こんばんは、渋谷です。
さて三連休中日ですね。キャンプに出ていたはずの我が家。結論から言うとたった今私、実家の布団でごろごろしています。なんでか、と申しますと。
キャンプ場についてテントを張っていましたら、突然『ぼきっ』……。ポールが折れたんですよ。買ってからまだ10回も張ってないテント。そのアルミ製のポールが折れちまったんだからもうどーしょーもない。仕方なく撤収し、近所の私の実家に転がり込んだというわけです。
まあ、「なんで野営やねん」と呟く私の声を、神様が聞き漏らさず願いを叶えてくれた、というところでしょうか。夫はとてつもなくがっかりしていましたが、私は屋根の下で眠れて良かったです。まあ、ちっとも落ち着く実家ではないんですけどねー。雨の中のキャンプよりゃまだマシ。本も読めたし。ということで、塩田武士さんの『罪の声』を読了することができました!
パソコンでなくスマホからの投稿なので、今日はちょっと簡潔に。
前回も書きましたが、『グリコ森永事件』をテーマにしたお話なんですね。あの未解決事件を、「もしかしたら、真実はこうだったのでは?」という視点で、犯人たちの動機から丁寧になぞった作品です。事件の名称こそ『ギン萬事件』と変更されていますが、内容はほぼ実際の事件だそう。私はこの事件、はっきりと記憶にあるわけではないんです。でも、手に汗握りました。
新聞記者の阿久津が、ロンドンや名古屋、東京、愛媛、岡山とあちこちを駆け回って30年以上前のあの事件の真相に少しずつにじり寄っていく物語です。犯人の脅迫に利用された、当時幼児だった俊也も素人ではありますが、別の線から事件の真相に迫っていきます。この2方向からの調査内容を、両方読者である我々は知っているわけなんですよね。で、終盤になってふたりは出会い、情報が合わさることによって、とうとう事件の全貌が明らかになるのです。
でもね、この作品、ただのノンフィクションじゃなくて、しっかり小説なんですね。もちろん取り扱ってるのが未解決事件ですから、想像の上で書かれたものなんですが。それ以上にちゃんと読者に読ませる力がある。
俊也と同じように犯人グループに利用された子どもたちの、その後の不幸な人生。理不尽な境遇に甘んじるしかなかった彼らの人生をしっかり追って、そして最後にはきちんと救いを用意しています。事件に関わった登場人物はかなりな人数になるのですが、それらの人たちも書き飛ばすことなく丁寧に描写しているので、物語に厚みがある。ラストはちょっと泣いた。前半はなかなかに読み進めるのが大変だったけど、頑張って完走して本当に良かったと思える読後感でした。
こりゃ、映画になっても話題になるだろうなあ。映画館で見たい、とまでは言いませんが、DVDは借りるだろうな。大人の鑑賞に耐える、考えさせられる作品に仕上がるんじゃないかと思います。面白かったです。さあ、明日は帰るぞ。
早く帰って猫に会いたいです。そして小説書きたい。もう寝よう。
というわけで、おやすみなさい!