はじめまして。
編集のお手伝いをさせていただいております、鰹節です。
今回は鰹節がご紹介いたします。
三菱のWRC活動末期に開発された1台であるランサー05です。
よく、三菱でWRCと言えばランサーエボリューションを思い浮かべるのが大半でしょう。
フロントフェイスとしてはランサーエボリューション9に印象が近いかもしれません。
現代の大型グリルと比べるとかなりシンプルな印象で、この時期はちょうどグリルのキャラクターが大きく変化する瀬戸際とも言って良い時期でした。
9から10でこの変化。まさにカーデザインの過渡期。
今では当たり前になる大型グリルの概念はアウディが元祖と言われ、それも地元のデザイナーではなく、当時所属していた日本人デザイナーによるものであることも驚きの話です。
キャラクターライン以外で個性の表現をするには、やはり顔かと思わせます。
9はその概念が無かった、最後期のデザインです。
そのフェイスを取り入れたランサー05はフェイスだけでなく、全体のシルエットとしてもいたってシンプルで、過剰な個性感はなく、むしろ没個性です。没個性が逆に個性に感じる印象です。
一般の人が思うセダンの概念に忠実なシルエットですが、大きな特徴は前に寄ったリアウィングですね。
空力的にハッチバックの様な空力制御を意図しているものではないかと思われます。
それ以外は空力的なものとしては凝った表現はないものの、ラリーならではの過剰でない空力制御をしようとしていることがうかがえます。
過剰なと言う表現ですが、レーシングカーは空気を操ることが名車のカギになりますが、その分、レギュレーションの穴を突いて細かい整流フィン、ウィングなどでダウンフォース増強、整流などを行います。
しかし、そこまでの過剰さはラリーには不要であると考えられます。加えて、ラリーは他のレースと比べて、エアロパーツはよく壊れるものと考えて差し支えないです。だから過剰な空力制御が必要ないんです。
この装備だけで問題はないのです。
こうした理由からも、装備されたエアロパーツのシンプルさ、全体のシルエットなどを含めてカッコよさを醸し出しております。
変な話、このくらいならお金があれば自分たちでもそれっぽいものが作れそうに感じる親近感すら覚えます。
故に、この車の行く先をより長く見てみたかった1台です。
シンプルに見えながらも、随所にみられる他にはないエクステリアのアイデア、これをさらに昇華させた姿はもしかしたらトレンドセッターになりそうに思えてなりません。歴史にタラレバは良くないですが。
語ってしまってはキリが無いですが、このクルマにはそれだけの可能性が秘められていたカーデザインだったと考えております。