開眼です。
こんにちは、渋谷です。
だいぶ前に羽田圭介さんの「スクラップ・アンド・ビルド」を読んで、感化された私は筋トレを始めたのですね。なんか最近増量気味だったので。体重が、と言うか太もも周りが。
年をとるととかく腹周りに肉が付きやすいなんて言いますが、私の場合は腹にももちろんつきますが、それ以上に太ももにつくんです。何だか知らないけど太ももが「ぱーんっ」と張っている。横にも前にも。ウエストでへこんだラインがヒップで膨らんでS字を描くのが本来の体のラインだと思うんですが、私の場合正面から見るとヒップより太ももの方があからさまに太いのです。なんだ。なんなんだこの競輪選手みたいなシルエットは。
子供を自転車に乗せて走り回っていたせいもあるのかも知れません。22キロなのですよ奴は。子供載せ(正式名称は分からず)には「耐荷重20キロまで」と書いてありますがそんなことを言われても困ります。ペーパードライバーは自転車に子供を乗せて移動するしかないのです。身長も高い我が子は重い。近隣には緩い坂。それでこの太ももは出来上がってしまったのだろうか。やだやだやだ。私は一計を案じます。一か所の筋肉ばっかり使っているからバランスが悪いのではないか。なら、全身を鍛えよう。
というわけで、自己流の筋トレを1か月続けてみました。しかし目立った変化はなし。そこでアプリの力を借りてみた。「30日間メニューを組むから、その通りにやると30日後にはいい具合になってますよ」というアプリ。
これが始めてもう2週間近くになるんだけど、めちゃめちゃきつーい!自己流なんて全然意味がなかったんだと思い知っています。「限界の向こう側」みたいなのが毎度毎度見えるんだよ。プランクなんか20秒から始めて今は46秒まで出来るようになった。それでも筋肉痛が来ないから、最初の自己流の1か月も意味がなかったわけではないんだろうけど。
でも最初の1か月は「めんどいなー」と思いながらやっていた筋トレが、なんだか楽しくなってきているのです。死ぬほどしんどいしきついけど、ちょっとずつ出来るようになっていってるのが実感できる。まだ体には表れてないんだけど(効果が出るのは3か月後だそうです)、精神的にはもうなんかアスリートみたいな気分になってきてます。筋トレは脳内麻薬出すって、あれホントだわ。
変な高揚感がある。筋トレにハマる人ってちょっと変わり者って印象があったけど、私ってもしかしたらそっちの人なのかもなあと思った。楽しい。面白い。変化が表れてきたらもっと楽しくなってくるんだろうなあ。「もう小説家はやめた!ボディビルダーになる!」とか言い出したらどうしましょう。
まあそこまでなるのはよほど才能がある人なんでしょうが。気持ちだけは分かってしまった。今日はアプリに休めと言われている日。筋肉を休ませる休息日が必要なんだってさ。あー筋トレしたい脳内麻薬分泌したい。薬中の更生に筋トレが有効なのも納得。
そんなわけで小説を書きながら筋トレをしていますよ、という日常の話でした。前置き長い。本題です。シリーズ化しているミステリーの短編集ですが、今日は「ミステリー傑作選 Guilty 殺意の連鎖」。
収録作家さんが
辻村深月
有栖川有栖
鳥飼否宇
早見江堂
平山瑞穂
米澤穂信
となっております。
米澤穂信さんは以前にも読んだ「満願」が掲載されていました。なので面白かったのですが割愛。有栖川有栖さんは懐かしの火村さんに会えて嬉しかった。昔よく読んだなあ。辻村深月さんは……残念ながら今回は私の好みではなかった。「芹葉大学の夢と殺人」という、直木賞を受賞した短編集の中の1編ですが。辻村さんが描くキャラってちょっと受け入れにくい時があるんです。そんなにたくさん著作を読んでるわけじゃないんですが。
なんか、リアルすぎて「こういうやつ嫌い」って思っちゃうのかな。今回の「芹葉大学の夢と殺人」は、夢を語るダメ男雄大が殺人を犯すまでの話が描かれているのですが、語り部である被害者(?)の未玖ちゃんもなんか私には気持ち悪かったなあ。ダメな男を切ることができない未玖ちゃんの闇みたいのが気持ち悪い。「決断できんあんたが悪いんやないん?それで被害者面するってどうなん?」みたいな……。そう読者に思わせるのも辻村さんの策略なのかもしれません。読後には、いやーな感覚が残りましたから。
圧倒的といえば圧倒的。圧倒的に嫌な読後感。これが辻村さんの力量なのでしょうね。でも読み返したくはないわー。
そんな中で特に面白かったのは、早見江堂さんの「死ぬのは誰だ」。
大学の研究室で毛嫌いされていた、修士課程2年の八代君が事故で死にます。バイク事故です。ストーカー気質の八代君の死に、研究室のみんなは若干嬉しそうです。八代君は嫌われ者だったんですね。
ですがとある問題が発覚して事態は急変。八代君がどうも研究室の劇薬を盗み、研究室の中の誰かに飲ませていたらしいんですね。珍しく八代君くんがコーヒーを入れてみんなに勧めたんです。その薬は時間をおいて肝臓を破壊するという劇薬。完全犯罪を犯すにはぴったりの薬です。解毒剤もありますが、その毒を飲んだ者以外にはこれまた劇薬になってしまう。しかも48時間内に飲まなきゃ効果がありません。
どうやら八代君は自殺らしいということも判明する。残された八代君のブログには「Aに劇薬を飲ませた」とある。さあAとは誰だ。みんながAについて推理をして意見を交換します。けれど死ぬことになってしまうのは意外な人物。誰よりも先に候補から外され、安堵していた人物が死ぬことになってしまうのです……。
被害者は八代君からも研究室のメンバーからも恨みを買っていた。「あなたはAではありえませんよ」、そう口にするだけで、被害者を恨む研究室のメンバーは被害者を殺すことに成功したのです。これってすごくない?結局のところ、被害者を殺したのは八代くんです。でも明確な殺意を持って、被害者を解毒剤から遠ざけた。それだけで助かる可能性があった被害者を殺すことに成功した。なんとまあ奇想天外なミステリーなのでしょう。こんなプロット思い付くって、どういう頭してるのかなあ。
というわけで、次も短編集よ。読むわよ。そして書いています。普通の人を書くはずがすっかりストーカー。主人公、「ストーカーの皮を被った一般人」のはずが、「見るからにストーカー」みたいになってきた。いかんいかん。軌道修正。
導入部だけでもう20枚使ってしまいました。100枚で収まるの?まあまずは書いてみましょう。それから推敲の上で削るということで。うんうん。
ではまたー!