
同袍友あり 自ら相親しむ
同袍有友自相親
柴扉暁出霜如雪
(1)
幾人負笈自西東 幾人か笈を負ひて(いくにんかきゅうをおいて) 西東自りす(さい とうよりす)。
両筑双肥前後豊 両筑(りょうちく) 双肥(そうひ) 前後の豊(ぜんごのほう)。
花影満簾春昼永 花影(かえい) 簾に満ちて春昼永く(すだれにみちてしゅんちゅう ながく)。
書声断続響房櫳 書声(しょせい) 断続して房櫳に響く(だんぞくしてぼうろうにひ びく)。
(2)(休道)
休道他郷多苦辛 道ふを休めよ(いうをやめよ) 他郷苦辛多しと(たきょうくしんお おしと)。
同袍有友自相親 同袍友あり(どうほうともあり) 自ら相親しむ(おのずからあいし たしむ)。
柴扉暁出霜如雪 柴扉暁に出づれば(さいひあかつきにいずれば) 霜雪の如し(しも ゆきのごとし)。
君汲川流我拾薪 君は川流を汲め(きみはせんりゅうをくめ) 我は薪を拾はん(われ はたきぎをひろわん)。
(3)(諸生に示す)
遥思白髪倚門情 遙かに思ふ(はるかにおもう) 白髪門に倚るの情(はくはつもんに よるのじょう)。
宦学三年業未成 宦学三年(かんがくさんねん) 業未だ成らず(ぎょういまだなら ず)。
一夜秋風揺老樹 一夜(いちや) 秋風(しゅうふう) 老樹を揺がし(ろうじゅをゆ るがし)。
孤窓欹枕客心驚 孤窓(こそう) 枕を欹てて(まくらをそばだてて) 客心驚く(か くしんおどろく)。
(4)
長鋏帰来故国春 長鋏帰りなん(ちょうきょうかえりなん) 故国の春(ここくのは る)。
時時務払簡編塵 時時務めて払へ(じじつとめてはらえ) 簡編の塵(かんぺんのち り)。
君看白首無名者 君看よ(きみみよ) 白首にして名無き者を(はくしゅにしてななき ものを)。
曾是談経奪席人 曾て是れ(かつてこれ) 経を談じて席を奪ひし人(けいをだんじて うばいしひと)。