【転載】愛国者ほど情報戦に注意を | poskoのブログ

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隠された日本の真実を込め、今日もポス子はチラシを配る。
そんな投函天使の生態。

私はネット上の噂に反論するつもりはありませんが、FB上のお友達を含め、普段応援メッセージを頂いている方々からも少なからずご質問があるので、この機会に考えを整理してお伝えします。




現代における戦争は、何もミサイルの打ち合いや銃撃戦といった直接攻撃だけではありません。むしろ中心となるのはそうした武力攻撃よりも、静かに効果的に相手を弱体化、無力化させる方法、その代表的なもの、中国で三戦と言われる世論戦、心理戦、法律戦です。日本を守るために防衛力を強化する必要がある、このことに反対する人はいないでしょう。隊員数、装備品や軍事施設といった直接の防衛力強化は勿論ですが、むしろ日常的に行われる、直接侵害に気付きにくい三戦にこそ備える必要があります。このことも異論はないでしょう。

国を愛し憂う愛国者の方は十分そのことを理解されていると思います。しかし、実は国を思う純粋な方こそ、世論戦に利用されやすく、ご自身の思いとは裏腹に我が国を弱体化させる勢力に利用されやすいということに注意していただきたいと思います。

ネットを活用する方の多くは、新聞やテレビの情報を鵜呑みにせず、ご自身で独自に情報を収集したりテレビに出てこない専門家の意見を聞いて判断をされていることと思います。しかし、独自に調べたことで他では聞けなかった気持ちのいい話を聞くと、それがあたかも正義であるかのように錯覚に陥ることがあります。

国を愛し、我が国の将来を憂いて、少しでも自分ができることをやろうと実際に行動されていることに心から尊敬申し上げます。しかし反面、愛国者の方は純粋であり、純粋であるが故にその純粋な心につけ込んで煽動する者に利用されてしまう危険が有るということに注意喚起をしたいと思います。

煽動しようとする者は、全くのデタラメは言いません。主張に一部正しいことを混ぜる、そして皆さんの共感を得る。皆さんは最初「もっともだ」と納得するが、一旦火がつくとそれが「正義」であり、やがて、そうして盛り上がった全体の主張に異論を唱える者は「悪」であり「売国奴」「国賊」というレッテルをはる。愛国心が強くなるほど、国を愛するが故に「国益に反する」と思い込んだことに対する憎悪は大きくなり、異論を許せなくなる。純粋な人ほどその傾向が強くなる。




以前、日韓通貨スワップ協定延長の時も同じようなメール等の意見がありました。曰く、「自民党内で日韓通貨スワップを延長させよう画策している」と。私は当時、自民党内の国防、外交、金融関係の部会は殆ど顔を出していましたが、そんな話は一切聞いていませんでした。にも関わらずネット上である特定の議員の個人名を出して誹謗中傷が拡散されていました。通貨スワップ自体は私自身も国会でも質疑した通り反対でしたし、反対してくれというご意見も多数頂戴しましたが、ある個人を特定して「この議員は売国奴だ」といった悪意ある煽りには憤りを感じました。

と同時に、これは使いようによれば都合の悪い議員を潰す有効な手段となるなという危険を感じました。安倍政権を潰そうと思う勢力にとって、安倍総理本人や手強い議員を真正面から批判しても効果が無いので、安倍総理の側近や面倒な議員の支持層の切り崩しを図ることで、最も自然で効果的にダメージを与えることができる。愛国心の強い層に向かって「あいつは売国奴だ」とか「安倍つぶしの急先鋒だ」と広めて安倍総理の側近、応援者を潰していく。乗せられている方は、真面目に国を愛し、「安倍総理を助けなければ」と思っている。しかしその思いと裏腹に、結果として安倍政権が弱体化する。そして喜ぶのは誰でしょうか。反安倍勢力から見るととても有効な世論戦になるとは思いませんか?




何の話か?今回、総理が消費税引き上げの是非を判断するにあたり、多数のメールやファックスでご意見を頂戴しております。心からの切実な思いをお伝え下さっている方もいらっしゃれば、言葉は自分の言葉でも主張の根拠がある共通の前提に立つもの、そして全く同じ文面の定型文言で送ってくる方も多数いらっしゃいます。大きくは次の三種類に分けられます。

1.自分自身の問題として、生活が苦しい、経営が厳しい。増税したら生活・経営が成り立たない。

2.引き上げは已む無しとしても、今はその時期ではない。今、消費税を引き上げれば経済が失速し税収が下がるだけ。

3.これはアベノミクスを失敗させて安倍政権を追い込もうという勢力の陰謀。反対して総理を守れ。




まず大前提として、今日は9月29日ですが、「この時点で引き上げが決まったという事実はない」というのはその通りです。新聞報道で総理が既に決断しているかのように言うのは間違いです。そして私は、上げるにしろ上げないにしろ、安倍総理の決断を支持すると言う立場です。




