信託の機能=他者のための財産管理制度


この視点から民法上の財産管理制度と比較してみよう。
(新井誠 信託法 第3版 2008.3 有斐閣 p.106~)


「法的思考」の訓練にも丁度良いですね。

それぞれの制度をどれだけ理解しているかがすぐ分かります。

※「信託」は初心者向けセミナーには向かないテーマ?


比較対象は5つ。代理、委任、寄託、組合、遺言執行
比較の基準も5つ。当時者、設定方法、名義、権限、裁判所の関与


【信託】
当事者=委託者、受託者、受益者の三者関係(他益信託)又は委託者=受託者と受益者の二者関係(自益信託)。
設定行為=任意が原則
名義=移転
権限=受託者に帰属(排他的)
裁判所=関与割合高い


【代理(民99)】
意義=他人が行った(受けた)法律行為(意思表示)の効果を本人に帰属させるしくみ。
当事者=二者関係
設定行為=任意と法定
名義=移転しないのが原則
権限=競合
裁判所=法定は当然関与」


【委任(民643)】
意義=ある者が他者に一定の法律行為を行う事を委託する契約
当事者=二者関係
設定行為=任意(契約)
名義=移転しない
権限=競合
裁判所=関与なし(契約)


【寄託(民657)】
意義=ある者が他者のために物を保管する契約
当事者=二者
設定行為=任意(契約)
名義=移転しないのが原則 例外=消費寄託

裁判所=関与なし(契約)


【組合(民667)】
意義=各当事者が出資をして共同の事業を営む事を約する契約
当事者=複数
設定行為=任意(契約)
名義=共有。但し分割・処分に制限=合有
権限=契約内容による(当事者全員又は業務執行者)
裁判所=関与なし(契約)


【遺言執行】
意義=遺言の内容を実現するための行為
当事者=三者(遺言執行者、相続人・受遺者、被相続人)
設定行為=任意(但し裁判所の選任の場合)
名義=当然承継(相続開始と同時に相続人・受遺者に帰属)
権限=遺言執行者は遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する(民1012)