うちの医院は曜日によって出勤する歯科医の得意分野が全く異なり、その上同じ略語で書かれた治療でも歯科医によって使用する器具が違い、さらに同じ道具でも担当医によって私物の器具があるので、それに伴い器具の洗浄方法、保管方法、場所などが違うので覚えるのが一苦労。

 

今日は一週間の中で大掛かりな手術が集中しつつ、出勤医のジャンルも幅広いので緊張感が高い曜日に加え、出勤するアシスタントも“私にとって緊張感を要する”メンバーで構成されている(いつも私をかばってくれる先輩が休みで、なかなかいろいろと質問しづらい先輩が多い)ので非常に気疲れする曜日。

 

とにかく診療の邪魔にならないように、洗浄室に立てこもって静かにやり過ごす(器具洗浄に専念する)のですが、今日は大先輩方が積極的に器具洗浄をしてくださるので、私は診療室にはじき出されてしまい、居場所もなく(やれることがないので)ウロウロ。

 

次の患者さんの診療準備をしようにも聞いたことがない術式ばかりで、何を準備しておけばいいのかわからず、都度先輩のところに走って行く。

手術中の歯科医に必要な用具を持ってくるように言われても「RPGにでてくる呪文か?」と思うようなカタカナを羅列したような用語で、それを覚えて先輩のところに走って行くのがやっと。

 

そうだ!あの仕事が残っている!と診療室から逃亡しようとすると、すでに先輩がその仕事を済ませてしまっているので、スゴスゴと診療室に戻るの繰り返し。

 

そんな中、たまたま同じ歯科医で、同じ術式が2コマ連続する時間があり、先輩の提案で1コマ目で必要な用具を一緒に準備して何をするのかをみて、「次は一人でやってみて!なんならそのままアシストに入ってバキューム操作もやってみな!」とアシストにつくことに。

部位的にはバキュームがしやすい場所だったのでバキューム操作そのものは問題なかったのですが・・・

 

突然歯科医から「へなちょこさん、印象練れるでしょ!やってみな!」と無茶ぶりが。

(印象とは「歯型をとる時のピンクの粘土みたいなもの」で、アルジネートというピンクの粉に水を入れてスパチュラで練って型に盛るのですが、水温が高いとすぐに固まってしまうし、水が多いとゆるゆるで型取りしづらく、時間がかかると固まってしまうので手早く作業しないとダメ。気泡が入ってもダメ。)

 

「えっえっ先生、印象の練習は先週初めてやって、まだ5回も練ったことないし、型に詰めたのまだ1回しかないですよっっ、その時だって印象、モロモロしてました」とブルブルと高速で首を横に振ったのですが、

先生は「モロモロ?大丈夫、やってみよう」

ええぇっっっ!!!!

 

ってなっていると、突然、先輩たちが集まってきて

「見守っているから大丈夫!」

(見守っているって言っても、まだ1回しか型に詰めたことないのに・・)

 

とりあえず粉と水を合わせて混ぜて・・

え・・こんなもんでいいの?先輩たちもっと混ぜてるよね・・

という状態でも

「大丈夫、もう型に詰めちゃえ!」

え・・型にって、詰め方知らないよ・・

 

そうこうしているうちに、歯科衛生士さんが

「私が患者さんの口に入れますから!」と手伝ってくれて・・

人生初の印象採得をやりました。

 

アルジネート(ピンクの粘土みたいなもの)で型撮りした後は石膏を流して歯形を作るのですが、(その作業はまだ私には無理)その作業をしてくれた先輩も、自分が練ったアルジネートの型と比べながら「ほら、どっちがへなちょこさんの作か、わからないでしょ」(いや、私の、モロモロしてますよ)

 

私に無茶ぶりをしてきた歯科医も終業後、

「だいじょうぶだったよ、バキュームも上手になってきてるし、

もっと場数を踏んでいこう!患者さんは練習台だと思えば!」

とエールを送ってくれました。

 

 

★★☆☆☆☆☆☆☆☆

チャラララッララ~ン

「へなちょこ は 印象採得を覚えた!」