ほめることが苦手な上司は、叱ることも苦手だったりします。あなたの職場の上司はどうですか?ちゃんと叱ることができるでしょうか。
 
 
・相手は「叱られ慣れ」していない世代
 
「ほめて育てる」とか「叱って育てる」という言葉がありますが、仕事で結果を出した部下をほめてやることで更にやる気を出させ、結果を出せない部下をあえて叱ることで発奮させようと考えるのは、上司としては当然のことです。
 
事実、コーチングの技術をまとめた本などを読むと、「ほめる」という行動と「叱る」という行為を、絶妙なタイミングとバランスで上手く使い分けることができれば、自分が率いるチームに劇的な変化をもたらすことができるという趣旨のことが書かれていたりします。
 
 
しかし、現実には部下を叱るというのが苦手という上司は少なくありません。
というのも、最近の若い世代には、「叱られ慣れ」していない者も多く叱られたというだけで会社を辞めてしまうこともザラです。
新人教育も満足にできないということで、管理能力を問われかねません。
 
しかし、だからといって上司が叱ることをやめてしまったら、組織は崩壊してしまいます。
同じ部署の人間が一丸となって目標を達成するためには、ほめることよりも叱ることが必要な状況のほうが現実には多いのですから。
 
 
ほめることと叱ることを指して「アメとムチ」に例える人がいますが、これは正しくありません
二つの行為は「叱った後は必ずほめる」といった裏表の関係の行為というわけではなく、まったく別の意味を持つ行為なのです。
 
事実、ネズミにクッキー(アメ)と電気ショック(ムチ)を使った行動心理学の実験では、ネズミはムチを恐れてストレス性胃潰瘍を発症してしまい、アメとムチは効果がなかったという結果が出ています。
 
実は人をほめたり叱ったりするという行為には明確な意図やロジックが必要であり、その実践方法も戦略的でなければ効果はありません。
 
叱ることができない上司は総じてほめるのも下手ですから、気が付くと職場の士気は低下し、部下が上司に反抗的な態度をとるような事態もあり得ます。
くれぐれも一時の感情やその日の気分で、恣意的に部下をほめたり叱ったりするのは慎むべきです。