その上で、1.の生活・経営が苦しい。本当の生のお声として受け止めております。他の議員も、そして総理にもそのお声は届いていると思います。昨年末の政権発足以降、経済対策に取り組んで参りました。決して豊かさが感じられるようになったとはとても言えないと仰られればそのとおりです。引き続き雇用・収入を増やし経営環境が改善するよう経済対策を行い、その痛みを緩和する努力が必要との認識です。





次に3.の安倍おろしの陰謀説ですが、これは論外です。今の自民党の中でアベノミクスを失敗させて安倍総理を失脚させようとしている議員がいると仰るのなら、それは誰で、どういう根拠か明確に教えて頂きたい。曰く、木下財務次官に麻生副総理が操られているとか。そんな噂を流す人は、麻生副総理と話をしたことがあるのでしょうか?麻生副総理はそんなヤワな人ではありません。そう見えるとすれば、操ったつもり、操られてやったつもりの同床異夢です。今回、アベノミクスと言われる経済対策に失敗すれば、自民党全体が信任を失う危機にあります。「安倍総理を降ろして次は自分が」、などと画策する余裕は我が党にはありません。




そして、一番多いのが2.で、消費税引き上げ自体には反対しないものの、今、増税すると経済が失速して税収は増えないという主張。私も、税率を引き上げても経済のパイが広がらなければ税収全体は増えないと従来より主張しておりますし、今でもそう思っています。




では、消費税を引き上げると本当に消費が冷え込み経済が失速して税収全体は落ち込むのか?

ネットでしきりに主張されるのは平成9年に引き上げたときに税収全体は落ち込んだというもの。確かに平成9年に3%→5%に引き上げた後、税収は54兆円から平成10年度49兆円に下がりました。では、平成元年に消費税3%を導入したときはどうでしょうか?55兆円から60兆円に増収となっています。

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.htm




消費税を引き上げると自殺者が増える、と主張して、「自殺者を増やすつもりか!」と批判する人もいます。確かに平成9年2万4千人から平成10年3万2千人と8千人も増えています。しかし、平成元年から平成2年にかけてはむしろ減少しています。消費税を導入したにもかかわらずです。
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2011/html/gaiyou/s1_01.html





皆さんがいつも批判される役人と同じ手口です。データに基づいてはいるが、自説に都合の良い部分のみを切り出して引用する。嘘は言っていない。なまじ客観的データを示されると人は信じてしまう。「いや、平成元年はデフレではなかったから違うんだ」と仰るかもしれません。皆さんはその時点でもう洗脳にかかっています。もし騙すつもりがなければ最初からそう断るべきです。皆さんを煽っている方は最初から平成元年のことに言及して違いを説明しましたか?

平成9年はどういう年だったか?三洋証券、北海道拓殖銀行が破綻、山一證券が自主廃業した年です。消費税を引き上げたから三洋証券や北拓、山一は破綻したんでしょうか?大型倒産が相次いだことを含め不況で法人税、所得税が下がった、自殺者が増加したとは言えるでしょうが、消費税を増税したからという因果関係の立証に納得されていますか?




そして、平成元年はデフレではなかったから関係ないという言い訳を聞くとして、では平成9年はデフレだったのか?最近、にわかにCPI(消費者物価指数)、そしてコアCPI(除く生鮮)、コアコアCPI(除く食料、エネルギー)を持ち出して語る方が増えてきましたが、平成9年のCPIはプラスです。デフレ下で増税したから税収が下がって自殺者が増えた?本当でしょうか?

だいたい、皆さん今までCPIとかコアコアCPIとか日常生活で気にしたことはありましたか?私は元銀行員でしたが、その銀行員の私でもそんなに日々意識して使ってませんでした。皆さんはCPIがプラスに転じたら本当にデフレを脱却したと感じますか?そしてCPIがプラスだから消費税を引き上げてもしょうがないなとご自身の感覚として納得されますか?マクロ経済はいざ知らず、庶民感覚で言うと、インフレで価格が上昇しているときに税金も上がるほうが負担感は大きいと思いますが。例えば1000円+税50円だった商品がデフレ3%で消費税8%になるのと、インフレ3%で消費税8%になるのとどっちが家計がしんどい感じがしますか?

http://www.stat.go.jp/data/cpi/index.htm





さらに言えば、消費税を引き上げると消費は本当に落ち込むのでしょうか?消費税引き上げ→買い控え→消費落ち込み→税収減。感覚的にはそう思われるでしょう。私も、実需として駆け込み需要と反動減が実際に生じることは認めます。その上で、過去の消費税の推移を見ると、平成元年3%導入後、5兆円~6兆円と微増で推移、平成9年引き上げ後も9.7~10.6兆円の間で安定して推移しています。消費が落ち込んでいるなら、消費税率を上げても消費税収は減収になるはずではないでしょうか?

