先日の胃カメラ検査の時、看護師さんがやってくれた背中?(肩かな?)トントン。私が検査を受けた病院の看護師さんがたまたま優しい人で、自主的にやってくれただけなのかと思っていたが、息子に聞いたら、今やスタンダードで、トントンやってくれるところが多いらしい。

 

 

 

それで思い出したのだけれども、ずいぶん昔、「秋の童話」という韓国のドラマで、病魔に侵され、痛みに苦しむヒロインに、お母さんが「オンマソンヌン ヤクソン」(おかあさんの手は薬の手)とつぶやきながら体をずっとさすってあげる場面があって、それがとても印象的だった。10年以上も前に観たのに、未だに忘れられない。母の愛が、ハンドパワーとなって薬以上の効果が出ているかのようで、痛みに苦しんでいたヒロインがそのうち穏やかな顔で眠る、そんな場面だったと思う。

 

 

同じような効果のある言葉を、そういえば最近私もよく使っている。活発な孫はしょっちゅう転んだりぶつかったりする。泣きそうに顔がゆがむ一瞬を逃さず「痛いの痛いの飛んでけー」をしてあげると、「飛んでったー」と言って、多少の痛みなら泣くのを我慢している。そんな孫を見ると泣きたくなるくらい愛おしく思える。逆に私がたまたまどこかに足をぶつけて、思わず「あ痛っ」とつぶやこうものなら、すかさず傍に来て「ばぁば、痛いの?飛んでけー、飛んでけー」と言って頭をヨシヨシしてくれる。小指をドアの角にぶつけて悪態をつきたいぐらい痛くても、「あ、痛いの飛んでったー。ありがとうね」というしかないし、小指は痛くても「飛んでけー」を何度もしてくれる孫の可愛いさに胸がいっぱいになり本当に痛みはどこかへ消えていく。

 

 

今回受けた胃カメラ検査は、以前よりもカメラは小さくなり、鼻に麻酔もしっかり効いて先回よりずいぶん楽に受けることができた。最新技術を進化を感じたが、反面、人の手でトントンして、精神的な不安を少しでも減らそうというアナログで原始的なやり方を色んな病院で取り入れているというのは、両極端でなんか面白いなと思った。今後医療がもっと発達して、人の代わりとして医療ロボットみたいな物がどんどん増えていっても、最終的には人の手のぬくもりとか、母の愛、みたいなものには勝てないんだろうと思ってちょっと安心した。