笑う
「頼む、どうか教えてくれ!。モンドール博士の遺言を!。」
ワタルはイシスに跪いて云う
「善く生きなさい、ドクトル・桐生。私の様には成るな!。」
イシスがモンドール博士のカタチに姿が一瞬だけ変わる
「博士っ!。」
ワタルはイシスに縋る
「私は博士じゃない代理だ。それに博士はこの世には存在していない。」
そういうと、イシスはワタルを蹴り上げた

がはっ!。

ワタルは噎せて身体が動けなくなった。
本当の朱里の尊格、女神イシスの万力の蹴りが的確に当たったのだから仕方ない。

「お前を殺しても意味がない。ちゃんと生きなかったんだ。メグの願いすら聞かない奴なんて私には要らない存在。生きるも死ぬも好きにすれば良い。」
イシスはホロの遺体を連れてワタルの住処から消えた。

「博士〜!。ホロ〜!!。」
大声で叫ぶが全く意味がない。

「今だよ、夕樹!。ワタルの隙が出来たよ…。」
夕樹の元へ飛んだ朱里。
言葉少なに云うのは限界まで自分の尊格を使った為、気を失う。

夕樹は朱里をしっかりと抱き締める。

手にはホロの遺髪を持っていた。
朱里の精一杯の能力で連れ帰ってくれたホロだった身体が横たわる。
ホロの遺体は無惨な有様でやつれ果てて居た。

夕樹は心からホロの遺体に謝る。

ごめん……、ホロ…。夕樹

夕樹はホロの衣服をファンタスマゴリアの軍服に替えた。
身体が窶れた為にブカブカだった……。

「今までワタルの好きな様にさせて来たのは間違いだった様だ。相容れない者、理解出来ない者には所詮無意味だったのか…。」
夕樹は雷帝へと姿が自然に変わる

軍服に変化、大羅天の雷帝と成ったその姿はまた徐々に変化する。
ヴィシュヴァルカルマン神の力を代行する最凶の戦神ホルスに!。

もう人間の声は届かない。

「全員戦闘態勢!。神格、尊格顕し給え!、全ての責は我、ホルスが取るっ!。」
ホルス
「はっ!。」

夕樹の元に集った者達はワタルの最後の良心に賭けた願いが叶わなかったのを悔しがる。
ホロの遺体に最後の礼を取る。

「全員、鎧装甲!。帯剣せよっ!。」
イ・スンシンは軍令を発令する

ガシャ!。

皆軍衣を纏う。

朱里と三神ハルモニの準備のお陰で防刃、防弾防術の反物で作られていて、ある程度の打撃や攻撃なら弾く様になっている。
もちろん普通の呪術や魔法なら跳ね返す。

鎧装甲は玄武族の次期長の勧めでみなに作って置いた物。
軽量だが装甲は堅い。
玄武族の甲羅程では無いが神格と尊格を守れるだけの能力は備えられた。
刀匠則宗と朱里、豆狸の精を凝らした物。

「楓ー!、出来たぞ!。」
刀匠則宗の新しい一振の剱がちょうど出来上がった。
則宗は鎧装甲の楓の手に渡す。
「人を護る剱だ。」
則宗
うん、と応えて則宗に膝まづいて受け取る。
「俺と共に!。人を救おう!。」
楓

剱は楓に光の明滅で応える

楓になら使って欲しいよ。

「天賜界神これへ!。」
イ・スンシン
「天賜界神は隠神刑部の本陣へ!。儂とペク・クァンヒョンは人質の救助へ向かう!。」
白虎が四聖獣に戻り云う
「最至高神ヴィシュヴァルカルマン神様、良いか?。」
黄龍に戻ったヤン・フェイロンがいう
【それだけの力は与えた、雷帝いやホルス!。善き事に使え!。黄龍、其方の本当の力を!。1800年前から預かった神力を今還そう!。】

ヴィシュヴァルカルマン神は黄龍の全神力を返還した。


黄金に光り輝く黄龍の勇ましく美しいさ。


【私の慈し子(めぐしご)たる貴方達へ加護を…、裁きの剱や剱、お主の望む力を顕しませ!。】

涼子は女神イナンナとなり軍服にかわり加護と守護を唱える。手には錫杖。


カーーーーン!!。


「至高神の力を備えたる者は桐生ワタルの居たまやかしの施設へ!、その憎き技を善き技へ変えよ!。」

ホルス

「おーい、忘れてねぇかぁ〜?。俺に着いて来られる軍神よ、集え!。」

天賜界神、三聖道祖、元帥達はヤン・ジンの元へ行く。

「俺達は、救える者、元子供や元守護職の人間達を救う!。」

ヤン・ジン


「天狐!。此れへ。」

イ・スンシン

「はいっ!。」

天狐

「良く戻った天狐。」

ホルス

「間に合わずに申し訳ございません!。」

天狐

「其方は堕天した元九尾狐族を殲滅せよ!。」

ホルス

「許された九尾狐族と狐族をどうする?。」

シャンシャン

「天狐の軍へ!。」

イ・スンシン


「雷帝様、戻りましてございます。」

九尾狐族の宮女で天狐の元侍女が軍服で顕れた。

千年妖狐メグの成長した姿だった。

「そなただったのか…。」

ホルス

「私めの一族への始末はお任せ下さい。」

侍女メグ

「あい解った。」

ホルス

「伶倫、天仙娘々。メグと共に怨敵を殲滅せよ!。」

イ・スンシン


「私も動こうか雷帝?。」

東華帝君は古代中国の雅やかな甲冑を纏い剱を佩いて居た。

「良いのか?。」

ホルス

「雷帝。らしくないぞ、少司命これへ。」

東華帝君

「お待たせしました。」

少司命として来た重箱オババも古代中国の甲冑と剱を佩く。

「少司命と私は雷帝に付き従う!。」

東華帝君

「はっ!。」

少司命


「吸血鬼族はどうする?。」

豆狸

「真雪、姫芽子、ラン、エリカ、ユグネル、ララ。此れへ。」

イ・スンシン

「はいっ!。」

「加担した吸血鬼族の始末を。」

ホルス

「はいっ!。」


「では推参!。全軍前進!。」

イ・スンシンの大号令で皆戦う。


「私はそんな事は望んで居なかった。」

ファンタスマゴリアの格の一筋にだけ残った残留思念のホロが残念した。