或る日を境に、
突然夏が姿を消してしまったかのような。
北国の晩夏はあまりにも生き急ぎ過ぎて、
風の匂いが変わる頃には永い冬を思わずにはいられません。
唐突な秋の訪れに、身も心もついてゆけぬまま過ごしております。
只々翻弄されるのも口惜しいので、
指先から適応。
別に秋冬の色と誰かが決めたわけではないけれども、
この沈まぬとも絶妙に落ち着いた、
しっとりとした薔薇の花弁の質感すら感じさせる色味。
汗ばむ賑やかな色彩の季節よりも、
空気が澄んできてからこそ似合う気がするのです。
不格好な手でごめんなさいね。
ブラウンを秘めたローズと形容すべきでしょうか。
ローズベージュ、と一言に纏めてしまうのは簡単だけれども、
決して無難な印象ではない。
女を主張する色ではあるけれども、
決してそこにはいやらしさは宿らない。
やわらかでしなやかな女性を感じさせながらも、
媚びはせず凛とした佇まい。
本当は美しく年を重ねた大人の女性の手に似合う色なのでしょう。
けれどもつい、背伸びをしてこの爪を彩りたくなるのです。
長くお付き合いをしたいお色の一つ。
chanel le vernis
491 Rose Confidentiel