不登法【総論】添付情報:登記原因証明情報⑨


だいぶ間が空きましたが,登記原因証明情報について,みていきます。

前回は,《Ⅱ》登記原因証明情報が法令等で特定されている場合(報告形式の登記原因証明情報ではダメな場合)の④名変登記の登記原因証明情報をみていきました。

今回は,《Ⅱ》⑤根抵当権者の元本確定請求により単独申請する元本確定の登記(不登法93条)から見ていきたいと思います。

⑤根抵当権者の元本確定請求により単独申請する元本確定の登記

これは,不動産登記令別表61添付情報欄に規定されています。

すなわち,

「民法398条の192項の規定による請求をしたことを証する書面」

を登記原因証明情報としなければなりません。

ちなみに,これは,不動産登記法93条により,根抵当権者が単独で申請する場合の規定ですので,根抵当権者が元本確定請求をした場合においても,設定者と共同で申請する場合には適用されません。よって,共同でする場合には当事者作成の報告式の登記原因証明情報でもよいことになります。

では,根抵当権者が単独でする場合における,この「請求したことを証する書面」とはなんでしょうか。

それは,元本確定を請求する旨のほか,その請求にかかる根抵当権設定の登記がされた物件の表示,その設定の登記の申請の受付年月日及び受付番号が記載された配達証明付きの内容証明郵便です。根抵当権者が元本確定請求をした場合において,根抵当権者が単独で元本確定の登記をするときは,これに限定されています。

この根拠は,平成15.12.25民甲3812です。


根抵当権者の元本確定請求により単独申請する元本確定の登記の登記原因証明情報のまとめ


□ この場合の登記原因証明情報は,『登記原因証明情報(内容証明郵便及び配達 証明書)』とすればよいでしょう。心配であれば,かっこ内を『〇〇〇〇への内容証明郵便及び配達証明書』とすればよいでしょう。


□ 根抵当権者が元本確定請求した場合でも,設定者と共同で申請する場合は,登記原因証明情報は限定されません。


今回はここまでにします。

次回は,《Ⅱ》⑥第三者による差し押さえを知った根抵当権者の単独申請による元本確定の登記(不登法93条)から見ていきたいと思います。