そのころ、全世界の住民登録をせよという勅令が、皇帝アウグストから出た。そこは、クレニオがシリヤの総督であったときの最初の住民登録であった。それで、人々はみな、登録のために、それぞれ自分の町に向かって行った。ヨセフもガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。彼は、ダビデの家系であり血筋でもあったので、身重になっているいいなづけの妻マリヤもいっしょに登録するためであった。ところが、彼らがそこにいる間に、マリヤは月が満ちて、男子の初子を産んだ。それで布にくるんで、飼葉おけに寝かせた。宿屋には彼らのいる場所がなかったからである。さて、この土地に、羊飼いたちが、野宿で夜番をしながら羊の群れを見守っていた。すると、主の使いが彼らのところに来て、主の栄光が回りを照らしたので、彼らはひどく恐れた。御使いは彼らに言った。「恐れることはありません。今、私はこの民、全体のためのすばらしい喜びを知らせに来たのです。」きょうダビデの町で、あなたがたのために、救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。                                                        ―ルカ2:1~10-
イエス・キリストの誕生の背景には、当時のローマ皇帝アウグストが出した住民登録の背景があります。これは徴税と徴兵のために行われたものでした。当時のローマ皇帝の権力は絶大なもので、皇帝は神に等しいものと考えられていたのです。そのようなこの世の権力とちょうど対極の場所で、王の王、主の主なるキリストは誕生しました。イエスの地上の父と母、ヨセフとマリヤは住民登録をするために訪れていたベツレヘムの家畜小屋でキリストの誕生を迎えました。その誕生は貧しさの極限の中にありました。そして、その知らせを最初に聞き、礼拝したのは当時の社会の底辺にいた羊飼いたちだったのです。羊飼いたちは野宿で夜番をしている時に、思いがけない喜びの知らせを御使いから聞き、出かけていきました。家畜小屋の飼い葉おけで眠る幼子イエスは貧しい羊飼いたちが見ても、なお貧しかったことでしょう。しかし、そこにはこの世の豊かさや華やかさを超えたところにある本当の慰めと安らぎが満ちていたのです。私たちを愛し、罪の赦しと永遠のいのちを与えるために全てを捨てて下さったキリストの中に、確かな希望があります。羊飼い達がそうだったように、私達もメシヤなるキリストを探しに行きましょう!