また読んだ。簡単に感想を書いときまーす。
こんばんは、渋谷です。眠いので短めで。
短編を書くので短編読まなきゃ、ということで、町田康さんの「権現の踊り子」を読みましたよ。収録作が
鶴の壺
矢細君のストーン
工夫の減さん
権現の踊り子
ふくみ笑い
逆水戸
となっております。
町田康さんは芥川賞をとった作家さんですが、もとはバンドやってた方なんですって。処女作で色々賞をとって作家デビュー。映画にもなった「パンク侍、切られて候」という作品だけは耳に残ってました。あとは全然知らない。
でも、川上未映子さんが面白くて、川上さんも元音楽やってて純文学作家になった方なんですね。だからこの方はどうかなと思って読んでみた町田さん。
いやー、もうロック。パンク。読者の理解なんか超えたところで炸裂するエネルギー。特に川端康成文学賞をとった「権現の踊り子」は無茶苦茶でした。「伊豆の踊子」みたいな題名に騙された。中身はダメ男がダメを加速させて狂った世界でおかしくなっていっちゃうような話です。「ふくみ笑い」も字面を読んだら意味の分からん狂人の大騒ぎ。感じるのは強大なエネルギー。読むのは面白いし一気で読めちゃうけど、これ書いてる方どういう気持ちで書いてるんだろ。
夜中に実際ちょっと狂いながら書いてんじゃないかと思う。純文学にはよく狂っちゃった主人公の視点で書かれる話がありますが、作家さんてほんと精神的に大丈夫なんですかねえ。金原ひとみさんとか。ちなみに嫌いじゃなくてまた一冊借りてきたから読みますけど。うん、あのエネルギーはマジですごい。マネできん。
「矢細君のストーン」「逆水戸」なんかはコメディです。矢細君という友達が自慢するのは「おじいちゃんがくれた」というどこにでもありそうな石。その名を「さざれ石」という。この石はすごいんだと熱弁をふるう矢細君ですが、さざれ石って「小さい石」って意味やからね。ひいきのボクサーの試合をテレビで応援しながら、「このさざれ石のパワーで、どうか勝利を!」とかやるんだけど、そんなもんにご利益があるはずもなく矢細君は「ばかあ!」っつって石を庭にぶん投げる。こう書くと何が面白いんだかわからないかと思いますが、私は読みながら結構お腹を抱えた。「逆水戸」もそう。
あの予定調和の水戸黄門から正義とルーティンを取り去っちゃった。わかる、この発想。なんでプリキュアがあんなに時間かけて変身してるのに敵はぼんやり待ってるんだ。そういう謎を取っ払って水戸黄門を1話書いてみましたよ、というお話です。町田さんは時代小説も書かれるんですね。もちろん、一筋縄ではない、独特な世界観の時代小説ですが。
そんなわけで暴力的なまでのエネルギーをまき散らしていった町田康さん。もうちょっと別の話も読んでみよ。まあ私にはここまで独特な世界は築けませんが。純文学ってホントに自由なんですねえ。
そういう世界もたくさん知りたい。というわけで寝よ。明日も本読もう。
というわけで、おやすみなさいー。