王様は岐伯に言いました。

 

「熱がある人を見ていると、とてもつらそうだし、

死ぬこともあるし、

これまでずっと、熱はこわいなあ、と思っていたのだ。

 

しかし、今日は、

早くに見つけられれば、熱が出ないで治せると聞けたし、

熱の病によく効く気穴があることも分かったし、

思ったより、熱の病はこわくないのだな。」

 

岐伯はこたえて言いました。

 

「いいえ、王様。

たしかに、治療で医者が治すことはできますが、

もし、正しくない治療で、間違った鍼を刺すのを

三回以上すると、死んでしまいます。」

 

 

なんと、これはこわい話です、

間違った治療で死ぬなんて、ぜったいに嫌です。

 

王様は、言いました。

 

「よし、そのこと、しっかりと、本に書いておくぞ。

治療を間違うのは、二回まで。

でも、本当は、一回も、間違ってはいけないのだ。

 

他には、なんと書いておこうか?」

 

岐伯はこたえて言いました。

 

「熱の病を治すのには、

つめたい水を飲ませてから、鍼をします。

かならず、薄着をさせて、

寒い、もしくは、涼しい部屋にいさせて、

体を冷やすようにすれば、治ります。

 

病の人が汗をかいていれば、

相剋にあたる日に、たくさん汗をかきますので、

家の人に伝えてあげると、よいでしょう。」

 

みなさんも、いつも未病の色が現れていないか、

鏡で顔を見たり、家族の顔を見るようにして、

熱が出る前に、未病を治せるように、気を付けてみてください。

 

(王様と熱の未病 終)

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読んでくださり、ありがとうございました。