君は川流を汲め、我は薪を拾はん(広瀬淡窓) | 周南市 東郭の世界

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碑文】                                  広瀬淡窓


     道ふを休めよ 他郷苦辛多しと

          同袍友あり  自ら相親しむ
          

          柴扉暁に出づれば 霜雪の如し

          君は川流を汲め 我は薪を拾はん 
  



【漢文】

        道他郷多苦辛 

   同袍有友自相親  
   柴扉暁出霜如雪  

   君汲川流我拾薪
 
  

【解説】

広瀬淡窓は、江戸末期の儒学者・教育者・漢詩人で豊後日田の人、1805年に豆田町
で私塾を開くと、日本中から4,000人を超える入門が集まったそうです。
桂林荘雑詠示書生として、四首を詠みましたが、上の詩は、その二です。
(一)~(四)を下記、掲載します。

『遠思楼詩鈔』に掲載されている七言絶句である。淡窓26歳のときの作で、以下の4首からなる。2首目を「休道の詩」、3首目を「諸生に示す詩」とも通称する。これら4首のうちの特に2首目は詩吟として読まれることもある。

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幾人負笈自西東  幾人か笈を負ひて(いくにんかきゅうをおいて) 西東自りす(さい           とうよりす)。
両筑双肥前後豊  両筑(りょうちく) 双肥(そうひ) 前後の豊(ぜんごのほう)。
花影満簾春昼永  花影(かえい) 簾に満ちて春昼永く(すだれにみちてしゅんちゅう           ながく)。
書声断続響房櫳  書声(しょせい) 断続して房櫳に響く(だんぞくしてぼうろうにひ           びく)。

2)(休道)
休道他郷多苦辛  道ふを休めよ(いうをやめよ) 他郷苦辛多しと(たきょうくしんお           おしと)。
同袍有友自相親  同袍友あり(どうほうともあり) 自ら相親しむ(おのずからあいし           たしむ)。
柴扉暁出霜如雪  柴扉暁に出づれば(さいひあかつきにいずれば) 霜雪の如し(しも           ゆきのごとし)。
君汲川流我拾薪  君は川流を汲め(きみはせんりゅうをくめ) 我は薪を拾はん(われ           はたきぎをひろわん)。

3)(諸生に示す)
遥思白髪倚門情  遙かに思ふ(はるかにおもう) 白髪門に倚るの情(はくはつもんに           よるのじょう)。
宦学三年業未成  宦学三年(かんがくさんねん) 業未だ成らず(ぎょういまだなら            ず)。
一夜秋風揺老樹  一夜(いちや) 秋風(しゅうふう) 老樹を揺がし(ろうじゅをゆ           るがし)。
孤窓欹枕客心驚  孤窓(こそう) 枕を欹てて(まくらをそばだてて) 客心驚く(か           くしんおどろく)。

4
長鋏帰来故国春  長鋏帰りなん(ちょうきょうかえりなん) 故国の春(ここくのは            る)。
時時務払簡編塵  時時務めて払へ(じじつとめてはらえ) 簡編の塵(かんぺんのち            り)。
君看白首無名者  君看よ(きみみよ) 白首にして名無き者を(はくしゅにしてななき           ものを)。
曾是談経奪席人  曾て是れ(かつてこれ) 経を談じて席を奪ひし人(けいをだんじて           うばいしひと)。

  

【作者紹介】

広瀬 淡窓(ひろせ たんそう、天明2411日(1782522日)安政3111日(18561128日))は、江戸時代の儒学者で、教育者、漢詩人でもあった。豊後国日田の人。淡窓は号である。通称は寅之助のちに求馬(もとめ)。諱は建。字は廉卿あるいは子基。当初の号は別号は青渓。死後、弟子たちにより文玄先生とおくり名されたという。末弟に広瀬旭荘、弟・広瀬久兵衛の子孫に、日田市長、衆議院議員だった広瀬正雄、その子息の広瀬勝貞は現大分県知事。
 
思想
淡窓には眼の病があり、目を使いすぎると腫れてしまうことから、あまり眼を使いすぎると中年以降には失明してしまう、と医者に言われたことから、経書の本文のみを読書するようになる。注釈を無視する代わりに自分なりの解釈を行ったため、淡窓独自の思想を生むこととなった。
淡窓の指針である「敬天」とは、人間は正しいこと、善いことをすれば天から報われるとする。淡窓の説くこの応報論は「敬天思想」といわれ、近年まで主な研究対象になっていた。最近は主に、実力主義教育を採った組織としての咸宜園研究や、淡窓自身の漢詩研究になっている。《出典:Wikipedia》

※ 日本の漢詩は、じつに見事ですね。碑文左に中文が書かれていますが、「柴扉暁に出づれ   ば霜雪の如し」を”亲近大自然” と訳しています。中国の方でも意訳し過ぎますね。
  淡窓先生の漢詩もあり、直訳したほうが、詩文としての情感が湧きます。