温かいそばを食べている間に雨は上がった。山に挑んでいく。
今回は「地図を使わない旅」がテーマ。
R169で南下を続ければ、ゴールの川湯温泉近くまでほぼ行けてしまう。
この道だから「地図を使わない旅」ができる。
何も考えずに走って気持ちいい道、というチョイスでもある。
R169は、ひたすら深い山の中。そしてずっと2車線の道。
これといった見どころは無いが、気持ちいいツーリングのためにあるような道だ。バイクを停める理由もない。
X JAPAN「Art of Life」を歌いながら走る。
1曲30分もあるが、ピアノもギターもそらで歌えてしまう。
私も気付けば今日で50歳。50年も生きてしまった。半世紀。この私が。すごすぎるな。
この曲はそんな人生で、たぶん最も聴いた回数の多い曲だろうと思う。
私の人生もできればアートでありたいと思う。せめてバイクツーリングの間だけでも。
ここはどこだろうか。行政区域とか関係ないような場所。
そんなとある橋の上で、ついに太陽が顔を出した。
これだけのことでもアートを感じる。
旅に人生を重ねる。いい時も悪い時もある。それでもいつかは晴れるものだ。
池原ダム。大きなダム。見どころはダムしかない。
少し国道を外れて、看板に沿って展望台へ。ダムは上から見るに限る。
池の上を走るような、おもしろい道。
道路の真ん中で写真を撮るが、交通量は本当に皆無。
右側から見ると、ウインカーが垂れているのが痛々しい。
しかし工具は無い。もちろん周囲に店も無い。
最悪取れてしまってもしょうがない。その時は手信号でもやればいい。交差点も無いのだが。
熊野市へ向かうメインルートを外れ、本宮方面へは脇道のような狭い道になる。
が、これも引き続きR169。
そしてこれは初めてサトシと川湯温泉に来た時に通った思い出の道でもある。あれから10年。あの時、よく誘ってくれたな、と思い出す。
今回あいつは私の荷物も積んでいってくれている。だから到底キャンプに不向きのバイクでも、こうやって紀伊半島の秘境を旅できる。感謝。
↑この時もウインカーを壊してる。進歩がない。
ダム湖の支流に架かる細い橋。
初めてであれば、地図が無いと不安になるような道だ。
経験を重ねて、その不安を取り除くことができている。
そして今回、難しいルートではないが、地図を使わないことで脳が活性化しているような気もする。
七色ダム。見どころはダムしかない。
R169はその堰堤上を通る。ここが県境。この辺り、三重県・和歌山県・奈良県が複雑に入り組んでいる。
道の駅「おくとろ」で、何か酒のツマミでもないかと探すが、田舎すぎて何も無い。酒だけ購入。キャンプ場であいつらと飲みたい。
ここからは2車線快走路。YZF-R1が本領を発揮できる、気持ちいいだけの道。
かといって、狭い道が苦痛かといえばそんなことはない。
18歳で免許を取ってから、もう30年以上バイクに乗っていることになる。
酷道だ険道だと、それだけをことさら喜ぶような境地ではなくなってきた。
R168に合流したら、川湯温泉は近い。
この辺り、もう何度も来ているので、それなりに愛着のある土地になっている。
初めてのワクワクではないが、帰ってきたという感じが良い。
川湯温泉キャンプ場到着。
珍しく2番だった。いつも私が一番遅いのだが。
小さなテントを張り終えると、ほどなく柴さんも到着。買い出しをしてくれたからこその到着時刻である。ありがとう。そして無事で何より。
無事じゃなかったのはR1号のウインカーだが、そんな小っちゃなことは、もうどうでもいい。
さて次回、キャンプのメインである温泉と宴会がスタートする。
次回「知命!いい誕生日になっている」をお楽しみに。

