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/011.htm





デフレは貨幣現象だと主張していた評論家もいます。もしその方が今でも主張を変えていないなら、消費税とデフレ解消は関係ないのではないでしょうか?デフレの解消には金融緩和をやればよいはずです。日銀の金融緩和によりマネタリーベースは前年比4割増加しています。




消費税を上げても絶対税収は下がらないとは言いませんが、上記に見たとおり絶対下がるとも言いきれません。

評論家は好きなことを言います。でも彼らは予想が外れても責任を取りません。突拍子もないことを言うほど注目を浴び、当たれば「私の言ったとおり」。外れても別の理由を解説して稼げます。仮に安倍総理が消費税引き上げを決断して、経済が失速せず税収が増えたらどうするのでしょうか?逆に消費税引き上げを見送っても経済状況が好転せず税収が増えないときは何と言い訳するのでしょう?評論家は皆様と違って不況になっても給料が減るわけではありません。注目されれば出番が増えて彼らにとっては成功です。

私達は政治責任を負っています。「消費税を上げたら次の選挙で落とすぞ」という方もいらっしゃいます。それは、今回自分の言うことを聞かないから責任を取れということでしょうか?消費税を引き上げようが見送ろうが、経済の立て直しに失敗し税収も増えなければそのときは、皆様が仰るまでもなく自民党は支持を失い次の総選挙で厳しい審判を受けます。




何でも安倍総理の言うことを盲信するのかというご指摘があれば、それは違います。もし仮に、安倍総理が拉致被害者の救出をあきらめるとか、尖閣諸島を中国に売り渡すと仰るのであれば、当然、私は官邸に乗り込んででも体を張って止めに行きます。しかし、上記に見たとおり、経済の判断はこれが善でこれが悪というものではありません。見方によって様々な判断があります。では誰が判断するのか?評論家が判断するのではありません。今回の消費税の引き上げの是非に関して言えば、それこそ安倍総理のご判断になります。私はどちらの結論になるにせよ、安倍総理の決断を全面的に支持します。




余談ですが、私は日本政府の借金が1000兆円もあって返せないから増税が必要だなどとは更々思っていません。また、消費税増税の目的が税収全体の増収にあるとも思っていません。その意味で財務省の主張を鵜呑みにはしていません。消費税増税の真の目的は、上記のグラフで見たとおり、景気に左右されない安定財源の確保にあるのだろうと考えています。





膨らむ基礎年金や医療費国庫負担。その財源として埋蔵金は単発で終わり、国債でつなぐのは問題の先送り。今まで皆さんは散々、問題の先送りを批判して来られませんでしたか?

「入りを量りて出ずるを制す」と仰る方がいらっしゃいます。ごもっともです。民間では常識です。では、歳入43兆円の範囲で支出を固めればよいでしょうか?国債の償還で半分消えます。医療費は現在3割負担、高齢者は1割負担ですが、全額自己負担でいいですか?年金の1/2国庫負担を止めて現役が負担しますか?消費税引き上げ反対の際に、弱者を苦しめるな、という主張をされていませんでしたか?こうしたものの財源を確保するのに、直接税がいいか間接税がいいか、公平性、納得感が得られる負担の分担の問題だと思います。




社会保障名目で消費税を引き上げておいて、経済対策に使うくらいなら最初から消費税を上げるな、という方がいらっしゃいます。お金に色はついてませんが、社会保障の安定財源確保が必要なことは事実です。また、経済対策に使うお金はグルッと回ってまた税収に反映されます。

消費税を引き上げれば経済が失速して税収が下がると主張される方、消費税引き上げを見送れば経済は自然に成長して税収は増えますか?どういう経済対策をやっていくら位税収が増えるかを、他人の意見ではなくご自身のお考えとして算定しておられますか?私は、消費税の引き上げの有無に関わらず、回復途上の日本経済の活力をしっかりしたものにするためには、さらに一層の景気対策が必要と考えています。




最後に、あらゆる課題について有権者の全員のご意見と100%一致することは非常に難しいと思います。税負担は軽いほうが良い、社会保障は充実したほうが良い、借金は減らしたほうが良い。これらの一つ一つを個別に賛成か反対か希望を聞いて多数決で決めても、矛盾を解消できません。逆にそんな聞こえの良いことを主張する政治家がいれば疑ったほうが良いです。現に4年前に我が国はその失敗を経験したはずです。明らかにウソだとか、破壊工作を受ければ気づいて反撃に出られるのでしょうが、愛国者の方々にとって一見もっともだと言う理屈で納得させてその人の愛国心を煽って、政権、議員、支持者を分断し叩かせる、非常に有効な世論戦、心理戦が可能です。




政権与党は、不人気な政策でも責任を持って遂行していかなければなりません。その不人気政策が出るたびに、愛国議員を炙り出して、吊るし上げて潰していく、こんなことをしていれば論争にまともに答える議員はいなくなり、相互の信頼関係は損なわれ、お互いにとって大きなダメージです。応援する議員がいなくなる。日本国民が政治に対しあきらめてしまう。これで喜ぶのは誰でしょうか?

皆様の冷静なご判断に期待申し上げます。

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ここまで。※元記事