皆さん、「好意返報性の法則」というものをご存知でしょうか?
 
これは、好意的に接してくれる人には好意で返したくなるというものです。
 
一方的に相手から何かをもらったりしたままの状態でいることを、人間は居心地悪く感じるということが研究で分かっており、心理学では「好意返報性の法則」と呼ばれます。
 
好意を示してくれた相手に対して何かを返さなければフェアでない、という精神的な負担が行動にも現れるわけで、この法則を活用して相手との距離を縮めてみませんか?
 
 
 
・好意には好意で返したいという心理が働く
 
好意で買ってきた飲み物を相手に渡したあと、しばらくしてからその人に「チケットを買って欲しい」というお願いをするという実験をしたところ、何もせずに依頼した時よりも2倍ほど多くチケットを買ってもらえたというデータがあります。

「好意返報性の法則」を活用して、相手にチケットを買ってもらったということですが、この法則は私たちの日常生活の様々な場面で応用されています。
 
例えば、「無料サンプル差し上げます」「ご購入はお試しのあとで」といった販売方法や、スーパーなどで試食をしてしまうとついついその商品を買ってしまうというのも、一種の返報性と言えます。
 
好意辺報性の法則は、相手からほめられた場合の心理状態にも当てはまります。
 
つまり、相手から一方的にほめられるばかりだと何となく居心地が悪くなるため、自分をほめてくれた相手に対しても次第に心を開くようになるというわけです。
 
組織を上手く動かすためには、この法則を意識的に応用するのも有効です。
 
あなたが「心を開いて欲しい」と思っている相手がいれば、その人のことをどんどんほめてあげましょう。
 
最初は反応も鈍く、中々心を開いてくれないかもしれません。しかし、そこで諦めてはいけません。
 
どんな些細なことでもかまわないので、とにかく根気よく話しかけ、ほめてみてください。
 
相手には「気にかけてもらっている」という事実が記憶としてしっかり残るため、やがて「そろそろこっちも歩み寄らなければまずい」と思うはずです。
 
過剰に打算的にほめまくるのは考えものですが、たとえ時間はかかっても、必ずや相手との距離は縮められるテクニックといえます。
 
 
 
 
 
期待通りの結果を出す為に人は頑張る傾向がある
 
・「ピグマリオン効果」でモチベーションをアップ
 
教師が生徒に対して「この子供たちは学力が伸びる可能性が高い」という期待をもって教えると、実際に学力が伸びる確率が高くなるそうです。
 
これはアメリカの心理学者が実験で明らかにした「ピグマリオン効果」と呼ばれるもので、「人は相手に期待されたとおりの結果を出そうとする傾向がある」という考え方です。
 
この実験には異論もあるようですが、考えてみれば「この子は伸びる」と信じることができるのなら、その子に対する教師の教え方に熱が入るのは当然のことでしょう。
 
教えられる側もそれだけ一生懸命教えてもらえば、それに何とか応えようと頑張るわけです。
 
労働者の作業成果を調べてみると、労働時間や賃金よりも周囲の評価や上司の注目に大きな影響を受けると言われていますが、まさにほめられることでモチベーションが上がり、それに応えるために更に成果を上げようと人は頑張るわけです。