前回のブルゴーニュはスゴかったです。
添乗中は何が起こるか判らない。添乗員は何をやらされるか判らない。
大抵のことでは動揺しなくなってたつもりでしたが、まだまだ甘かった。
この仕事を続ける限り試練は続くのだと改めて思い知らされた。
今回の旅は、ブルゴーニュののどかな田園風景の中、
三日間貸しきりプライベートボートで運河クルーズしながら
地元の食材を調理して食べ、
ゆったり時間の流れを楽しむという贅沢旅行でした。
プライベートボートといっても、各部屋バス・トイレ付きの3LDKです。
それはいいとして、問題は誰が操縦するか。
ガイドはケロッと言ったのです。
「交代で操縦するんだよ。」
冗談かと笑ってみても、毎度笑いではすまないことも知っている。
やりましたよ。
交代どころか、5分ごとの水門をクリアするため外に出っぱなしのガイドに代わって
顔をひきつらせながら運河を操縦して進み行く私。

とうとうお客様を乗せた船まで操縦させられちゃいましたか。
遊園地の乗り物じゃあるまいし、いいのか?
悪夢は私の目の前でガイドさんが水深4メートルの運河に落ちたこと。
ロープをつかんでもがくTさん。
船体が水面より高いため女の私では助けようがない。
それでも聞いてみました。「助けましょうか?」
Tさん「・・・(無言)」不気味です。
私「じゃあ眼鏡だけはずしておきますね。」彼の顔から眼鏡を取って部屋に置きに帰りました。
周りに言わせると、この時の私達の冷静さはホラーもんだったそうです。
その後、力尽きてロープにつかまったまま呆然とするTさんに「浮き袋投げましょうか?」
「投げてもらってもどうしようもないよ。」
「そのまま溺れてるよりいいんじゃない?」
という茶の間の如き会話は続いたが(怖いですか?)
結果として、彼は私が投げた浮き袋をつけて自力で岸まで泳ぎ着き、
命拾いをしたのでした。
ブルゴーニュといえばヌーベル・キュイジーヌ。
今回はディジョンのミシュラン一つ星「プレ・オ・クレール」
最後パリでの二つ星「トゥール・ダルジャン」共に美味しかったけれど、
やはり田舎の名もないビストロの洗練からほど遠い家庭風料理に一票。
トゥール・ダルジャンは一時私にとって「?」という感じだったけど
今回は見直しました。(えらそうですね。すみません。)

パリから1時間ジベルニーのモネの庭。
人が多くて残念だったけど、私は草花に囲まれてると安心する自分に
あらためて気付きました。
5月のパリ。マロニエの白い花が風に揺れて少し花びらが舞っていた。
生きる喜びがフツフツと沸いてくる。
運河クルーズは皆さんにとっても得がたい経験だったようで
帰国後お礼の手紙とFAXを全員から頂きました。有難いことです。
でも添乗する側としてはもういい。本当に。