猫捨て森の伝説 | 投財堂のドタバタ妄想録

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兜町という聖地へ
夢を求め 金を求め彷徨う・・・
市場放浪記、改め・・・・・ドタバタ妄想録。

猫ブームである。

なぜ今なのか?
まあ、当然のサイクルなのであろうね。
猫の次に犬、そしてまた猫・・・そしてひょんなことからウサギとか。
なるほど、なるほど。

そういえば・・・・・
俺の地元にも猫捨て森、なるものがあったな。

俺は早速猫捨て森に行ってみた。
昨日の事である。

子猫でも捨てられていないモンかね。
もしいたら、保護してみるか・・・などと思いながら・・・

その森の中には、まあいわゆる心霊スポットと呼ばれる神社もあった。
しかし、そんなものは関係ない。
目的はあくまでも子猫なのである。
子猫以外は何があっても無視だ、無視。

車で15分。
その森に到着。
入り口付近で車を停め、中に入る。
森の中は、かなり広い。

歩くこと10分、右手に神社が見えた。
この神社が、通称「だるま神社」と呼ばれる心霊スポットである。
社殿らしき方へ足を向けてみる。

すると・・・その脇でユラユラ揺れている人影らしきものが見えた。
時刻は午後の2時。
幽霊が出るにはいささか早過ぎる時間だ。
しかし、先方にとって時間など関係ないのかも知れない。

「こんにちは」
声をかけてみる。

すると・・その影はス~ッと社殿の方へ消えて行った。

間違いない。
あれは幽霊だ。
しかし、今は関係ない。
子猫以外は全く関係ないのだ。

俺は社殿を過ぎ、さらに奥へ奥へと歩を進めた。
しばらく歩くと・・・左の方から声が聞こえてきた。
何やら言い争っているようだ。
そして・・・突然の銃声!

バン!

大声が聞こえたかと思うと
数人の足音が入り乱れ・・・そして左の方へ去って行った。
誰かが銃で撃たれたらしい。

しかし・・・今は関係ない。
子猫以外は全く関係ないのだ。

さらに奥へ進む。

5メートル位前方にひと際大きな木が立っている。
ん?
その木の幹に、何かが寄り掛かるように置かれていた。
ん?
あれは・・・?
俺は目を凝らした。

何かが動いている。

さらに近づき、確認する。

老婆だった。

そこに老婆が捨てられていた。

俺はつぶやいた。
「何だ・・・猫じゃないのか」

老婆に用はない。

俺は、老婆を横目にさらに奥へと進んだ。
猫捨て森は同時に、姥捨て森だったのかよ
・・・等と不謹慎な事を思いながら・・・

そろそろ出口が近い。

猫がいない。
どこにも捨てられてない。
それらしきダンボールも見当たらなかった。
段ボール箱に入れられて捨てられているケースが多いからな。
出口が見えた。

ダメか・・・

あきらめた瞬間だった。
出口付近にダンボール箱が置かれているのが見えた。

「おっ・・・あれは・・・子猫か?」

もつれる足で、段ボール箱に近づき・・そして、蓋を開ける。
どれどれ・・何匹の子猫ちゃんがいるのかな。

中を見た。

え!!!

段ボール箱の中身は、子猫ではなかった。
そこには・・・こちらを、恨めしそうな目でキッと睨んだ・・・


生首が入っていた。



子猫じゃなかった。
結局、子猫はおろか、一匹の猫も発見出来なかった。


森に入り、俺が遭遇したのは
幽霊と、銃で撃たれたと思われる人間と
捨てられた老婆と、段ボール箱の中に恨めしそうに入っていた
生首だけだった。





猫捨て森伝説は嘘だったのか・・・
俺は、無念の思いで帰宅した。

それが昨日の事だ。



そして本日・・・


俺は、今日もまた休みである。
今日こそは見つけてやる。
昨日に続き、猫捨て森へと行って来るぞ。
明日からしばらく忙しくなるので
捨てられた子猫を探すのは今日を置いて他にはない。

多分、無駄足になるだろうな。
どうせまた、関係ないモノだけ発見するんだろうな。

では、行って来るとするか・・・・・。